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■ クリスマスでにぎわう大阪にいってきました    2006/01/03

◆ ここは本当に大阪だろうか
 ひさびさの大阪です。新大阪駅におりてボクとコボちゃんはタクシーに乗りました。ラジオ局から指定されたホテルの名前を伝えます。
 扉を入ると、大きなホテル。いわゆる超高層ホテルってやつです。
 疲れていたので部屋にあがる前に、まずラウンジでコーヒー。ちょっと豪華にクリームたっぷりのウィンナコーヒーを注文しました。けれど、期待していた豊かなクリームではなく、お菓子のように甘いクリーム。うあわ、俗っぽい。甘ったるい。露骨に子ども向け。これが大阪の味というやつだっけ?。
 支払いをして部屋にあがろうとしました。
「1890円いただきます」
 え、一杯900円のコーヒーだって。おいおい、ちょっと待ってよ。ここは大阪だろ。ああ、そうか。今夜はクリスマスイヴだった。
この値段、「クリスマスプライスですか。普段はこんなに高くはないんでしょ?」
「いいえ、いつもこのお値段でお願いしております」
「へええ、大阪で、この値段。すごいね。よく潰れないでやってるね」
 ボクは呆れてレジを立ち去りました。スペシャルなコーヒー。たとえばブルーマウンテンとか、たとえば金粉まきちらしコーヒーかなんかだったら納得できても、ただのコーヒーに900円のお金を支払う、そんなアホな大阪人はいてやしまへん。あれ、これは京都弁だったっけ。どうも西にくると言葉もイントネーションも、妙におかしくなっちまう。

◆ どこも満員、予約いっぱい
 わざわざホテルが混雑しているクリスマスイヴを選んで大阪にきたのではありません。24時間ラジオ番組、チャリティー・ミュージックソンに出演するためにやってきたのです。そのホテルで一杯900円のコーヒーを飲まされたとは口惜しい。そして、これが普段の値段となると、クリスマスディナーはどれだけ高いのだろう。不安。いきなり不安。心臓がドキドキしてきました。
 とうとう夜になりました。食事をしなければなりません。財布がからっぽになったら東京へは帰れない。でもなあ。ここは大阪。そんなヒドイことはしないよな。 ボクは大阪の健全なる商人文化を信頼しているのです。
 フロントのクールな令嬢が応対してくれます。
「申し訳ございませんが、51階の最上階レストランは満席でご利用になれません」 
 内心ボクは安堵しました。参考のためクリスマスディナーのお値段を尋ねます。ああ、満席でよかった。ボクが尊敬するスズキさんのお店だったら別だけど、無謀な無駄遣いはできません。それにスズキさんのお店はその半分で最高のディナーを楽しませてくれますから。
「ええと…、他にレストランはありますか?」
「はい、2階にテラスレストランがございます。座席を確認いたしましょうか?」
 このテラスレストランのことは既に知っていました。フランス料理ではなく、創作西洋料理とかを供するカジュアルレストランです。部屋の案内書にはそう書いてありました。いずれにせよ、バカ高いレストランではなさそうです。
「ええ、お願いいたします」
 彼女はすぐに早口の流暢な共通語で予約状況の確認を始めました。不思議なことに、大阪弁ではないのです。
「小さなテーブルになってしまうのですが、おふたり分の座席があるそうです。ただし廊下側ですので、落ち着かないかもしれないとのことですが、いかがいたしましょうか?」
「いやいや、それで結構。お願いいたします」
 いざテーブルにつくと、そこは書き入れ時に急造された臨時食卓のような気がしてなりません。
「ここ、廊下側じゃなくて、廊下そのものじゃないかしら」
「いや、そうじゃなくて、ここは広場のテラスレストラン。そういうツモリなのさ。その気になってあげなくちゃ」
