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■ 新しいゲーム

◆ 寿司屋がネタに困ってる
 石油が値上がりしている。理由はどうあれ、どんどん値上がりしている。どうにかしないと、困る人たちが出てくる。
 燃料費がかさばり、漁船が漁に出られない。魚河岸から烏賊が消え、マグロが高騰する。そうなれば、ボクだって困る。寿司屋のカウンターで真っ先に注文するのがゲソと中トロだからである。
 けれども、寿司を毎日食べられるわけでもないから、死ぬほど困るわけでもない。いや、マグロは高いくらいでいいのだ。百円均一の皿に乗っかって、マグロの握りがクルクル回っている図はどうにもいけない。烏賊やマグロは高価な食材。最初からあきらめられれば、それでいい。黄金やダイヤモンドが高いからと、抗議する人はいないだろう。

◆ 安い石油で温暖化
 そもそも石油が高価であれば、地球温暖化や環境破壊で、これほど人類が悩むことはなかった。安価であることは人間を幸せにはしないのだ。
 地下の底に沈没していた太古の森林を暴き、その眠っていた炭素を放出し、文明は狂気の踊りを続けている。
 クルマという鉄の虫は、この瞬間にも天文学的規模で増殖を続けている。カーボンニュートラルという理由で、最近これらの虫たちは、ガソリンだけでは満足できず、ついに穀物までも食らうようになってきた。もはや金本位の時代は終わり、炭素本位の世界が到来したのである。けれども、金本位であれ、炭素本位であれ、いつの時代でも、欲望というプログラムがお金を動かし、物価をアップダウンさせていることに変わりはない。石油が上がり、穀物が上がり、金属が上がり、土地が上がる。さあ、こうなったら、かまうもんか。いくところまで、いってしまえ。上がれ、上がれ、天まで上がれ。そうなれば、人類は新しい価値を創る他に道がなくなるだろう。困るのはそれほど長いことではない。

◆ 価格破壊で生活困窮
 これまでの社会は大量生産、大量消費、価格破壊。世の中挙げて安い物に群がってきた。けれども、物価が沈めば、賃金も沈む。人々は安価な買い物と引き換えに、心の平安と安全を犠牲にしてきたのだ。
 今回の石油高騰をチャンスとして、頭のゼンマイを巻き直せば、ボクらは時代を変えることができるかもしれない。ないと困ると思いこんでいても、いざ失えば、どうにでもなる。人生という長い夢の中で、新しいゲームを創ればいいのだ。
執筆は2008/06/24 社会新報掲載コラム



■ みんなでなれば怖くない


◆ 天まで上がれ
 7月になって、さあ、電気料金が上がった。次は何だ、ガス料金か、それとも水道料金か。電気代が上がるのだから、電車賃だって上がるだろう。ガソリン代が上がったのだからバス料金も上がるだろう。原油価格のダムがあふれたのだから、物価は糸の切れた凧のように上がっていく。まだまだ上がる、天まで上がる。これで税金も上げようというのだから、景気など、よくなるはずもない。

◆ 歩け歩け運動
 けれども、国民は健康になり、もっと賢くなるかもしれない。クルマをやめてどんどん歩く。電車やバスにも乗らないで、どんどん歩く。そもそも江戸っ子はみんな歩いた。神田から品川や板橋や新宿や千住などの宿場まで、どんどん歩いた。現代人もそれだけ歩けば、くだらんエステやダイエット食品に費やすお金もいらなくなり、国民病の糖尿も治ってしまう。乗り物に乗らなくなると、早起きをしなければいけないから、みんな早寝。夜中にふらつく連中もいなくなるし、深夜テレビも見なくなるから、発電所を休ませれば、夜は真っ暗。赤ん坊が生まれ、温暖化ガスは誕生を阻止される。原油が上がればいいことずくめ。クルマはなくなり、大気汚染もなくなり、肺癌だって減少して、愛煙家は安心してタバコをふかすだろう。

◆ 巨人軍はお役所仕事
 そうなると、効率が落ちるから、みんな貧乏になるのは仕方がない。けれども、金があれば幸せとは限らない。これまで、どれだけ無駄遣いをしてきたことか、振り返ればぞっとする。巨人軍は巨額の報酬を支払って、あちらこちらからトッププレイヤーを奪取したのだが、それでトップの座にいないのだから世の中は愉快である。監督が「バッカじゃなかろか」と歌われるくらいだから、頭の問題なのかもしれない。要するに、金の心配がなくなると、人間は考えなくなってしまうのだ。つまり、それは役人の頭がお粗末な理由につながる。国民がいくら貧窮していても、税金を上げることばかり考えて、楽をしているから、どんな優秀な人材も、役所の歯車になった瞬間から頭のゼンマイがゆるんでしまう。もらったお小遣いを残らず使うことばかりに神経を働かせるから、貯金なんかできるはずもないし、巨人軍の一部の現役みたいに、引退してからの保身ばかりを考える。国民が貧乏になって賢くなれるのだったら、役人にも貧乏になってもらい、もっと精進してもらおう。そうなりゃ、天下りへの道でなく、国民の幸せへの道作りもできるはずだ。
執筆は2008/06/30 社会新報掲載コラム


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