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★ エム ナマエの公開日誌 − あれこれ出来事 思いはいろいろ −

■ 2009年4月6日〜12日
 いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。
 音声パソコンを入手した当時、ただのスケジュール表だったものが、いつか毎日の記録となっていました。筋力運動、万歩計、透析データに食事の記録。健康維持のためにも大切なこの習慣も始めてからもう20年。
 けれども、世間の皆様がされているようなブログとは違い、わざわざ読んでいただけるものではありません。ただ、2007年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、季節や出来事のヘッドラインになるので、ここに紹介させていただいてきました。
 毎日の出来事。去来する思い。本当はひとつひとつ、丁寧な記事に仕上げたいのですが、イカサマ俳句にマヤカシ川柳。これら十七文字や日記の切れ端で、現在を生きるボクたちの暮らしを浮かび上がらせてみたいと思います。
 夏目漱石や永井荷風ならいざ知らず、ボクの日記なんぞ死んでみたって永久に披露されるチャンスなんて訪れるわけもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の出来事や思いを粉砕して、かけらを集め編集して、ホームページに掲載し続けることにしたのです。
 さて、近頃ここいら最近の1週間。出来事あれこれ、思いはいろいろ。どうか、よろしくお付き合いください。
エム ナマエ


0406・月・
 万歩計の東海道は保土ヶ谷を通過。これはなかなか面白い。バラ企画の山部さんと電話打ち合わせ。コーヒータイムでファックスや郵便物を読んでもらう。外は暖かく、まさに春爛漫。ホームページ執筆は毎日あれこれ。熊本での講演原案を執筆。某商事と打ち合わせ。これは面白い仕事になるかもしれない。
 DNAバーコーディングという言葉を耳にする。遺伝子による種の特定を容易にするシステムだ。バーコード・オブ・ライフ。これがあると、たとえば害虫被害があった場合は、その虫をすぐに特定できるし、または寿司のネタを正しく表示しているか否かも、直ちに判定できるとか。
 ラジオをBGMにしているが、今週からまたまた様変わり。長年続いた番組がきれいさっぱり消えていて驚く。パーソナリティーもかわって、やはり人件費を考えてのことだろうか。
 ここのところ、便秘に悩んでいる。明日あたり、しっかりと開通式を祝いたい。式といえば、千葉県の新知事が初登庁して就任式をやったらしい。この人、完全無所属という売り込みだったが、自民党の紐付きだったことが露見している。なのに、ガッツポーズは恥ずかしい。とはいえ、竹刀を振り回さないだけましかもしれない。
 透析より帰宅して、24時半、ラジオ深夜便で藤沢周平作品朗読。TBSラジオから朗読番組が消えて、今やNHKだけが頼りである。
 ベランダの前の桜が満開。世間は夜まで花見でうかれていることだろう。
▲ 欺いて知事になったはいいけれど

0407・火・
 朝、無事に開通式、おめでとう。これでやっとスッキリした。いい天気だから、今朝もコボちゃんとアルルと散歩。今日はボクが最初からアルルのリードをキープしてコントロールする。アルルはとてもよい子に歩く。途中からボクとアルルだけで歩く。アルルはきっちりとボクをガイドする。コボちゃんが緑のインコを目撃。最近、連中が桜の花にいたずらをしているらしい。蜜を食べたいがためであるが、クチバシの形がそうなっていないから、根元から桜の花を落としてしまうのだ。かなり大きなインコだから、その悪さが目立つのだが、桜の花を落としているのは大半が雀という噂もある。蜜といえば、養蜂家の飼育している蜜蜂に異変が起きているとか。巣箱がからっぽだったり、蜜蜂が行方不明になったりしているらしいのだ。蜂蜜が採れなくなるのはもちろん、果実農家にもよくない影響を与えているらしい。まさか、蜜蜂の代わりを、外来のインコがしてくれるわけもなし、早く原因を究明して欲しい。
 帰宅してメールを開くと、須永泰司君逝去の知らせ。彼も慶應義塾志木高校の同輩。クラスや学年をまとめる世話好きの男で、我が家を訪れたこともある。ボクと同じ透析患者でもあったので、気にはなっていた。酒好きだったので、それが影響したのかもしれない。近所の慶應義塾志木高校の同輩、関君からも電話があり、須永泰司君の話をする。
 コボちゃんはアルルを風呂にいれ、洗濯をする。おかげで、アルルもベッドのシーツもきれいになって、ボクが毛だらけになることもなくなった。アルルはずっと屋上で春風にあたっていて、降りてこない。よほど気持ちがよかったのだろう。3時間して、ボクが呼んだら、やっと降りてきた。
 月刊『ラジオ深夜便』イラストレーション制作。習作を重ねてから、本番。カットは魔法使いのゆめぞう。箒に乗って夜空を飛んでいるのだ。これを、らしくかくのが難しい。コーナータイトルのイラストレーションの方だが、これがうまくいかない。何枚も失敗する。
 野球は仙台イーグルスが4連勝。マークンすごい。それにしても、横浜、がんばってくれや。夜食はボクのリクエストで、コボちゃんがホタルイカを買ってきてくれる。うまかった。BGMはアクセス。時間が長くなっただけで、内容はだらだらとして面白くなったとはいえない。今週はラジオ世界で、スポンサーが入れ替わっているのに気がつくことが多い。電通の成績が落ちているという噂もあるが、やはり世の中の状況が激変しているのだろう。そういう時代で、自分に何ができるのか、じっくりと考えてみたい。
▲ 桜色緑のインコが蜜を吸う
▲ 散る桜友の逝去に手を合わす