 ヨーロッパの広場にあるカフェテラス。今はそこにいるのだと自分に言い聞かせます。石畳に並べられたテーブルと椅子。その間を人々が忙しく往復しているのが見えるようです。
 天井が高いのでしょう。子どもたちや大勢の人声、食器のぶつかる音に重なって、ピアノとボーカルによる生演奏のクリスマスソングが反響しています。おお、ゴージャス。これぞクリスマスナイト。

◆ シャンパンでもあけようか
「あら、シャンパンがいろいろあるみたいよ。それにワインも揃ってるわ」
 家内のコボちゃんは最近シャンパンに夢中。そういうボクだって、酒の王様はシャンパンであると公言しています。どうやら、目立つ場所にボクらの好きな銘柄のボトルが並んでいるらしいのです。
「あたし、クリスタルが飲みたい。じゃなかったら、ルイロデレールでもいい」
「そんなもん飲んだら、食事代が消えちまう」
 そうか。今夜は特別に、無理でもするか。コボちゃんは仕事のために、知らない街でクリスマスだもんな。ボクはボクで奇妙な理屈にひとり合点をしています。やはりクリスマスナイトがボクらを酔わせているのかもしれません。
「ワインリストはこれで全部ですか?。シャンパンはないのですか?」
「いいえ、イタリアのシャンパンが用意してございます」
「あのねえ、君。イタリアのはシャンパンとはいわないでしょ…」
「このグラスサービスのスパークリングワインで結構です」
 コボちゃんがボクの抗議をさえぎります。
「あはは。あたしたちのこと、シャンパンなんか飲んだことないと思ってるのかしら?」
「それにしてもイタリアのシャンパンはないやな」
「まあ、こんなとこで口論なんかしても無駄よ」
 ウェイターが立ち去ってからボクは家内に尋ねました。
「どんなウェイター?」
「小さくて、背中が丸まって、顎が前に出て、サルみたいにしゃべる人。真面目で親切だけれども、まあ、少なくてもプロのホテルマンには見えないわ」
「なんだか、ここってチェーンのふぁみレスみたいな雰囲気がしないか?」
「そうそう、そんな感じ」
 ボクは気の抜けて、深みも味わいも感じられないアルコール入りのサイダーみたいな飲み物を口に運びました。
「このステーキ、生だわ。ミディアムって頼んだのに、ちっとも焼けてないじゃない」
 透析患者で蛋白質摂取に配慮しなければならないボクにとって、ステーキはリスクの高い食べ物。けれども今夜のメニューはアラカルトなし。すべて決められているのです。
「けれど、肉がいいから旨いよ。ステーキらしい仕上がりになってるし」
「いやよ、こんなの。あたし生の肉なんか食べないもん。あたし、ライオンじゃないもん」
 期待していたシャンパンがただの囮と判明して、コボちゃんの機嫌はいきなりレッドゾーン。こいつは危険。へたをするとボクが血祭りにあげられます。
「シャンパンもないし、ワインも種類が少ないし、聞いたことのない銘柄ばっかしだし。ねえ、あたし赤ワイン飲みたいの。酔っ払って、くだまいてやる」
「イタリアンワインだったら外れがないと思うけど」
「じゃ、それでいい」
 ボクはコボちゃんが爆発しないよう、祈るばかりです。
「ソムリエみたいな人って、いないのかしら?」
「学生アルバイトのソムリエだったら、いるかもね」
 コボちゃんはボクの冗談を相手にしてくれません。
「みんな社員だと思うわよ。全員それなりの年齢だもの。あ、大切なことに気がついた。ここ大阪弁が聞こえない」
 そうだ。ボクも無意識では気がついていたけれど、これまでなんとなく消化不良な気分でいた理由がその瞬間にはっきりしたのです。ボクらは大阪にいながら、まだ本格的な大阪弁を聞いていないのです。
「不思議だ。このホテルでは大阪弁が聞こえない。いや、そうじゃない。ここに大阪人は存在していないのだ」

◆ 近くに家族で遊ぶ銀行があるらしい
