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■ 2008年も半分が過ぎました  -コりもせず、十七文字をやってます-
 今年も半分が終わりました。ついこないだ、お正月をしたばかりなのに、季節はもう夏。夏至だって通り過ぎ、これからギラギラお日様です。そうして、秋になれば、エム ナマエも還暦。それで感激できれば幸せだけど、その前に、ちょいと今年の前半を振り返ります。
 では、2月19日から6月27日までの俳句にも川柳にもなってない十七文字でありまする。恥の上塗り、赤面の至り。されども人様に読ませてしまう、この図々しさをどうかお許しくださいませ。

▲ 春よこい 早くこいこい 春よこい
 寒いのはいや。なにがなんでもいや。障子の穴から冷たい空気がやってきます。この穴は、猫がリフォームしてくれました。

▲ 膝猫の 耳の冷たさ 手で包む
 人も猫も寒さは苦手。お互い寄り添い、暖を求め合うのです。

▲ 春の日を 背中に浴びて 缶コーヒー
 少し暖かい朝のこと、愛犬を連れて家内のコボちゃんと散歩。隣の駅の豪徳寺の花壇に座り、熱い缶コーヒーを開けるのでした。

▲ 轟音に 便座も揺れる 春いちばん
 トイレの通風孔から轟音がして、驚いてラジオをつけたら、それは春いちばんだったのです。

▲ 春風の ミキサー 街を 駆け抜ける
▲ 窓ガラス 鳴らして通る 低気圧

▲ 風の音 ララバイにして 昼寝する

 春は風の季節です。冬の間、春を心待ちにするあまり、人はそのことをすぐに忘れてしまいます。暖かい春の神様だって、人間の都合ばかりは気にしてくれません。

▲ 日が落ちて 空気がシャキーン 固くなる
 どれだけ文明社会に暮らしていても、天然自然にはかないません。春夏秋冬、花鳥風月。このすべてに私たちの心があります。

▲ 親友の 声の聞きたい 春の朝
 友があるから自分がある。厳しい冬が去り行く今、改めて友のある幸せを噛み締めます。

▲ 春風に 背中を押され 古いカフェ
 南新宿にトムという古い喫茶店があるのです。そして、ボクは必ずトラジャコーヒーを注文して、その香りを、この店の記憶にしているのです。

▲ 風ぬるみ 昨日と違う 鳥の声
 小さなことに季節の流れを感じます。

▲ 羽根布団 かけてクロイヌ 高いびき
 庭先で鎖につながれていた昔と比べたら、イヌの暮らしも豊かになりました。

▲ 黄砂去り 影も鮮やか 日の光
 雨に空気中の黄色い砂粒が洗い流され、都会の空に青さが戻ってきたのです。

▲ 懐かしき 駅の名続く 地下電車
▲ 乗り換えの 地獄の階段 地下通路

▲ 琵琶と笛 人形舞台に 鳴り響く

 懐かしい地下鉄、丸の内線に乗って、人形劇団ポポロの芝居を観てきました。小学生時代、丸の内線と銀座線はボクの遊びの地下世界。けれども、あれから地下鉄は地底深く網の目のように発展して、まるで蟻の帝国みたいになっていました。

▲ 乗り入れの 古き電車の きしむ音
 地下の線路をいろいろな電車が走っていきます。車種も車両も様々。中には古い電車もあって、ホームとの段差が開いていたり、激しくレールを軋ませたり。便利になるのはいいのだけれど、それが遅延の原因になったりします。賢いはずの人間が、あれこれ工夫すればするほど、見えない鎖が人々をがんじがらめにしていきます。

▲ クロイヌが 幼子に声 かけられて
 愛犬アルルは自分と同じ背丈の子どもを見ると、仲間と思いこみ、思いきり遊ぼうとして、驚かれたりします。けれども、中には同じ背丈のアルルを見て、自分の仲間と思ってくれる子どももいるのです。

▲ 痩せた友 仕事の疲れが 気にかかる

▲ 生きられて 友の情けが 身に染みる

 最低の時代の友人が、最高を分かち合う友となる。けれども、いいときばかりではなく、ときとして、友の苦しいときもある。そういうとき、いつまでも半人前の自分が情けないと思うのです。

▲ 落語家は 独演会が 晴れ舞台
 柳家一琴師匠の独演会にいってきました。落語家はいつも真剣勝負。その緊張を笑いに変換させる瞬間を芸と呼ぶのでしょう。

▲ 右肩に ネコの重みの 残る朝
 一晩中、猫が右肩によりかかって寝ていました。猫はボクの職業を理解してはくれないのです。

▲ 赤い服 黒いイヌには よく目立つ
▲ クロイヌと 竹馬ボール 庭遊び

 愛犬アルルに赤い外出服を着せて、ジャーナリストの下村健一氏宅に遊びにいきました。ファミリーで庭で竹馬遊び。そうしたら、ケンちゃんの奥様、カコさんは竹馬名人。その横で、赤い服を脱ぎ捨てたクロイヌのアルルが、ボール遊びに夢中になっていました。

▲ 水ぬるみ 春風そよぎ 顔洗う
▲ 愛犬を ほめられ顔が ゆるむ朝

 朝の散歩が楽しい季節になってきました。

▲ デパチカの 黒服行列 ホワイトデイ
 なんで黒服のサラリーマンがデパチカで大行列をしているんだろうと、家内と首をかしげていたら、ふと気づきました。この日はなんと、ホワイトデイ。デパートは、あの手この手で財布からお金を引き出す魔法使いです。

▲ 稲妻が ラジオにチェック いれる春
▲ 雨音は 春の嵐の 交響楽
 春は嵐の季節。冷たい空気と暖かい空気が衝突するたびに、地上は嵐。稲妻だって竜巻だってやってくる。嵐の前の静けさか、それとも台風一過の青空か。人生も季節も、波風なしではおさまりません。