0408・水・花祭り・釈尊誕生日・
 隣の改装工事がやかましく、こちらでもステレオのボリュームをあげて、人のいることを教える。おかげで、ますますうるさくなって、会話をするのも楽ではない。それでも熊本講演原稿の推敲。いろいろとアイディアは出るが、なかなかまとまらない。語りたいことが、あまりに沢山あり過ぎるのだ。
 午後、月刊『ラジオ深夜便』6月号締め切り。岩坂さんくる。
 ラジオはプロ野球とプロゴルフの話題ばかり。けれども、そろそろ選挙という言葉が飛び交うようになってきた。麻生太郎が支持率上昇で、やっとその気になってきたのだろう。そういえば、最近やたらばら撒きの政策が目立つようになってきた。ボクだって、既にまだもらっていない給付金を使ってしまっている。けれども、政府のお目当ては歴然。誰が入れてなんかやるもんか。政府が胡麻をすり出したので、要注意。
▲ 票目当て胡麻をする音やかましい
▲ 窓開き街の爛漫招き入れ

0409・木・
 午前中、歌の練習。まあ、なんとか歌えそう。ひさびさ、歌のお仕事だから、少しくらいは緊張するのだ。
 ワープロあれこれ。外はほとんど夏日。暑くて窓を開放。空気が気持ちいい。パソコンに向かい、熊本講演原案と原稿。テーマが大きいので、それを講演という形にまとめるのが味噌。本番では、どれだけ伝えられるかわからないが、ボクがいつも考えていることを語りたい。
 青木裕子アナウンサーから電話。朗読のことで、あれやこれやと語り合う。絵本「いつもぶうたれネコ」についての中井貴恵さんのご意見など、又聞きする。面白かった。
 須永泰司君の告別式のことで、志木高校のみんなと連絡。近所の関君に香典を託すことになる。
 いきなり暑くなったせいか、ボクは血圧低下で不調。集中力が低下している。それでもなんとか夜までには講演原稿をまとめる。これをICレコーダーにいれて、日曜日の本番まで繰り返し聴くのだ。
 民放のラジオ野球中継は巨人戦ばかりなので、ずっとFM-J-WAVEをかける。コボちゃんは夜になってアルルと散歩。アルルはメタボ犬になってしまったので、たくさん歩かせなくてはならないのだ。
 TBSラジオのアクセスをBGMに夜食。週刊誌のレゾンデートルを問うテーマ。もしも読めたなら、ボクは週刊誌は読んでみたい。やはり、出来事は掘り下げなくては何も見えてはこないと思う。
 赤ワインを飲んで眠る。夜中におかしな夢を見る。やはり、不景気という呪文がボクまで不安にさせているのかもしれない。
▲ 着替えれば汗の湿り気春盛り

