エムナマエのロゴ
原稿用紙プライベート盲導犬アリーナ日記
ギャラリー新着情報サイトマップホーム英語
 
  

★ エム ナマエの公開日誌 − あれこれ出来事 思いはいろいろ −

■ 2009年2月23日〜3月08日
 いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。
 音声パソコンを入手した当時、ただのスケジュール表だったものが、いつか毎日の記録となっていました。筋力運動、万歩計、透析データに食事の記録。健康維持のためにも大切なこの習慣も始めてからもう20年。
 けれども、世間の皆様がされているようなブログとは違い、わざわざ読んでいただけるものではありません。ただ、2007年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、季節や出来事のヘッドラインになるので、ここに紹介させていただいてきました。
 毎日の出来事。去来する思い。本当はひとつひとつ、丁寧な記事に仕上げたいのですが、イカサマ俳句にマヤカシ川柳。これら十七文字や日記の切れ端で、現在を生きるボクたちの暮らしを浮かび上がらせてみたいと思います。
 夏目漱石や永井荷風ならいざ知らず、ボクの日記なんぞ死んでみたって永久に披露されるチャンスなんて訪れるわけもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の出来事や思いを粉砕して、かけらを集め編集して、ホームページに掲載し続けることにしたのです。
 さて、近頃ここいら最近の2週間。出来事あれこれ、思いはいろいろ。どうか、よろしくお付き合いください。
エム ナマエ

0223・月・
 午前透析より帰宅して吉野家のテイクアウト牛丼をかっこみ、急いで外出。
 午後5時、石原均追悼展オープニングパーティー。少し遅れていくと、満員でなかなかギャラリーに入れない。入り口でNHKの青木裕子アナウンサーと挨拶。彼女もニューヨークのエム ナマエ個展にかけつけてくれたおひとり。月曜日の夜はNHKラジオの「面白研究所」の放送があるので、すぐにNHKへ戻っていかれた。彼女は研究所の副所長なのだ。毎日新聞の川俣享子さんからも声をかけられる。こうした方々にキンさんの作品を見てもらえることは嬉しい。やっと中へ入ると、黒い健ご夫妻がいて、しばらく談笑。というか、あまりの盛会に、身動きがとれなかったのだ。そのうち、ジュンコちゃん、ユミコが隣にくる。ボクの個展でいつも手伝ってくれるメンバー。みんなキンさんがボクを盛り立ててくれたのを、よく知っている。林静一さんや東逸子さんなど、詩とメルヘンのパーティーのメンバーもきてくれた。気がつくと、英理さんが目の前にいて、驚く。彼女もニューヨークでキンさんに会ったひとり。彼女がカーターズ社との間で通訳をしてくれたのだ。そこへ下村健一家族が現れる。おお、まさにニューヨーク同窓会。渡辺茂子さん親子もきてくれた。雑誌「さかえ」の編集長だった田辺靖始さん親子もきてくれて、ますますニューヨーク同窓会になってきた。石原均という男は、人と人を結ぶ接着剤だったことを改めて思い知らされる。公文出版の原健太郎氏は東君平さんと石原均の絵本「空飛ぶカエル」を作ったひと。この立体原画は展覧会が始まってから発見され、途中から飾られることになった。歌手のみなみらんぼう氏、イラストレータのひこねのりおさんも会場にいたのだが、言葉を交わせないほど満員。この身動きのできない人出をキンさん本人が見ていないと思うと寂しいが、ボクは彼が『ハリー・ポッター』に登場するポルターガイストのピーブスみたいに、空中をふわふわと浮かんで笑っているような気がした。青木岳志さんが満員の来客に二次会会場へ移動するように勧めていた。やがて画廊から少しずつ人が動いていった。
 二次会は居酒屋『福兆』へ移動。結局、6時半から始まった二次会は閉店まで続く。ボクは西島三重子夫妻にはさまれ、その隣にはラジオ深夜便の須磨佳津江アナウンサー。ボクの正面は深尾精一首都大学東京教授。実は彼、青木裕子アナウンサーの朗読館建築をサポートしているボクの50年前からの旧友。西島さんも深尾君も酒も飲まないのに、最後までキンさんの集いを盛り上げてくれたのだ。青木岳志カメラマンのスタジオメンバーも大活躍。そのひとり、Iさんに、絵本「道」に救われたといわれたのには感動した。挫折を経験したことのある人だけが味わえる感動というものがあるのだ。閉店となった居酒屋を追い出され、ボクとコボちゃんは地下鉄の最終電車に飛び乗った。
▲ 追悼の展覧会場春爛漫

