◆ 喫茶店「カフェ・ド・エム」 2006/1/10
仕事部屋のドアを開く。瞬間、包まれるコーヒーの香り。キッチンでコボちゃんが豆をひいているのだ。
「うわあ、喫茶店みたい」
わかっているのに、思わずつぶやいてしまう。
お客さんにも評判がいい。中には我が家のコーヒーを楽しみに訪れる方もいらっしゃるくらい。
このコーヒー、自称エム ナマエ・スペシャル。そう自慢したくなる豊かな香りだが、実は『焙煎工房』のオリジナルである。
◆ コーヒー職人誕生
高山氏は10年来の友人。誰でも知っている外資系の有名化粧品メーカーのエグゼクティヴだった。ニューヨーク仕込のファッショナブルなインテリ。その彼がエリートコースをいきなり放棄した。
彼の選んだのはコーヒーの焙煎工房のオヤジ。つまりナマのコーヒー豆をいい塩梅に焙煎して販売するという商売。
「ボクは香り高いイタリアンローストが好みなんですけど、こんがりと焼いていただけますか?」
「では、やってみましょう」
ボクのリクエストに高山氏が生真面目に応答する。そしてガスに点火した。
「ガーラガラ。ガーラガラ」
どんな器具か知らないけれど、炎に金属が回されている。それから豆の焼ける香り。
「さあ、できました。飲んでみてください」
わくわく、わくわく。
「炭焼きコーヒーというのはありますが、これはまさしく炭ですね」
「ええ、私もそう思います」
以後、高山氏は一筋に腕を磨く。やがてボクの手元に豆が届いた。
一粒つまむ。すべやかな感触。豆の油分が表面ににじみ出ているのだ。これはいい。期待できるぞ。
コーヒーミールで豆を粉砕する。やっぱり、いい香り。ドリップする。おお、香りが部屋中に広がる。
「うまい。最高」
それ以来、我が家には常に『焙煎工房』のコーヒーが常備されている。もちろんUCCでもキーコーヒーでもゴディバでも、ベトナムでもモンゴルでも、大豆を使った代用コーヒーでも、コーヒーなら何でもいいのだけれど、やっぱり高山氏の塩梅のいい焼き方がたまらない。ああ、コーヒーで贅沢している。そんな感じがするのだ。
コーヒーこそ心の贅沢品。ボクはそう思う。そして心の栄養には金は惜しまない。それが下流のボクの上品な生き方。
◆ 病室が喫茶店
旭川医科大学付属病院で過ごした昨年の夏、ボクの手元に荷物が届いた。開けるとコーヒー豆。『焙煎工房』からである。
「うわあ、万歳」
早速コーヒータイム。個室に広がるいい香り。そして、あの贅沢気分。
「おや、いいにおい。まるで喫茶店みたいですね」
見舞い客にも評判がいい。中にはリピーターになった人もいる。
「高山さん、ちゃんと豆をひいてくれているのよ。さすがね」
お洒落な高山氏、さすがはプロ。商売だけに、やることがマメ。
◆ 同じコーヒーが楽しめます
この粋なコーヒーに興味がおありでしたら、以下の電話番号に連絡してください。
「エム ナマエと同じやつ」
そう頼めば、同じ豆を同じ焼き方で焙煎してくれるはず。保証はできないけれど、まあやってみてください。とボクが勝手に決めている。
ボクの頼んでいる豆は三種類。スペシャルブレンド、モカブレンド、ブルマンブレンド。なんで三種類かというと、わかっても、わからなくても味の違いを楽しむため。まあ、全然わからないのだけれど。あはは。
それからひとつアドバイス。コーヒークリームには乳製品を。植物性油脂ではおいしいコーヒーになりません。嘘と思って試してみて。そしたら、絶対
「嘘!」
と納得するはず。
では、どうぞよろしく。
『焙煎工房』 (03)3929−4818 ファックスも
休日もありますから、ご注意ください。
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