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■ 大ヒットなるか、NHKアナウンサーズが歌う『これって褒め言葉』

◆ 嘘だと思ってラジオを聴こう。
 ラジオが嘘だといっているのじゃない。本当だと思ってラジオに耳を傾けよう、といいたいのだ。いや、混乱してるなあ。そうじゃあなくって、つまりだまされたと思って、ラジオを聴いて欲しいと皆様にお願いしているのだ。もちろんラジオは貴方をだましたりはしないのだが。

◆ とにかくラジオが面白い
 失明して、仕方なくラジオで我慢しているわけではない。目の見える昔から、テレビよりはラジオが好きだった。いや、ラジオを愛していた。
 1948年にこの惑星に誕生したエム ナマエにとって、生まれて初めてのエンターテイメントがラジオだった。落語やラジオドラマの魅力もラジオから教えられた。けれども、映画やテレビの映像は、もちろん刺激的。月光仮面、スーパーマンや力道山。テレビで見るヒーローやスポーツ、映画に夢中になり、すっかりラジオを忘れていたこともある。けれど高校受験でラジオの深夜放送を知ってからというものは、再びラジオの魅力に目覚めた。
 選んだ職業がイラストレーター、ということもある。テレビを見ながら仕事は不可能。ああ、そうでもないか。テレビを見ながら漫画をかいていた少女漫画家をボクは知っていた。けれど、彼女が一流の仕事をしていたかどうかは疑わしい。あれ、脱線した。話題を元に戻します。つまり、ラジオだったらラジオへの傾聴と仕事への集中が両立するのだ。それに、目覚めてすぐの頭脳にラジオは効果的。イメージする力を養い、脳味噌の新陳代謝をよくしてくれる。
 現在の拠点、世田谷区の経堂界隈に暮らして33年になるが、当時から朝はラジオ、それもTBSと決まっていた。33年の過去も58歳の現在も、午前7時からはラジオのニュース解説を耳にしないと一日が始まらない。当時のコメンテイタは藤原弘達。そして現在のパーソナリティは森本たけろうと遠藤やす子さん。ああ、文字を忘れて失礼…。皆様、ウィークデイの朝6時半になったなら、TBSラジオ、『スタンバイ』にステイチューン。さすれば鬼に金棒。その日の、どんな話題にも追いつける。
 とにかくラジオをあなどってはならない。確かなことはただひとつ。テレビは人を無能化するが、ラジオはイマジネーションを喚起し、頭をよくしてくれる。ゲームボーイの脳トレなんかに遊ばれてないで、さっさとラジオのスウィッチ・オン。いや、先ずはラジオを買いなさい。

◆ サタデイウェイティングバー『アバンティー』
 土曜日の午後5時、東京FMにステイチューン。サタデイウェイティングバー『アバンティー』を訪れてみよう。置いてある酒はすべてサントリー。なにしろスポンサーがサントリー。
 ここに集う専門家たちがすごい。ムツゴローこと畑正憲が動物の薀蓄を披露したり、SFの巨人、小松左京が普段着でしゃべったり、現職の環境大臣が軽口のインタビュアーにため語で尋ねられたり、売れっ子の作家がオーディオ自慢をやらかしたり、役人は出るは、評論家は語るは、タレントはおだてられるは、とにかくためになっても、ならなくても、時の人たちが気軽に脳味噌を公開してくれるのだ。耳を傾けるだけで頭のよくなった錯覚ができる。

◆ 気がつかぬうちにFMに音質革命
 それにかかるズージャ、いやジャズがいい。最近のFM、どうかしちゃったんじゃないかと疑うくらい音がいい。技術の向上のおかげか、古いスピーカーからでも、強烈なる音圧と清浄なる温室で清冽に音楽が噴出してくる。そして、この時間の場合、それがジャズボーカルなのだ。ボクの仕事場で鳴っているのは2万円もしなかった音響セット。なのに、50万円はするステレオセットに匹敵すると思いたくなるほど素敵なサウンドを響かせる。こりゃたまらん。

◆ 魅力あるラジオパーソナリティ
 それに『アバンティー』では固い話題ばかりではない。トリデさんとミナミちゃんという屈折したラブラブカップルも登場する。このトリデなる人物、TBSラジオの『バツラジ』や『パカパカ行進曲』でお馴染みのラジオパーソナリティと同一人物であるとボクはニラんでいるのだが、真相は不明だ。何故ならば、このプログラム、ゲスト以外の出演者はすべて匿名なのだ。要するにサタデイウェイティングバー『アバンティー』のコンセプトでは、主役は飽く迄もお客様ということなのだろう。まあ、どこまでも芸の細かいこと。