0224・火・
 朝寝坊。パソコンに向かうが集中力なし。ひさびさのゆっくりコーヒータイム。カコさんにもらった蓮根餅がうまい。溜まっていた郵便物を読んでもらう。それからコボちゃんはひとり檜画廊へ。
 夜、マッサージチェアでうとうと。疲れている夢を見る。目覚めたら檜画廊からコボちゃんが帰宅していた。ボクに抱かれて熟睡していたキロンもコボちゃんの帰宅に気がつかない。
 コボちゃんの買ってきた崎陽軒の焼売を食べながら、追悼展会場の様子を聞く。キンさんは大杉漣さんたちと一緒のサッカーチームで、ゴールキーパをしていたことを知る。人の死は知られなかった事実を開いてくれる。そういう意味で死は誕生でもあるのだ。
▲ 疲れてる夢の中でも疲れてる

0225・水・
 朝、青木裕子さんから電話。山下智子さんの京言葉源氏物語の朗読会をやろうという相談。コーヒータイムでまたまたカコさんにもらった蓮根餅を食べる。あの蓮根から、なんでこんな不思議においしいお菓子ができてしまうのだろう。
 ニュースは麻生太郎がオバマ大統領と面会したという話題。英語のスピーチが放送されたが、どうやら満足には通じなかったらしい。まあ、ひどい英語で、あれでよく英語が得意なんていえたもんだとあきれる。税金を使って渡米するのだから、もっと真面目に勉強しろ。
 透析より帰宅してアクセスに耳を傾けたが、酒は飲まず。テーマは高速道路の逆走問題。ドライバーにも問題ありだが、システムそのものに欠陥があるのだ。これは役所のセクショナリズムが原因。無論、業者にも責任がある。長年に渡って、政権交代がなされなかった弊害がここに横たわっている。
▲ お得意なはずの英語が通じない
▲ 深呼吸春の嵐の谷間の日

0226・木・
 下高井戸から電車で神保町。京王線から都営新宿線に乗り換えると、たちまち運賃が鰻上りとなる。銀行でもそうだったが、どうも東京都の経営感覚は普通ではない。都営と聞いた途端に駄目経営と受け取ってしまう。神保町へ着いたら霧雨。すずらん通りに入るとカレーの香り。すぐにキッチン南海。カツカレーを食べたが大盛りで食べきれなかった。
 午後3時、檜画廊。追悼展へは次々とお客さん。以前お付き合いのあった編集者や画家に会い、昔話となる。ご近所の佐々木まち子さん親子もきてくれた。日本点字図書館のイベント企画をサポートしている逆瀬川正人さんと談笑。そうしながら絵本「道」にサイン。ときどきは作者本人と間違えられ、困る。入り口に追悼展と書いてあるのに。韓国からの留学生にもサイン。会場にはキンさん、丸瀬太郎さんと縁のある役者、矢野洋子さんも当番でいてくれて、いろいろと思い出話に花を咲かせる。
 接客をしていたら、ケータイに経堂オリアンのママから電話。3月14日に閉店という。55年も続いた店だ。寂しい知らせで呆然とする。
 檜画廊での一日は、キンさんの思い出話で暮れていった。
▲ 遺作店涙も雨の一週間

0227・金・
 起きて、公開日誌の執筆と送信。日記を書く。昨日のニュースで許せないのが障害者の郵便料金割引制度を悪用して支払いを誤魔化していたという、広告業者摘発の事件。被害金額は莫大だが、こんなことが理由にされ、制度が撤廃されるようなことにしてはならない。
 冷たい雨が雪に変わる。今年最初の降雪観測。昨日の疲れが残っていて、1時間だけ横になる。
 熊本のバラ企画からイベントの依頼。受けることにする。
 ラジオで近眼矯正のレーシック手術による集団感染事件が話題になっている。ボクは23年以上も細菌感染なしで無事に人工透析を受けてきたが、すべての病院が衛生管理を徹底させているわけではない。コボちゃん看護士がアルバイトをしていたクリニックでは、資格のないスタッフが滅菌作業をしていたケースもあった。感染の事実が表面化していないだけで、かなり危険な状態だったとのこと。スタッフのどれだけが有資格者であるか、これは重大な要素だ。今回の事件では、器具の滅菌だけではなく、医師自身にも衛生管理の不徹底があったらしい。
 透析より帰宅したが、空腹。生野菜をばりばり食べる。アクセスに最近売り出し中の流通ジャーナリストが出演。子どもの頃から、貯金よりは安い買い物をする方が効果的ということで、物価をウォッチングしているうちに職業にしてしまったとか。好きは身を助ける。
 冷たい雪の一日。積もらなかったのは幸い。
▲ 窓透かし雪のつぶやき染みてくる