 ボクらはイタリアンワインでしこたま酔っ払って部屋にあがりました。36階。港を展望する窓からの夜景にコボちゃんが見とれています。するといきなり、
「なんか見えるよ。ちかちか光って、なんか見えるよ」
と、わけのわからないことをいってます。
「もしかしたらUFO?」
「ちがう、ちがう。お空じゃなくて、地べた」
「じゃ、建物か何かでしょ。案内書で調べてみたら…」
「うん!」
 コボちゃんの、ぱらぱらとページをめくる音。
「うわあ、あったよ、UFOじゃなくって、UFJ。これだよ、これこれ!」
「UFJ銀行がどうしたのさ?」
「だからね、有名なUFJがあってさ、ここのお客さんはそこにきてるの」
「で、どうするの?」
「家族みんなで遊ぶのよ」
「銀行でかい?」
「そうよ、そうよ。UFJがハリウッドからやってきたのよ。だからさ、日本中からお客さんもやってくるのよ。それでさ、ホテルもできたのよ」
「UFJってさ、アメリカの銀行だったっけ?」
「UFJは銀行なんかじゃないわよ。テーマパークよ。アミューズメントよ」
「そうじゃない。銀行だよ。もうすぐ三菱とくっつくやつ」
「それはUFJでしょ。あたしのいってるのは、USJ」 
「なんだ、USJか。つまり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン。例の映画体験のできるテーマパークだろ」
「そうよ。さっきからあたし、USJって、いってるじゃない」
「だったっけ?」
 そうなのです。大阪弁は聞こえないはずです。ここの宿泊客はユニバーサル・スタジオ・ジャパン目掛けて日本中から集まる大阪人以外の人。ですから、商売も大阪の人をあいてにはしてはいません。ホテルの従業員も大阪の人手ある必要がないのでしょう。ハリウッドのテーマパークにふさわしいのは無国籍で無色透明。つまり、大阪の文化は排除されているのです。少なくともボクにはそう感じられました。むむむ、残念。

◆ イヴが明けた翌朝が本番です
 クリスマスの朝がやってきました。ロビーにおりると、既にチェックアウトは終わっています。すべて放送局が支払ってくれたのです。なあんだ。心配して損をした。ああ、おいしい料理だったなあ。おいしいシャンパン、じゃなくて、スパークリングワインだったなあ。素敵で豪華なホテルだったなあ。泊まれてよかったなあ。万歳。
 それに、な、なんと隣が放送局。そういえば、昨夜はこのホテルでも番組関係のイベントをやってたもんね。鈍感なボクにもだんだん見えてきました。
 生放送中の局に入ると、いきなり大阪弁の洪水。右も左も本物の大阪弁。アナウンサーも大阪弁。出演者も大阪弁。スピーカーからも大阪弁。ボクの心も大阪弁。うわあい、儲かりまっか?。
 以前からの知り合い、SさんやKさんが出迎えてくださいます。握手、握手、大阪弁。いろいろなことをしゃべります。生放送中なのに、社長さんからも声をかけられます。またまた握手、大阪弁。名刺をいただいて、大切にポケットにしまいます。
「…あのお、打ち合わせはしないのですか?」
「ええ、大丈夫です。マサトはんが相手をしてくれまっから」
「マサトさんって、ボクは知りません」
「あはは、そんなこと、ないやろ思いますけど」
「そうでっか?」
 いよいよ本番。スタジオでビックリ。マサトさんって、あの「ザ・ボンチ」のマサトさんではないですか。A地点からB地点へいったりきたりしていた、あのマサトさんではないですか。ボケの、もしかしたらホンモノノボケかもしれないオサムちゃんの相手をしている、あの苦労人のマサトさんではないですか。
「よろしくお願いします」
 ボクは思わず丁寧に挨拶をして握手を求めてしまいました。知ってる人は知ってるでしょうが、ボクは演芸ファンです。それも猛烈なる。東京だろうと、大阪だろうと、江戸だろうと、上方だろうと、ボクの落語や漫才に向ける情熱は大変なものです。
