■ 絵本の感想をいただきました
◆ いつだって、お手紙はうれしいもの
いくつになっても、どんなタイミングでも、お手紙もらうのはうれしいものです。まあ、今はメイルというところでしょうが、それでもときどきはお手紙が届きます。デジタルの文字も便利ですが、手書きの文字も暖かくていい。もちろん手紙はコボちゃんが読んでくれますから大丈夫。
さて、絵本『まちがしあわせになったよる』の感想をいただきました。同業者ですが、高名な作家です。その文面を、ご本人の許可をいただいて転載いたします。
さて、皆様もエム ナマエの本を読んだ感想をお聞かせください。今後の励みと糧にさせていただきます。
◆ いただいた感想とは
さっきまでご著書を何度も読み返していたので、お返事が遅れました。インダラ網はインドラ網ともいうようです。ざっとネットで調べましたが、エム情報と同じ物しか出てきませんでした。
宮沢賢治に「インダラの木」という童話があるそうです。読んでみたいです。ゆっくり、出所を検索してみますね。
その前に、感想です。「まちがしあわせになったよる」、素晴らしい作品です!泣きました。再々読したら、また泣くでしょう。
私は作家なので、どうしても文章に重きを置いてしまうのですが、子どもから大人まで、大勢の人に是非、読んで欲しい作品です。オビにある「未来へのメッセージ」というのがまさに、マトを得ていると思いました。
ネパールの村で、自家発電の電気がこなくなると、人々はろうそくをともします。ろうそくの光のもとでは、なぜか優しい気持ちになり、見知らぬトレッカー同士で「どちらまで?」など、会話も弾みます。そして、本当に星が大きく、輝いて見える。
便利さと効率とを追求した結果、先進国が失ってしまったもののことに思いをはせさせる絵本です。これを読み、部屋の明かりを消して、ろうそくをともす読者もいるのではないでしょうか。
絵も素晴らしいけど、文章がまた、すばらしいです。「さびしいおとこ」「ないているおんな」と、名前という固有名詞をつけないことによって、この2人が(のらねこのおやこも、また)普遍性帯びました。ないているおんなの「なくしたもの」に、読者は自分の失ったものを重ねます。「さびしいおとこ」に、いわれのない非難を受けた時の悲しみを重ねます。自身の孤独な夜を重ねます。
格調の高い文章と、心を和ませてくれる絵とがマッチした、他にない作品です。
私は特に、いわゆるトリック・スター的な役割を果たすコウモリのバッド・ボーイに、エムさんの奥深さを見ました。トリック・スターって心理学用語ですが、つまり、状況・関係性を混乱させることにより、前よりも良い結果をもたらす存在のことです(以前、何かの本で読み、ウロ覚えですが)
このバッド・ボーイが登場して、魔法の弓矢をピピから取り上げなければ、発電所のショートはなく、人々が夜の暗さに、星の輝きを見つけることもなかったわけで。
今日のお話と考え合わせれば、「いいもん」だけでは何も起きないとも解せます。「わるもん」がいて、その存在をも認めることが、真の意味で成熟した社会なのだと。
素晴らしい絵本をありがとうございました。
◆ 手前味噌で恐縮ですが
いやはや、まさに手前味噌な行為で恐縮ですが、お正月から自画自賛をしてしまいました。あまりカッコよいことではありません。世間は味方ばかりではありませんから。心を引き締め、2008年は自画自賛ではなく、皆様に承認いただけるような仕事をしていきます。ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
2008/01/01
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