0228・土・
 目覚めてTBSのサタデイズバット、下村健一レポートを聞く。日曜日に会ったばかりの入江杏さん出演。本日、「宙の会」を発足。事件のあった世田谷区で、時効制度の撤廃と廃止を訴える。時効については、いろいろと議論はある。けれども、時効の壁に阻まれ、涙を飲んだ人たちは数え切れない。この5年間だけで時効になった殺人事件は200件以上もあるという。
 午後1時、西島三重子さんのご亭主、竹之内信広氏がピッカピカの真っ赤なホンダ・インサイトで迎えにきてくれる。そのまま檜画廊へ。本日も多数の来客者。役者の矢野洋子さんや大杉漣さんとキンさんを語る。渡辺茂子さんの友人が何人もきてくれる。キンさんのお嬢さんと孫娘と記念撮影。外国人の美術マニアもキンさんの作品を熱心に見ていた。やはり手作りの立体イラストレーションには力がある。
 午後5時、石原均遺作展閉幕。有志により、たちまち撤収作業は終了。搬出後は神楽坂スタジオクラスターに集合。高級居酒屋に移動して打ち上げ。ボクの左にスタジオクラスターの青木岳志さん。右隣は愛育社の伊東社長夫妻、真正面は造詣大学の森まさあき教授、斜め右に矢野洋子さんのご主人で演出家の新城聡さん、斜め左は歌手の西島三重子夫妻、そして、テーブルの左には小林潤子さん。もうひとつのテーブルでも、女性軍団が盛り上がっている。石原均が遠い世界から人と人との絆を愛でている。キンさんの残していった友人の輪による展覧会が終了した。皆さん、お疲れ様。
 ウーちゃんこと竹之内信広氏の運転する富士山ナンバーのインサイトで帰宅したのは11時。改めてコボちゃんとビールでキンさんに献杯。
▲ 遺作展雪があがって最終日

0301・日・
 本日から3月。こないだ正月がきたと思っていたのに、まさに光陰矢の如し。毎日新聞の朝刊に入江杏さんが大きく出ている。昨日の「宙の会」発足関連記事だ。そのご本人からメールあり。何か一緒にできたら嬉しい。
 またまた立山誠浩さんからありがたいメール。近代の日本の詩歌をまとめて送信してくれたのだ。永久保存版にしたい。もちろん、すべて著作権の切れたものばかり。
 コーヒータイム。ベランダにメジロがきているとコボちゃんが喜んでいる。ネコがいるにかかわらず、我が家のベランダは鳥たちの休憩所になっている。
 ホームページ執筆と送信。TBSラジオはWBCの強化試合。つまらないゲームだった。これだったら、いつもの爛漫寄席の方がはるかにいい。夕食のBGMは文化講演会。浜美枝さんの美しい語りだった。新しくなった日曜名作座はパス。理由は読み手の技量に不足があるから。
 満腹で眠ると、苦しい夢を見た。いつものように、怠け者の日曜日。
▲ 目白きて愛を囁くバルコニー

0302・月・
 追悼展の報告とお礼原稿を書き、送信。窓からは暖かい日差し。食欲がなく、ペヤングソース焼きそばを食べる。久しぶりだったので、うまかった。
 TBSラジオ、ストリームが今月で終わるとのこと。ショック。これはなかなかの番組で、ライバルの「やるまん」といい勝負をしていたのだ。けれども、今や「やるまん」もなくなり、そして「ストリーム」も消えてしまうという。これからがラジオの時代だというのに、民放ラジオは何を考えているのだろう。広告収入が激減していることは想像できるが、リスナーからラジオの楽しみを奪うのは悲しい。
 このサイトを通じて、個人の消息を知る人がいる。石原均氏の逝去を知った人がいて、追悼展にきてくださったことを告げられる。
 赤ワインを仕事机で飲む。24時半、ラジオ深夜便で藤沢周平作品「用心棒日月章」朗読。吉良邸に雪が落ちてきて、いよいよ討ち入りが近い。そして物語は場面展開。やっぱり藤沢周平、うまいです。
 物語世界ばかりでなく、現実でも明日は雪の予報。いやだなあ。今年は気の早い三寒四温となりました。
▲ すぐそこで春が足踏みしています