「落語もいいけど、仕事をしてよね」
 毎日のようにコボちゃんにいわれてます。
「歌もいいけど、仕事をしてよね」
 最近コボちゃんはこうもいってます。話を戻します。ボクはスタジオのマサトさんに声をかけました。
「NHKラジオの上方演芸会、拝聴しています。新作ばかりですから大変ですよね」
「いやあ、つらい所を聞かれてますなあ」
 ザ・ボンチを知らない人はいないでしょう。漫才ブームを爆発させた名コンビですから。彼らは再び結成されて、またまた大活躍をしています。ボクが注目しているのはNHKラジオの『上方演芸会』に出演しているときのおふたり。この番組は大阪の落語や漫才を東京で定期的に楽しめる、ラジオでは唯一の伝統と由緒ある正統演芸番組です。なんといっても最大の魅力は、すべての漫才コンビが新作で登場することです。
 漫才のボケは本当はボケではなく、むしろ頭がよくなくてはやっていられません。ボケ役の人がネタを考えるケースが多いとも聞いています。けれども、おそらくは「芸」だとは思うのですが、オサムちゃんのボケは迫力あります。セリフを忘れる所など、本当にボケているのではないかと心配になるくらいです。マサトさんは、そのオサムちゃんのボケをうまい具合に料理して、実に素晴らしい漫才に仕上げる名人なのです。
 そのマサトさんが相手をしてくださるとは、なんたる名誉。演芸ファンとしてはたまらない幸福です。
 出演時間はまたたく間に流れていきました。楽しいひとときでした。マサトさんの頭脳明晰さと優しさが心に染みます。そんなマサトさんからの最後の質問に答えなくてはなりません。
「ずっと絵をかいてきました。失明してからも絵をかいています。続けること。夢をあきらめないこと。みんなが対等であること。それがボクの願いです」
 なんとボクが最後の出演者。この言葉で番組が終わるとは、おお恥ずかしい。
 24時間で集まった寄付は1億円に迫る金額。これで全国に盲人用音声信号機がまたまた増設されるのです。毎年続けられてきたこのチャリティー番組で敷設された信号機で、ボクも盲導犬アリーナとの共同訓練を助けていただいたのかもしれません。
 目の見える頃、うるさいと思ったこともある音声信号機。けれども盲目となった今、この音が何よりも安心を与えてくれます。ボクはアリーナとふたりだけで歩いた街の交差点で流れていた信号機からの音色を思い出して、胸が熱くなりました。
 さあ、番組が終わりました。解散です。打ち上げです。大阪の若い芸人さんたちが元気欲挨拶をしてくれます。吉本興行の芸人さんでしょうか。未来に向けての真っ直ぐな情熱が感じられて、いい気持ちになりました。
 ああ、大阪にこられてよかった。ラジオに出られてよかった。本物の大阪の心に触れられてよかった。うち、やっぱり大阪ごっつう好きやねん。

◆ 自由時間だ、道頓堀だ
 Yちゃんと合流してタクシーで道頓堀へ向かいます。
「あっ、グリコだ。あっ、巨大な蟹だ」
「うひょーい、御堂筋だ。大阪だ」
 コボちゃんもボクも大阪の景色と音に大感激。それにこの食べ物の匂い。
「たこ焼きが食べたい」
 たこ焼き、たこ焼き、それもだし汁につけて食べる明石焼き。
 大学生になってから最初の春、ボクは生まれて初めて大阪を訪れました。マンガクラブのM先輩が案内をしてくれたのです。1968年の大阪は万博の準備で活気にあふれていました。その大阪で最も衝撃的な体験がたこ焼きとの出会いだったのです。
 先輩から
「たこ焼き好きだよね?」
と聞かれても、
「はあ…」
と応えるしかありません。なにしろ話題はたこ焼きですから。
「ええっ!。これがたこ焼きですか」
 見てびっくり、食べてびっくり、ダブルショック。不思議にも斜めに傾いているおかしなまな板に、しがみつくように、へばりつくようにゆるんでいる黄金色の玉。どこにもソースの香りがありません。