0410・金・
 午前中、アルルをカンちゃんに預ける。アルル、カンちゃんを大歓迎。嬉しくてたまらない様子で、カンちゃんについていった。アルルはこれから自分が19頭のワンちゃんたちの合宿に参加するなどとは知りもしない。大きいのや小さいのや、どれだけ楽しいことだろう。
 昼、美容院「インクスポット」へいく。担当はTさん。ボクの肌がちな頭を担当するのだから、ご苦労なことだ。でも、髪の毛が少ないから、仕事は楽かもしれない。彼女、動物が好きとかで、ずっと動物談義。
 午後、新進書家の藤井美奈さん、ご両親と訪問。ご両親はボクらのリコー本社の展示をご覧になるため、上京されたのだ。
 天皇皇后両陛下が金婚式を迎えられた。50年前の、あの美しいパレードと、美智子様の清楚な美しさを忘れられない。皇后陛下への50年間の努力への感謝を伝える天皇陛下の声が震えているのを聞いて、ボクも思わず落涙しそうになる。
▲ 金婚式皇居の桜両陛下

0411・土・
 8時半に出発。レザージャケットにしたのは失敗。外は初夏の陽気。歩くだけで汗が出てくる。けれども電車にのれば、どれも冷房が入っている。最初はありがたいが、すぐに寒くなる。夏日になれば、自動的にクーラーが作動する仕掛けなのかもしれないが、薄着をしている人たちはたまらない。明日あたり、風邪をひく人がたくさん出てくることだろう。ボクはレザージャケットにして正解。それにしても、いちばん寒かったのがモノレール。少しくらい暑さをガマンすれば、炭素削減に貢献できると思うのだが。
 羽田到着。身に着けている金属をすべて外す。ケータイもICレコーダーも、ベルトもみんな外して、金属探知ゲートを通過。プラスティックとゴムでできている白杖まで預けるのはどこまでも杓子定規でばかばかしいが。
 ゲートを通過したらカレーライス。カレーライスは羽田の味。
 出発ロビーで待っていると、いつものようにグランドホステスがきて何かいっている。どうやら新入社員らしく、
「あのお、こ、こ、こちら、あ、あ、あの、おめ、おめ、お目が、ごふ、ごふ…」
とどぎまぎしているので、
「そう。ボクは視覚障害者。そんで、あなたは言語障害」
と心の中で返事をする。この会社、運賃も安いが、給料も高くないらしく、フライトアテンダントの愛想はよくない。どうもニコリともしてくれないらしいのだ。
 日本列島ずーっと快晴。コボちゃんは空から見た日本地図を実況中継してくれるが、かなり怪しく、ボクの頭には不可思議な日本列島が見えてきた。で、ボクはそのおかしな日本地図を頭から追い払い、録音してきた講演原稿を繰り返し聞いて脳内リハーサル。
 熊本空港にはワルツの山川哲さんと村山幸子さんが迎えにきてくれる。クルマでむさしがおかへ。「まざあぐーす」で食事。特製ドライカレーもうまいが、ビーフステーキピラフもホテルなみのおいしさだった。絵本にサイン。みんなで記念撮影。
 むさしがおか教会でリハーサル。昨年の白水郷美術館の再演だから、最初の音で、すぐに意気投合。ただの一度もとちらずに歌も演奏もバッチリ決まる。十字架に見守られてのロックンロールはゴキゲン。音楽の仕事はいつだって楽しい。ボクがいきなり想定外のビートルズナンバーをシャウトすれば、山川哲さんのキーボードがたちまち反応、山部洋史さんのギターが炸裂。三人のボーカルがきれいにハモる。『ドンレットミーダウン』であろうと『エイトデイズアウィーク』であろうとOK。いつだってボクらは熊本のビートルズになれるのだ。
 バリアフリーのレストランで会食。ボクが尊敬する医師、板井八重子先生と並んで食事。山部京子さんは伝統的な能面を打っている。そのお師匠の先生の能面の数々を見せていただく。貴重な体験をさせていただいた。
 ボランティアの渕上さんの運転でホテルへ。オークスって、どんな意味の英語だったっけ。そう考えていたら、ホテルの前に大きな楠の木があって、それでオークスだと判明。洒落ているのか、ずぼらなのか、よく分からないネーミング。
 ボランティアスタッフの江藤さんが来訪。一緒にビールで乾杯。いい気持ちになって「ラジオ文芸館」を聴く。NHKラジオは熊本でも聴けるので嬉しい。満足して眠る。
▲ 神様もビートルズなら聞いてます
▲ 列島の桜前線見下ろして

