★個展最新情報 「作品の内容をお知らせいたします」
 宝石の日々、日常のアリーナ。それらを描きたくてボクは悩んだ。心の世界、夢の映像。そんな絵ばかり描いていたボクは生活を題材にしたことがほとんどなかった。それが普通のコボちゃん、日常のボク、働いている遊んでいるアリーナを描写したいという思いから筆が止まってしまった。どうしても線が生まれてこない。悩むだけ悩み、苦しむだけ苦しんだ。そして個展を直前にした10日間で、いきなり生き生きとしたアリーナが見えてきたのだ。自然に力強い線が生まれてくる。悩まず苦しまず、流れるように描線が生まれてくる。そして個展「ありがとう盲導犬アリーナ」を無事開くことができたのだ。

 
◆ 作品は展示順です。
一部の作品キャプションの全文をご紹介いたします。このような散文がすべての作品に添付してあります。ゆっくりとご覧になれば、エム ナマエとコボちゃんとアリーナとの楽しかった暮らしが想像していただける仕組みになっています。4月30日の最終日まで、まだ間に合いますから、どうぞ会場にお出かけくださるようお願い申し上げます。


■ 2005 エム ナマエ個展 「ありがとう盲導犬アリーナ」
 1992年10月5日の出会いから2004年10月10日の別れまでの12年間、いつもボクとコボちゃんのそばにいてくれた盲導犬アリーナはボクらの守護神であり、またボクらの子どもでもありました。今、ボクらは星になったアリーナへ伝えます。ありがとうアリーナ。いつかまた一緒に、星の野原を散歩しよう。

     個展に姿を現します
   ひとりひとり挨拶を交わすエムナマエ


 
 
     桧画廊入り口
   お花畑のようなので、すぐにわかります。

    今回、アリーナのための新作19点がずらりと並んでいます。
    12年間の思い出は画廊の入り口から始まります。

 
  中央下の緑色のふくろうのぬいぐるみはNHKラジオ深夜便のマスコット「ゆめぞう君」に決定いたしました。NHK放送センターでも販売しています。 Tシャツ・一筆箋・ブローチ・買い物バック・特製ハンカチ・書籍その他いろいろなキャラクター商品が購入できます。
※なお、今回のキャラクター商品の売り上げは盲導犬協会に寄付されます


    原画販売、ちょっと奮発すれば。。。
 

個展キャプションのご紹介
 

「盲導犬卒業」 1994年度作品

アリーナが現役盲導犬だった当事、ボクはこの絵を描いた。
ところが「盲導犬学校卒業」と書くところを
「盲導犬卒業」と書いてしまった。
これでは、まるでアリーナが盲導犬をやめるみたいで、いやだなあ。
そう思い、ボクはずっとこのタイトルが気になっていた。
けれども、それから10年。盲導犬を退役したアリーナは星になった。
そして今。この絵は個展案内状の原画となってくれたのだ。


「おさんぽしないの」 1994年度作品

犬は笑わない。人間だけが笑うことを許されているのだ。
あれれ、本当だろうか?。
ワンちゃんと仲良しの人ならば、誰でも知っていることがある。
それは犬が笑うこと。犬が泣くこと。
だから、人と犬は心がつなげるのだ。
  「街を歩く」 HER WORK OUR WALK

おいち にい おいち にい
ボクが声をかける
チャッチャッチャッ チャッチャッチャッ
アリーナが歩く
いきたいときに いきたい場所に
それはアリーナと共に手に入れた自由
失明して 初めて知った 空気の流れ



「朝のおさんぽ」 MORNING WALK

アリーナの おさんぽ
夏の朝 涼しい空気を
コボちゃんと おさんぽ
仕事じゃないよ 遊びだよ
だから 気楽にテクテク
気ままに ホタホタ
ほうら ミニブルドッグの カイ君も ついてきた
  「公園デビュー」

噂話 流行のファッション
電信柱の情報交換 お尻の匂い
人は人 犬は犬
おしゃべりに 花が咲く いつもの さんぽ道
「街の明かり」 ILLUMINATION アクリル仕上げ

アリーナは目がいい
アリーナは見て覚える
アリーナは夜でも遠くが見える
だから アリーナは夜の街に輝くショウウィンドウが好きだった
車に乗って 夜の街を走るとき
光の変化を目で追うとき
それは アリーナの幸せな時間



   「ボクのおかあさん」 MY MOTHER

朝の遊歩道で アリーナが足をとめる
そこにいたのは 小さな声で鳴いていた ひとりぽっちの 片目の子猫
やせて細った 瀕死の泥猫
さあ今日から アリーナはお母さん
母親になれない盲導犬が
今日から 子猫のお母さん


「遊ぼうよ」 LET US PLAY

誰も見ていないところで アリーナはキロンと遊ぶ
キロンと同じ目の高さで
器用にやさしく 猫になって遊ぶ
けれど ボクの気配に気がつくと
いきなり おすましになって
盲導犬は猫なんかとは 遊びませんわと
耳のうしろを かく真似をする



  「ねえ、ふんでふんで」

ぼくは絶対 踏まれない
キロンは そう信じてる
大きなアリーナの目の前で
見えないボクの目の前で
バタリ倒れて 通せんぼ
「あしか遊び」

鴨川シーワールドであしかショウを見たアリーナは
あしか遊びを覚えてしまった
コボちゃんが投げるボールを
鼻でついて返すのだ
ポーンポーンと返すのだ
そして この遊びに夢中になったのは
アリーナよりも コボちゃんだった



  「最後の遊歩道」 LAST WALK アクリル仕上げ

2004年9月23日の朝
ボクはアリーナと遊歩道を歩いた
足の痛いボクと 足の弱ったアリーナは
ひとつになって ゆっくり歩いた
まっすぐ真面目に 黙って歩いた
アリーナは 最後まで盲導犬
最後の朝の 永遠の盲導犬
「アリーナ、どこへいったの?」 ISOLATION アクリル仕上げ

今でもキロンは さがしている
見えないアリーナを さがしている
ベッドにも おもちゃにも カーペットにも
アリーナの匂いはあるのに
アリーナはいない
どんなに鳴いて呼んでも
アリーナはいない
そして今日もキロンは鳴いている
アリーナを求めて 鳴いている
     
 

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