「このだし汁につけて」
 と、先輩は熱いだし汁に黄金色の玉を落としながらいいました。
そうして、このたこ焼きをそおっと崩して…」
 箸の先でだし汁をかき回すと、先輩はうまそうにたこ焼きを口に運んだのです。
「熱いから気をつけてな」
「はい。ふがふが、ふが。あふいへふな、たひかに 。へも、ふまい。ふがふが…」
 これがボクの大阪たこ焼き初体験でした。それからは東京でも明石焼きを探します。そしてある日、とうとう発見、大発見。新宿で明石焼きの店「たこぽん」を発見したのです。
「こりゃちょっと、玉子焼きみたいだな」
 そう思いながらも、だし汁につけて食べるその旨さ。いやあ、感激でした。
「うらい並んではる」
 道頓堀で、目指すたこ焼きの店の前には長蛇の列。こいつはいけません。
「ほな、こちらへ」
 ボクらは繁華街を歩きます。右からも左からもいい匂い。ソースの香り。油の匂い。醤油の焦げたたまらない芳香。
 それに人、人、人。この人手はクリスマスとは関係ないでしょう。きっと、ここではいつでもそうなのです。そして、天井からも地べたからも大阪弁。エネルギッシュに大阪弁。うわあい、黙っていても食い倒れ。
 Yちゃんに導かれてビルの中。
「いらっしゃいませ。極楽商店街は初めてですか。では、注目。この通行券をよおく御覧ください」
 どうやら特別な場所らしい。エレベーターであがると、そこはいきなり別空間。まるで昭和30年代の雰囲気と賑わい。どうして分かるかって?。そりゃ、匂いですよ、音楽ですよ。
「わあ、おいしそう。わあ、面白そう」
 コボちゃんがきょろきょろしています。ボクはつられてうろうろ。Yちゃんも初めてらしく、はらはらはら。
 オープンしたばかりなのでしょうか。すごい人手です。けれども、外の人でに比べたら、むしろ静かなのかもしれません。
 床は砂利か石畳のような感触がして、昔の繁華街か商店街か祭りの屋台が並んでいるような雰囲気です。そこを人の行列が移動していくのです。けれども、白杖で歩いているボクに衝突してくるような人はまるでいません。そのあたり、東京とはちょっと違います。やはり人情があるのでしょう。大阪には、大阪の人しかいないのかもしれません。そこも東京とは違います。東京で東京人らしい人は、ほとんど東京の人ではありませんから。
「たこ焼き、めっけ!」
 背の高い丸い椅子にのっかって、どっこいしょ、さあ注文です。
「たこ焼き三人前」
「そんなに食べたら、あとは何も食べられないよ」
 親切なおじさんが優しく忠告。そりゃそうだ。
「じゃ、二人前。でも、足らなくなって、喧嘩になったらどうしよう」
「ならないわ。あたし大人だもん」
 Yちゃんとコボちゃんが漫才をやってます。
「あふあふ、おいひい。やっぱひ、おいひい」
 感激の再開。本場のたこ焼き。
 出口で記念撮影。どうやらここも吉本興業の仕掛けらしく、若い芸人さんらしい人たちが元気欲働いています。やっぱ、いいなあ大阪。
 どんどこどんどこ歩いていって、ちょいと曲がると法善寺横町。水掛地蔵にご挨拶。
「学生以来のご無沙汰でした。来年はどうぞよろしくお願いいたします。」
 その並びがご存知「めおとぜんざい」。甘党ではないボクだって、おいしく食べられる上品な甘さ。白玉の潜んだ小豆の液体。椀がふたつ並んでいるから「めおとぜんざい」。これって、本当かなあ?。
 Yちゃんのおかげで、たった半日だったけど、楽しい大阪てくてく散歩でした。やっぱり大阪は大阪の人と歩くのがいちばん。ボクはM先輩のこと、1968年の万博前の大阪を思い出していました。巡る人生。なんて不思議な感慨が湧き上がってきて、内なる時間の川の流れをじっくりと眺めたりもしてみました。


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