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■ ロクホシくん誕生

◆ ロクホシくんは日本点字図書館のキャラクター
 ロクホシくんは天道虫。といっても地球上に存在する昆虫の、いわゆる天道虫ではありません。
 ロクホシくんは日本点字図書館のシンボルなのです。カッコつけていえば、キャラクター。つまり、ロクホシくんとは、これから日本点字図書館の顔となるかわいらしい空想上の虫なのであります。

◆ 見えないふたりで絵の相談
 リンリン、リリン、リンリンリリン、とばかり電話が鳴りまして、ボクは受話器を取り上げます。それは日本点字図書館の田中理事長からのお電話であったのです。
 田中理事長とはボクが失明して作家となり、新人賞をいただいたときからの古い知り合い。当時の田中さんは日本点字図書館が企画してくださった録音番組のディレクターをされておられました。ボクも田中さんもお互い中途失明者。そして、ボクは慶應義塾、彼は早稲田大学。盲目同士の早慶戦。おお、宿命のライバル同士。まあ、そんな大袈裟な。そういう話じゃありません。
 田中さんは十数年が経過するうちに、日本点字図書館の館長になられ、今や理事長となられて大活躍をされています。エム ナマエはあいも変わらずヒラストレータ。つまりヒラのイラストレータ。がはは。情けない。
 で、その田中理事長が、しがないヒラストレータのエム ナマエに御用があるというのです。
「あのお、エムさん、ひとつ絵をかいてくださいますか」
「はい。どんな絵でしょう」
「それはですねえ、つまりですねえ…」
 と、ここまで会話は進んでも、お互いが目の見えない同士。打ち合わせはちっとも展開しません。
「どうやら、ふたりで話をしていても、ラチがあきませんね」
 と意見が一致したのであります。

◆ 日本点字図書館の企画とは
 それは日本点字図書館の新しいシンボルをエム ナマエにお任せくださる、ということでした。けれども何をかきましょうか。ボクにはうまいアイディアが浮かんできません。そこで図書館のスタッフの皆様に考えていただくのが最適だということに気がつきました。

◆ ウサギくんと天道虫
 まず第一案が出ました。ウサギの絵がいい。それは日本点字図書館の生みの親、本間一夫先生がウサギ年であることに由来しています。
 ボクはいろいろなパターンでウサギの絵をかきました。ウサギが指を立てて点字の本を読んでいる。ウサギが指を立てて立っている。つまり、点字は指で読む文字ですから、この場合、指は重要なセンサーとなるのです。けれども、ボクはウサギの絵があまり得意ではありませんでした。要するに早くいえば、ボクのウサギは失格となりました。
 スタッフの第二案は天道虫のキャラクターです。点字と天道虫。これは面白い着眼です。これだ。ボクもそう思いました。そして、天道虫といえば七星天道虫。けれども点字は六つの点から構成されていますから、七星ではなくて、ロクホシがいい。そこで「ロクホシくん」というキャラクターがネーミングされたのです。

◆ ンポコとンタマの絵
 さて、どんな絵柄にしようかな。ボクは考えます。
 ロクホシくんは点字のシンボルですから、人間の指先にロクホシくんがとまっている絵柄をかいてみました。思い切りデフォルメしてかいたら、これがコボちゃんには評判が悪い。コボちゃんはいうのです。
「この手と指の絵、あまりデフォルメしてるから、あのね、手に見えないの。あのね、どちらかというと、ええとね、ンポコとンタマの絵に見えちゃうの。だからね、ンポコの先っぽで天道虫が遊んでる絵に見えちゃうのよ」
 そりゃあヤバイ。ンポコの先っぽで天道虫が遊んだら、どんなことになるのやら。で、ボクはすぐに違う図案を考えました。
 でもねえ、虫の絵って難しいのですよ。絵本「ゆめねこウピタ」ではゴキブリ君を登場させましたから、ボクはゴキブリは得意なのです。でも、天道虫をかいた経験は多くない。ボクが天道虫だと思ってかいても、どうしてもゴキブリに見えてしまう。ですからね、猛烈に天道虫の絵を練習したわけです。

◆ 天道虫できた
 天道虫らしい図案ができたら、それを何枚もかきました。そして、そのバリエーションもかきました。足の形、目玉の形、六つある点の並び。いろいろなパターンが浮かんできます。そして、これだという形が生まれたら、その虫を本の上にのせてあげます。白い本とは点字の本。そこを歩くロクホシくんは点字のシンボル。
 この絵を日本点字図書館のスタッフの皆様も気にいってくださいました。いよいよロクホシくんの誕生です。

◆ ロクホシくんのグッズが生まれます
 今、ロクホシくんは日本点字図書館のシンボルとして活躍中です。スタッフのテーブルにはロクホシくんの葉書がピンナップされているとか。それに一筆箋もできました。これからロクホシくんをデザインした様々なグッズが展開されるかもしれません。ロクホシくんをモチーフにした絵葉書なんかもかかせてもらいたいとエム ナマエは願っています。どうか皆様、これからロクホシくんを可愛がってやってください。心からお願いいたします。 08/01/2007




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