0412・日・
 早朝に目覚めて講演の脳内リハーサル。どうもうまくいかない。風呂に入って気分転換。
 このホテルと契約している喫茶店のブレックファストのコーヒーはかすかにコーヒーの色をしたお湯だった。店の女の子は
「朝ですからお腹にやさしいように、ということでこの配分なのです」
といわれたのだが、ボクは
「東京ではこれをコーヒーとはいいません」
と伝えた。
 外へ出ると路面電車の走る音がいい。これぞ都会の朝である。東京からはこの風情が消えて久しい。タクシーを拾い、会場のウェルパルくまもとへ。
 9時半に会場い入る。またまた音合わせはバッチリ。ボクらが揃うと、たちまちビートルズごっこが始まってしまう。山川哲さんは菊池のジョンレノンを自称しているし、山部洋史氏は愛育社時代とは違って、音楽の場面になると、実に雄弁、医大なるエンターテイナーとなる。
 控え室にいると、次々に来訪者。懐かしい人もいて、いろいろと話をしているうちに、たちまち開演時間となる。
 午前10時半、産院廃止抗議集会に参加。基調講演タイトルは「生まれてくること」。トークショウとコンサート。
 あれだけ脳内リハーサルをしたのに、本番で緊張。命と宇宙という大好きなテーマだったのにあまりうまくいかなかった。原稿の段階では完全だと思っていたが、やはりしゃべりのレベルまでには消化し切れていなかったのだ。もっと勉強しなくてはならない。けれどもコンサートは成功。その様子をワルツの山川哲さんがこんなメールで伝えてくれている。
−お疲れ様でした。そして去年に負けない、最高の一日でした。通常、講演会の後の音楽演奏は、間違いなく盛り上がらず、不完全燃焼で終わるケースが多いのですが、今回は、長い私の音楽人生でも異例の出来事でした。『イマジン』が始まると、何人かのお客様がハンカチを目にあて、それでもそこまでは、まだ想定内と言えなくもなかったのですが、次の『はじめの一歩』が始まると、今度は別のお客様が目頭を押さえました。この曲調で、ハンカチ。私は我が目を疑いました。またまた私の長い音楽人生で、信じられない出来事でした。通常、この手の渋い本場黒人ミュージックを彷彿させるブルース楽曲では、観客はじっと目をつむり、わずかに身体を揺すりながら、どっぷりと自らもブルースの世界に浸るものなのですが、それを落涙させるとは。私のこれまでの音楽観が、音を立てて崩れた瞬間でした。とどめは、『アイソーハースタンディングゼア』のイントロが流れた瞬間でした。どう見ても、上流階級の奥方様とおぼしき、妙齢のご婦人が、何かを叫びながらステージに殺到しました。おそらく、青春時代を謳歌されたであろう、年季の入ったツイストを叩き付けるように踊られました。あっけに取られる私を尻目に、次々とかなりご高齢のご婦人方が、負けじ!と、ステージに殺到。66年・ビートルズ日本公演も、かくや!と思われる、一大ツイスト大会となりました。その中には、司会進行を勤められた『保育園長先生』の雄姿もありました。言うまでもなく、これは一切の事前打ち合わせなしの、本物のサプライズでした。(こんな事なら、もっと長いロックンロールナンバーにすれば良かった)最後は、本当の全員合唱での童謡・唱歌が館内にこだまし、短時間でも、これほど濃密なステージを、本当に久方ぶりにワルツは体験しました。『夢の力』は本当にあるのですね−
 コンサートが終わればサイン会。お客様と楽しく談笑できました。スタッフの皆様との会食をして、ボクらは熊本医大付属病院へ。昨年の白水郷での展覧会でお世話になったボランティアスタッフ、のぞみさんのお見舞いに訪れたのだ。コボちゃんは窓から見える阿蘇山の外輪山の大きさに感動。
 病院から空港へは、津田塾生の上田史織ちゃんのご両親に送っていってもらう。空港へはワルツのおふたりも見送りにきてくれた。
 無事に離陸。機内でコボちゃんとビールで乾杯。
「やっぱり飛行機は大きい方がいいし、サービスも笑顔でしてくれた方が嬉しいわね」
はコボちゃんの言葉。
 羽田空港では『動く歩道』には乗らず、『歩く歩道』を歩く。あはは。これは当たり前。いずれにせよ、自分で歩いた方がいい。
 山手線でバッグの中の小さなワンちゃんに会う。途端にアルルのことが気になる。合宿はどうだったのだろうか。帰宅すると、ネコのキロンが怒っている。おそらく、ボクらがアルルを連れて旅をしたのだと勘違いをしているのだ。
▲ 大き過ぎ丸く見えない外輪山

◇[東海道コース] 戸塚到着!
おめでとうございます。戸塚を通過しました。次は藤沢。あと8,136歩です


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