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■ 暖冬の初雪
−東京に、気象庁の知らない初雪が降っていた−

◆ 正月の寄席はめでたいぞ
 2007年正月。暖冬である。でも、今朝はなんとなく冷えるぞ。
 ボクは家内のコボちゃんと山手線に乗る。向かうは池袋。目的は寄席である。
 1月20日の池袋演芸場、正月二の席も千秋楽となり、落語世界の正月気分も今日でおしまいとなる。めでたい気分を味わうラストチャンスなのだ。
 出演者がいい。エム ナマエひいきの柳家一琴から、人気沸騰の小三治まで、豪華絢爛。そのことを客がいちばん知っていて、12時発売の切符売り場には1時間前から行列ができている。
 ボクらは空腹だったので、その行列が見える店でカレーライスをかっこんだ。食べているうちにも、行列は見る見る成長していく。栄養点滴されたモスラみたいなもんだ。ああ、もうたまらん。半分食べたところで、ボクらは店を飛び出した。

◆ 雪がちらちら
 外に出た途端、コボちゃんが息をのんだ。
「あら、雪だわ」
「そうかあ。寒いと思ったはずだ」
 行列に加わったボクの顔面に、はかなくも冷たいものがちらちらと当たる。雪だ。本物の雪だ。
 予定より早く切符が発売された。雪のせいだろうか、とにかく助かった。このままではスノウマンになってしまう。そう思っていたところだったのだ。
 けれど、窓口にたどり着く頃には空からの雪は消えていた。

◆ 超満員の客席
 あんなに行列だったのに、最前列に座れた。これを幸運と感謝すべきか。寄席は最前列が嬉しい。ボクはそう思うのだが、周囲を観察すると、事情が見えてきた。
 ランチタイムに窓口の行列。ボクはその行列を気にしながらカレーライスを半分しか食べられなかった。でも、食堂なんかに入らずに昼飯にありつける方策があったのだ。
「ここの座席、新幹線みたいに、前の座席の背中からテーブルが出てくるんだわ」
 耳を澄ますと、四方八方から食べる音。そうだよな。新宿でも池袋でも、おいしい駅弁が買えるもんな。あああ。ジャガイモがゴロゴロのカレーライスでなくても、ううん、よかったんだ。
 でも、本当はボクも知ってた。寄席や芝居は飲み食い自由だってこと。三越劇場だって歌舞伎座だって、客席で弁当を広げてる。でもなあ、膝での食卓は不安定だし。そうか、だからテーブルつきの座席なんだ。けど、最前列にはテーブルがない。新幹線のグリーンじゃないもんな。だから、満員なのに最前列に座れたんだ。
 新しくなった池袋演芸場は今度が初めて。次にくるときは、マイ・ヘイバリット弁当持参でこようっと。

◆ 落語家さんが証人です
 早速、高座の座布団から初雪の話題。でも、さすがは落語家さん。気象庁が発表する東京の天気は、大手町の観測所のデータによるものであることをご存知でした。
「大手町に降らないで、池袋だけ降ったんじゃ、こらあ、おそらく記録にはなりませんよね」
 というわけで、ラジオでは今でも、まだ東京に初雪がないを連発。やっぱり池袋演芸場前の初雪は公式記録にはならなかったのでした。でも、池袋の住人と、寄席の客と芸人だけは知っているのだ。
 さて、暖冬です。そして、暖冬となれば雨も多くなる。もしも雨になり、たまたま地表温度が4度以下になれば、空の雪粒は雨にならずに落ちてくる。つまり、そのまんま雪となるわけ。今年の冬、暖かいけど、都市機能が停止するほどの積雪にならねばよいのだが。     02/02/2007


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