0303・火・桃の節句・
 ゆったりと過ごし、疲れをとる。夕方から追悼展のお礼原稿をまとめ、来場くださった方々に送信する。公開日誌の記事をまとめる。マッサージチェアで歌謡ドラマに傾聴。なんだか無理矢理の脚本みたいな気がしたが、山下智子さんの演技は納得。
 いきなりのニュースは検察特捜部による民主党小沢代表の公設秘書の疑惑の逮捕。とうとう政権与党が国家権力を動因させて野党潰しにかかったのではないかという第一印象。麻生太郎政権末期の悪あがきと受け取られても仕方がないだろう。嫌な時代の幕開けとならないとよいのだが。
 雪の予報を気にしながら就寝。
▲ 雪の夜首を切られる雛人形

0304・水・
 朝、雪は積もらず。予報は外れ。スタンバイで森田君、あせりまくり。言い訳たらたら。それでも予報は外れていないと主張する。
 午前中、民主党小沢代表による記者会見。辞任を否定し、検察との対決姿勢を明確にする。
 午後、TBSラジオのストリームで元現場クイズを考えるが、芸能ネタなので、名前を思い出せない。それにしても、このクイズの楽しみも今月で終わってしまう。TBSラジオから面白かった番組がどんどん消滅していく。予算の問題だろうが、それでよいのだろうか。放送局では番組が、出版社では雑誌が次々に消えていく。広告収入の激減が問題の根本にあるのたが、出演料や原稿料を交渉して、なんとか継続する努力をして欲しい。お金がない。その理由で何でも見逃されてよいのだろうか。拝金主義の世の中では、売れること、お金のあることが正義とされてしまうが、残念でならない。
▲ 都会人《とかいびと》積もらぬ雪に脅えてる

0305・木・
 朝からメールと電話で打ち合わせあれこれ。熊本バラ企画の山部さんと打ち合わせ。ゴーサイン。講演題目など、お伝えする。夕方、マッサージチェアにあたる。肩凝りがひどいのだ。BGMはラジオ。午後4時15分、国会で田中康夫質問。元知事だった経験による追求は鋭く、示唆にに富んでいる。彼が首相になれば、確実に日本は変わるだろう。マッサージチェアの影響で睡魔。目覚めたら野球が始まっていた。
 WBC開幕。中国相手にひどい試合。豪華メンバーが力を発揮できないのは、監督の責任だ。原監督には吸引力となる魅力が不足しているとしか思えない。消化不良の気持ちを抱きながら、野球中継をBGMにデータの整理。これは慎重にやる。本日は日差しの暖かい、よく電話のかかってきた日となった。
▲ 桜の木雀の蕾春を待つ

0306・金・啓蟄・
 暦は啓蟄。なのに朝から氷雨降る。クオリスで豪徳寺。冷たい雨をコボちゃんが傘で遮ってくれる。ひさびさ、世田谷線に乗る。若林駅から雨の中を歩く。コジマ電気へ。いつもだったらヤマダ電機なのだが、新聞チラシに安売り広告をしていたので、試しにいってみるのだ。デジカメと電子レンジを買うつもり。どちらも定額給付金の予算内。デジカメは予定通り。けれども、電子レンジは遠赤外線でスチーム加熱方式の高級品を買う。とはいえ、結婚したときにコボちゃんの同僚からもらって以来、20年使用の電子レンジが壊れて買い換える品物にしては安価で、2万5千円。昔と比べ、なんと電気製品の安くなったことか。
 またまた世田谷線に乗ったら女子の車掌さん。可愛くてよい。昔から世田谷線は好きなのだ。豪徳寺のデニーズはいつも満員。分厚い豚肉を食べる。値段にしてはうまかった。満腹で帰宅。
 コボちゃんは熊本までの航空券購入のため外出。児童文学者のさとうまきこさんから電話があり、自分に無断で夫が禁煙をしたと嘆いていた。
 いつもの透析。ラジオに傾聴。ニュースは小沢代表政治献金疑惑が中心。検察に逮捕されたら即有罪とは考えたくない。けれども検察官僚は的を外すことはないと聞く。人によれば、今度の騒動は平成の226事件とか。もしも本当ならば、ボクら主権者は官僚の動きに注目しなければならないだろう。麻生太郎がいつまでも解散しないから、こんな事件が持ち上がる。ボクたち市民がリーダーシップを守り、国の舵取りができるよう、しっかりとしなければならない。
 3月3日に地球から6万キロの宇宙を直径50メートルほどの小惑星が通過したとか。宇宙的にいえば、驚くべきニアミス。地球の周囲が4万キロだから、6万キロがいかに近いかは考えるまでもない。衝突していれば、水爆をはるかにしのぐ破壊力。東京など吹き飛んでしまうだろう。この小惑星が発見されたのが2月27日だそうで、ぶつからずに済んで本当によかった。
 盗作論文が増えているとか。インターネット時代である。寄せ集め論文が増えて当たり前なのだ。便利になれば、自分で考えなくなる。
 白墨のメーカー、日本理化学の障害者雇用率は75パーセント。製造工程は知的障害者にまかされている。この会長の大山さんという人物の話をラジオで聴くが、雇用すること、働くことの本質を改めて教えられた。少子化と教育システムの変化でチョークの需要が減少している。けれども、日本理化学では粉の出ない、ガラスにもらくらく書けるカラーチョークを開発した。このメーカーの発展を心から願う。
 帰宅して、これらニュースについて、コボちゃんと話をしながら赤ワイン。コボちゃんは耳を傾けながら、鋭くなっていたキロンとミミの爪を切る。
▲ 配るなら使ってみせましょ給付金

