■ 2007年を十七文字にしてみました
◆ 2007年8月12日から
なんの素養もないのに毎日を十七文字にまとめています。俳句にも川柳にもなってはいませんが、記録にはなっていますので、勇気を出してここに掲載いたします。
松尾座礁
▲ ふと開く 扇子の香りに 遠い夢
個展でいただいた扇子です。
▲ カマボコの 味ひきたてる にせワサビ
▲ 風の道 訪れる声 豆腐売り
▲ 老犬の ため息まじる 蝉時雨
▲ 落雷に 犬 飛び上がる 膝の上
▲ 虫ひとつ 風ひとつずつ すぼむ夏
▲ 秋風に 猫との握手 暖かい
▲ 家猫が 人恋しがる 秋の夜
▲ 窓ガラス 風の重みに 耐える夜
嵐の夜でした。
▲ 残り蝉 縮まる夏に ラヴコール
▲ カラスネコ 召されし知らせ 手を合わせ
ご近所のクロネコが亡くなり、さびしくなりました。
▲ 見えぬ目の われが育てし しゃべり猫
愛猫キロンは語りかけるように、しゃべるように鳴くのです。
▲ 名も知らぬ 鳥のさえずり 窓の秋
▲ はあくしょん 思わずさがす トレーナー
▲ 涼しさが 窓から窓へ 徒競走
▲ 残された 時間数える 秋の朝
9月1日、誕生日がきて、考えたら2008年は還暦です。
▲ ふと肩に 午前の日差し うろこ雲
早くも秋の気配です。
▲ 仕舞い蝉 ゆっくり寝てれば いいのにね
目覚ましを 掛け間違えた 秋の蝉
今年の蝉はよく頑張った。
▲ 愛猫の ちょっかいうれしい 朝御飯
▲ 秋雨の 地下鉄出口 レザージャケット
かなり涼しくなりました。
▲ 秋晴れは 陽射しとろとろ 人の声
▲ 俺の顔 オレンジに染め 日が落ちる
▲ そそうした 犬さとしてる 妻の声
▲ 膝猫で パソコン俳句 たたいてる
▲ にわか雨 犬うなだれる 家路かな
雨になると、犬たちの散歩は中止となるのです。
▲ 葡萄酒で おにぎりひとつ 焼きタラコ
▲ 顔寄せて 猫と目覚める 秋の朝
▲ 秋晴れに 心うきうき 金木犀
▲ 秋虫に 背中押されて 午前様
▲ 神様の 懐でつく 真っ赤な嘘
伊勢神宮の門前、赤福のウソがばれました。
▲ 秋雨の 夜の道いく ガマガエル
▲ 秋晴れが 足の裏まで 響く朝
▲ 屋根の下 路面電車が かけていく
▲ 踏み切りの 鐘に合わせて弾む足
愛犬アルルとの散歩道には世田谷線が走っています。
▲ 枯れ枝で 犬鳴き真似の 朝ガラス
近所にユニークなカラスがいるのです。
▲ 雲走り 満月ちらり 顔を出し
▲ 団欒の 窓を打つ音 斜め雨
▲ 急ぎ足 雲連れ去り手 嵐いく
翌朝は台風一過の青い空でした。
▲ 監督に 花を贈る日 日本晴れ
ドラゴンズ、落合監督ご一家とは1996年からの長いお付き合い。日本一、心よりおめでとうございます。
▲ 柿銜え カラス飛ぶ飛ぶ 青い空
▲ 駅前で おしゃべりガラス アナウンス
▲ 踏み切りの 鐘が鳴るなり 豪徳寺
▲ 見上げれば ジャングルジムの 子どもたち
朝の散歩コースに保育園があって、子どもたちがクロラブのアルルに声をかけるのです。
▲ 心電図 月に一度は 測ろうよ
透析病院の検査がどんどん削られていきます。そんな中、心電図に変化が見つかりました。
▲ 猫と聞く 路面電車の きしる音
▲ 獣医にて 親ばかまるだし 猫なで声
愛猫キロンを世田谷線沿いにある動物病院に連れていきました。
▲ スタジオで 鼻をすすっちゃ いけません
▲ 全国に 届く電波の ありがたさ
NHKラジオの朝の番組に出演しました。
▲ 犬と猫 九つの目に 囲まれて
犬2匹、猫3匹と暮らしていますが、猫のキロンは片目なのです。
▲ 原宿の 菓子の値段に 驚いて こけつまろびつ 店をうろつき
▲ ステージの クラスメイトに 手をたたき
山本コウタローが草月ホールでのコンサートに招待してくれました。手土産を買いに表参道で下車したのですが。
▲ 冬の日と レースのカーテン 月曜日
暖かい日差しと毎日の平凡が幸せ。
▲ 顔を刺す 寒気到来 白い息
▲ 手の中で 命が抜けて 消えていく
▲ 飼い犬を 見送る夜の こごえる手
▲ 山犬が 都会の花と 空を舞う
▲ 去りし犬 ひとつの時代の 幕を引く
師走、父親の愛犬を見送りました。
▲ 盲人が 見えぬ役者に 拍手する
▲ 子どもらの 声をヒントに 絵を浮かべ
「あらしのよるに」の舞台を見ました。
▲ 一日が しゃべっただけで 暮れていく
インタビュー、講演とラジオ出演、トークショウ。しゃべる仕事の多い1年でした。
▲ その人に 分かることしか 分からない
▲ クロイヌが ケーキに生唾 クリスマス
▲ クロイヌに 郵便局の サンタさん
アルルにもクリスマスプレゼントが届きます。
▲ 熱燗の 肴 炭火の はぜる音
冬の夜、ヤキトリで一杯やりました。
▲ 不思議だね 今を生きてる この命
ここに今、自分がいる。これ以上の奇跡があるでしょうか。そして、命の消えた自分はどこにいくのでしょう。
▲ 積み残し 気がかりばかり 年の暮れ
今年もやり残したことばかり。
▲ 日が暮れて 今年も暮れて ありがとう
▲ 今夜また 新しい年 やってくる
2007年の大晦日。とにかくここまで命を許されました。
▲ 年越しは 大好物の 雲呑麺
▲ カーテンの 隙間から耳 除夜の鐘
2008/01/02
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