◆ 夢中にさせるパーソナリティ
 ラジオでは個人が浮かび上がる。たとえばラジオに出演するパーソナリティの誰にでもいい、とにかく恋をしてみることだ。それも、かなり本気で。そして万が一でも当人への面会が実現してみると、期待を裏切られることは99パーセントない。ボクはこれまで役得として様々なパーソナリティにお会いしてきた。そして、ただの一度も期待を裏切られたことがない。けれど100パーセントではなく、99パーセントと提示したのは、世の中には必ず例外があるからだ。けれども、これは余分な心配、無駄な保険。ボクはこれまでただの一度だって、例外なんかに遭遇したことがないのだから。

◆ 月曜の夜は『歌謡ドラマ』
そう。ここに素敵なパーソナリティをひとりだけ紹介しよう。魅力的な女性である。月曜日の午後9時半になったなら、NHKラジオの第一にステイチューン。『歌謡ドラマ』がスタートする。ヒロインを演じるのが山下智子さん。この人の声を聴いた瞬間から、ボクはもう虜。彼女から逃げられなくなってしまった。月曜日の夜はラジオに釘付け。彼女から発せられる、ただの一言だって逃すまいと必死になるのだ。
 いずれこの『歌謡ドラマ』とそのディレクターの川口泰典氏、ヒロインを演じる山下智子さん、脚本家の吉峰真琴さんについては熱く語りたい。いや、NHKでもTBSでも文化放送でも、東京FMであろうとも、ラジオについて、もっともっと強烈に猛烈に熱く激しく語りたいのである。
 あれあれ、いけない。今回のテーマはNHKは梅津正樹アナウンサーによるロックンロール。少しイントロを引っ張り過ぎたかもしれない。お許しあれ。

◆ NHKアナウンサーが歌う『みんなの歌』
 『みんなの歌』を知らない人はいないだろう。いくらNHKの受信料支払いを拒否しても、『みんなの歌』を知らずに生きてこられた人は珍しい。
 ボクと同じ世代で「小さい秋、みいつけた」とか「銀色の、はるかな道」とか、そんなフレーズをどっかで耳にしたことのない人間は存在しないはずである。
 山下達郎とか、ユーミンやサザンが過去に歌っているかどうかは知らないが、頂点に君臨するものすごいアーティストたちが『みんなの歌』で全力投球をしている。最近ではチャーがナイスミドルのボーカルと日本一のギターテクニックを披露していた。
 ところがいきなりだ、驚天動地のグループがこの『みんなの歌』に乱入してきた。歌うは『これって褒め言葉』。
グループの名称はNHKアナウンサーズ。リードボーカルはニュースを読ませれば超一流、朗読をやらせればロマン派でリスナーを陶酔させる、アナウンサーになってから35年の梅津正樹アナウンサー。このボーカルがロックンロールですごくいい。ロックなのに、オペラ調なのも、ひどくいい。
 歌詞の内容がまたユニーク。要するにNHKの日本語センターの研究の成果がここに反映されているのだ。一度聴けば納得すること間違いなし。よくぞ歌ってくれました。さすが、NHK。やることが正統派。仕事でもプライベートでも、日ごろの暮らしでも、NHKに尋常ならざるお世話になっているエム ナマエといたしましては、ただただ万歳を唱えるのだった。めでたし、めでたし。
 冗談はさておき、とにかく楽しく愉快だから一度は聴いていただきたい。リードボーカルはもちろん、バックボーカルも男女入り乱れての全員アナウンサー。いや、おそらくそうだろう、との推察に過ぎないが。また、もしかしたら演奏もアナウンサーたちによるものかもしれない。というのは、ちょいとばかし素人の空気が流れているからだ。それにしてもである、まさかNHKのアナウンサーたちが、こんなことをやらかすなんて、ひたすら感動物語なのだ。ああ、NHKも企業努力をしているのかなあ。お疲れ様。
 ところで、このコラムはラジオ賞賛が目的なのであるが、『みんなの歌』はテレビでもやっている。映像では、もっと愉快なトライアルがあるかもしれないので、ここはテレビのスウィッチも入れていただきたい。そして、もしも滅茶苦茶に素敵なアニメでも御覧になったら、エム ナマエにもメイルして、カラフルな説明を拝聴させてくださいな。
 というわけで、今回はこれでおしまい。どうもありがとう。
10/09/2006

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