0307・土・
 午後3時、パカパカ行進曲が過去8年間からのベストセレクションで、これが懐かしくもおかしく、猛烈に笑う。クマがドアチャイムを鳴らしていると思い込む主婦、並木いっぱいの名古屋コーチン、全焼したお宅へ、昨日注文を受けた消火器を配達にいくアルバイト女子など、腹を抱えて笑う。
 後ろ髪を引かれる思いで外出。ドコモショップで新しいケータイをゲットするつもりなのだ。下高井戸のおかしな匂いがするドコモショップ。これは頭の悪い匂いだな、と思っていたら、あんまりしゃべりのはっきりしない男子が担当者になる。この店員、ボクにシャメつきのらくらくフォンを買わせようとする。これが2万円も高いのだ。聞かなければ、もう少しで買わせられるところだった。改めて注文すると、機械がない。何度も注文書を書き直し、あちらこちらのドコモショップに連絡して、やっと西新宿のショップで機械を発見。明日、そちらへいくことになる。ここまで30分間は浪費する。その間、コボちゃんもらくらくフォンにすることに決めたらしい。見やすいのだ。で、コボちゃんはカメラとテレビつきのケータイにするらしい。
 急いで下高井戸駅。明大前で下車。キッドアイラック・アートホールへ直行。間に合った。午後5時開場、キッドアイラック・アートホールにて暗闇講演会と津軽三味線ライブ。窓口で名前を告げる。
 日本点字図書館、田中理事長よりのご招待。広瀬浩二郎。国立民俗学博物館準教授。文化人類学。1967年東京生まれ、京大卒業。踊正太郎、津軽三味線、踊正太郎流家元。2008年津軽三味線日本一決定戦でグランプリ。1977年茨城県生まれ。
 踊さんの演奏を味わいながら、川畠成道さんのバイオリンを思う。見事な演奏に心からの敬意を払う。自分の仕事が恥ずかしくなる。
 広瀬さんは暗闇コンサートなのに、武士姿になったり、お色直しをしたりでユニーク。暗闇でお互いをイメージし合うのは愉快かもしれない。我ら盲人は、いつも暗闇世界で暮らしているのだ。
 帰宅したらWBCで韓国戦。驚いたことに、日本がコールド勝ちする。14対2。イチロー大活躍。この試合、うとうとしながらBGMにしていた。
▲ 盲人がシャメつきケータイ買うを見た
▲ 暗闇で仮装講演お洒落だね

0308・日・
 午後、京王線で新宿へ。まっすぐドコモショップ。新しいケータイの購入だが、説明や手続きに時間がかかる。コボちゃんはカメラとテレビつきのらくらくフォンを購入した。ボクはドコモ加入10年以上とかで、家族通話は無料になっているとか。
 帰宅してからは、ずっとケータイをいじくっている。おしゃべりケータイを相手に、ひとり挑戦。あれこれと設定をした。新しいケータイは入力文字を音声読み上げしてくれるので、これでボクもケータイメールができるようになる。人間は別として、機械だけはひとり進化を続けている。
▲ 新しいおもちゃで遊ぶ六十歳

  Copyright © emunamae