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■ 第15回『野路菊賞」を拝受いたします

◆ 電話が鳴りました
 受話器の向こうから、ジェントルなお声。日本点字図書館の田中徹二理事長です。田中さんとは、ボクが失明後最初の童話で新人賞をいただいた、平成元年以来の古い知り合い。ふたりで中途失明の早慶戦、と思っていましたが、田中さんは日本点字図書館の館長になられたり、理事長になられたりの大活躍で、ボクなんか足元にも及びません。そういえば、今年の早慶戦も、ハンカチ王子の活躍で、慶應義塾は敗北。早稲田は優勝したんだっけ。くやちい。でも、ここでは関係ないのである。

◆ 野路菊賞拝受
 思いもよらぬ受賞のニュース。その事実を田中理事長ご自身が電話で伝えてくださったのです。
 第15回『野路菊賞』。野路菊賞という競馬の賞があるらしいのですが、ボクは馬ではありません。もちろん騎手でもありませんし、馬券も買いません。日本点字図書館の『野路菊賞』は、ボクなどにはとても不似合いなマジメな賞でありました。
 田中理事長によれば、野路菊賞とは、平成5年度から表彰を開始された賞であって、日本点字図書館の事業に大きく貢献した人、わが国の視覚障害者の福祉、文化に大きく貢献した人の中から推薦された人を選考して決めているそうなのです。

◆ ロクホシくん
 んで、なんで野路菊賞がボクなの。そういえば、ボクは日本点字図書館のシンボルマークであるロクホシくんというキャラクターをデザインしたことがあります。日点のお役に立ったといえば、それくらいしか思い出せません。でも、デザインなんて大袈裟なもんでなく、点字が六個の点から構成されているので、ナナホシテントウムシでなくて、ロクホシテントウムシはどうか、という職員の皆様のアイディアを絵にしただけなのでした。

◆ ボクと日本点字図書館
 拙著『失明地平線』にも記したように、これまでボクはどれだけ日本点字図書館に助けられてきたことでしょう。花島用具部長さんや田中徹二氏との出会い。創立者、本間一夫先生からの指導と激励。それらすべての出来事が失明したばかりのボクの「はじめの一歩」を作り出してくれたのです。
 21世紀。文明が花開けば開くほど、影の部分も大きくなっていきます。そのひとつが糖尿病。これからも、ボクのように、糖尿病による中途失明者が少なからず出てくることでしょう。文明の未来、日本点字図書館の存在が運命における暗闇の灯台であり続けることを祈ってやみません。
 授賞式は11月17日。ボクは謹んでありがたく賞を拝受いたします。   29/10/2007


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