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■ 毎年くるくる桜前線

◆ とうとう5月になっちゃった
 桜のことを書こうと思って、あれやこれやと考えているうちに、あああ、とうとう5月になっちゃった。知いらないっと。でも書いちゃうんだもんね。
 そういえば、最後の桜前線関連ニュースはいつのことだったろう。青森で満開とか、函館で満開とか聞いたのが、ついこの間で、桜レポートはまだ間に合うぞ、と思った記憶はあることはある。けどやっぱり、もっと早く書くべきだよね。すいません。

◆ 桜前線不連続
 さてさて、地球温暖化。青い惑星は危機的状況らしいのだ。北極でも南極でも氷がゆるみ、ペンギンもアザラシもシロクマも、みんな涙目になってるとか。
 桜の開花には『休眠打破』という手続きが必要らしい。その打破をもたらすのが寒さだという。ところが地球温暖化によって最低温度が上昇してきた。日本列島は長いので、桜前線の基準になっている桜のスーパースター、染井吉野は暖かい地方から開花する。ところがだ、その単純な法則に狂いが生じているのだ。
 今年は東京や横浜で日本最初の桜開花宣言がくだされた。おい、本当かよ。鹿児島や土佐を尻目に、関東地方が桜レースに勝利してよいものだろうか。そりゃ、よくないない。とはいえ、仕様がない。一度寒くならないと休眠打破しない染井吉野姫は、暖かい地方では眠れる森の美女。極北のプリンスが氷のキッスを捧げなければ、いつまでたっても目覚めることはないのである。

◆ お花見レポート
 そんな桜前線不連続の中、エイプリルフールの花見をした。近所に桜のトンネルがあるのだ。お供はコボちゃんと愛犬アルル。いや、ボクが家内と愛犬のお供なのかもしれなかった。なにしろボクは、ひとりでは外出できないのだ。
 桜の花は香るという。本当だろうか。満開の桜の下をいくら歩いても、なんの香りもしてはこない。桜が香ると感じるのは、目が見えている人だけの話かもしれない。
 鼻が悪いのではないかだって。とーんでもない。ボクの鼻は目の役目をするくらい、優秀なのだ。だから桜餅はたまらない。あの塩漬けの葉っぱは匂いも味も格別である。
 でも、満開の桜の下で花の香りを楽しむことは、いずれにしても不可能だ。雑踏、雑音、屋台の食べ物。たとえ芳香の微粒子が空気中に含有されていたとしても、それらは商魂の被膜におおわれて、即死すること間違いない。

◆ 花びらのキッス
 微かなものがボクの唇に触れた。花びらのキッス。もしかして、それは花の香りより素敵かもしれない。そう考えていたら、冷たいラムネを手渡しながら、愛犬アルルの鼻の先にも花びらがはりついていると、コボちゃんがいう。桜のトンネルの下は、文字通り花吹雪なのである。

◆ 4月の歌謡ドラマもテーマは桜
 NHKラジオの歌謡ドラマ。今も夢中で聴いている。エニイタイム、満点というわけでもないけれど、山下智子さんの魅力は変わることなく輝きを失わない。もちろん吉峰真琴さんの筆も冴えている。
 4月はすべてが桜をテーマにした作品であった。特に吉峰真琴筆による『桜』という物語は秀逸だった。
 ヒロインは美桜という若き草木染作家。その彼女がいにしえの桜を求めて心の旅をする、という流れである。けれどドラマは地球規模で広がっていく。以下は当日のボクの日記からの引用である。日記だから、ひどい文章であることは、どうかお許しいただきたい。

◆ プライベートな感想文
 今夜の歌謡ドラマ、美桜というヒロインのドラマ、よかった。草木染のテーマ、シンパシーする所が多い。ボタニカルカメラマンの撮影したバオバブの樹も共感できる視点である。ボクがケニアで目撃したのは、巨大なバオバブの樹を囲むアフリカゾウの集団家族。それは、たとえば巨大な花を囲む蟻のグループみたいにも見えたし、アジサイの花の下で雨宿りをするダンゴムシの家族にも見えたかもしれない。とにかくバオバブはすべての命をいつくしむ巨大な生命エネルギーの発電装置のように感じられたのである。キリマンジャロのふもとにアンボセリというナショナルパークがある。そこのロッジから一路、ナイロビに旅したときのことである。サバンナに一直線に続く道路のわきに、次々とバオバブツリーが現れるのだ。そのひとつひとつが違う形で個性的。バオバブの樹というのは、印象だけでいうと、空からまっさかさまに落ちてきて、そのまんまの形で生えてしまったように見える。要するに、枝の部分は地面の下。空に向かって根っこばかりを広げている形。そんな風に見えたことを思い出す。今夜の歌謡ドラマ。ボクの好きな吉峰真琴氏の創作であろう。草木染のテーマ、画家だからこそ感動する。というか、よく分かる。絵の具というのは本来、自然の素材から作られるべきもの。化学薬品からは本来の色は生まれない。いや、化学製品は化学的刺激に強くないし、紫外線にも破壊される。つまり、すぐに変質してしまうのである。今夜の歌謡ドラマ、よかった。なんつーか、いろいろなリンクがあって、いろんなシンクロニシティーがあって、いろんな共感があって、いろんな偶然があって、たまたま好きなものが交錯した30分間であった。

◆ 桜通信
 桜の季節、ボクの敬愛する吟遊コラムニスト、立山誠浩氏から数本の桜通信をいただいた。すでて興味深いものであったが、ご本人の許可をいただいて、以下の文面をご紹介する。そして、この記事の制作が遅れたことを皆様にお詫びするのである。   26/05/2007

■ 「桜通信 第二号」       立山誠浩
桜といえば、“僕的”にはやはり「墨堤」ですな。隅田川の両岸を、気取って「ぼくてい」と呼ぶと、気分は一気に、江戸か明治のノンビリ日和。下町にはそういう人が多いのか、浅草は平日なのに花見客で一杯でした。

ところで、隅田川で桜の花とくれば、この唄ですな。



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