▲ クロイヌの ひねもす寝息 春の風

 我が家では、イヌとネコの平安が、家族の幸せのバロメーター。生き物の寝息は平和を刻むメトロノーム。

▲ 春雨に 蕾膨らむ 遊歩道
 そろそろ桜の花の季節です。

▲ 気がかりが 夢の形で 現れる
▲ 朝寝坊 イヌとネコとに はさまれて

 寒さがゆるむと気持ちもゆるむ。ついつい朝寝坊になってしまう。そして、イヌとネコとは、もっと寝ていようよとボクを誘うのです。

▲ 風やみて 雲ひとつなく 桜咲く
 とうとう東京に開花宣言。遊歩道の桜も開いて、窓も全開になりました。

▲ 流れ星 高速バスの 深夜便
 深夜便の高速バスからのケータイメールで、ボクの空想がふくらみます。深夜のハイウェイは宇宙へのカタパルト。空想力の翼をはばたけば、ボクらはいつだって宇宙人になれるのです。

▲ 月曜日 蕾を濡らす 雨の粒
 せっかくの桜が雨に濡れています。けれども、咲いたばかりの桜は、少しくらいの雨風には負けたりはしないのです。

▲ 駅前で イヌ褒められる 春の朝
 盲人と散歩するイヌはみんな盲導犬。世間の人はそう考えるらしいのです。今朝もアルルに、「おりこうさんね」の声がかかりました。

▲ 瓶詰めが 当たって銀シャリ 朝ごはん
 TBSラジオの「バツラジ」に冗談で応募したら、海苔の佃煮が当たりました。で、うれしくなって、劇団ビタミン大使ABCのチケットを買ってしまったのです。

▲ お留守番 イヌうなだれる にわか雨
▲ 気にかかる 街で出会った 盲導犬

 バイオリニスト川畠成道さんのコンサートにいったら、何頭もの盲導犬に出会いました。やっぱりアリーナのことを思い出します。

▲ クロイヌの 鼻で花びら ひと休み
▲ 花吹雪 ずらり並んだ 露天商
▲ 花よりも 団子がいいと イヌ吠える

 愛犬アルルを連れての花見散歩です。近所の桜のトンネルにはずらり並んだ露天商。屋台の味を楽しんでいたら、アルルに「わん」と吠えられました。

▲ 酒盛りを 冷めて見下ろす 濡れ桜
 毎年のように、各地の公園では花見の酔っ払いが問題になります。酒盛りの口実にされている桜の花こそ、いい迷惑。酒飲みは、理由が何でも、飲んでしまうのです。

▲ あの世から 桜と咲いて 笑う人
▲ なげやりに カラス鳴いてる 昼下がり

 絵門ゆう子さんが逝去されてから三回忌。そのお祈りが聖路加のチャペルでありました。満開の桜を見て、まるで彼女を思い出す、といったのは絵門さんの親友。今、絵門さんは一輪の花となり、微笑んでいるのでしょう。それを知ってか知らずか、一羽のカラスがなげやりに鳴いていました。

▲ 議事堂に 負けずそびえる 小学校
▲ 手に覚え 手摺の金具 同窓会

 永田町小学校最後の同窓会がありました。建物はいつ除去されるか分かりません。東京大空襲の爆撃の目標から外された議事堂と小学校。けれども、小学校だけは消えていく運命にあるのです。

▲ 待ち合わせ アカサカサカス 上り坂
 劇団ビタミン大使ABCの芝居を観た後、友人と赤坂の新名所、アカサカサカスで待ち合わせをしたのです。

▲ 妻のさす 傘を叩いて 花散らし
 この大粒の雨を最後に、桜の花々は姿を消していくのでしょう。その間には、緑もちらちら見えているとか。

▲ 真夜中の 猫の帰宅に 安堵する
▲ 窓透かし 雨の気配に 鳴る電話

 真夜中は、いつもと違う感じがする。ふと鳴る電話にも、心がきいんと緊張します。

▲ 葉桜が 風にふかれて 花仕舞い

 とうとう桜が散りました。今年の桜が特別に長寿だったような気がしているのは、ボクだけでしょうか。

▲ 窓際で 午後のコーヒー 白い渦
 喫茶店の窓際でコーヒーを飲みました。コボちゃんがクリームを入れてくれ、かき回したら、ボクの頭の中で白い渦が生まれました。

▲ 四十雀 若葉の香り 連れてきた
▲ 夕暮れに 青葉の香り 町外れ
▲ 夜更けて 街に流れる 青い風

 葉桜になった途端、街の香りが青くなりました。日没になって歩くと、若葉の気配を感じます。

▲ 風薫る カラスのコーラス 昼休み

 ランチタイム、経堂すずらん通りのラーメン屋「英」にいってきました。人通りの頭上でカラスが鳴いているのは求婚でもしているのでしょうか。

▲ 風唸り 四月の風速 新記録
▲ 低気圧 カメの歩みで 列島縦断

 春の天気は荒れるもの。ついつい忘れて、それを異常気象とか、地球温暖化のせいにするのは記憶喪失のなせる業。

▲ 雨上がり 人の仕事が よく見える
▲ 水温み 風に揺れてる 我が心

 春はスランプの季節。いつも気持ちが不安定になり、自信が揺らぎます。物語の作り方をすっかり忘れて、人の仕事ばかりが気になるのです。

▲ 午前九時 駅前花壇 缶コーヒー
 朝の散歩を万歩計で計ったら、かっきり4600歩。これをエネルギーで考えると、缶コーヒーをゆったり飲める計算です。

▲ 真夜中の お日様布団 夢の旅
▲ クロイヌが 枕で寝てる 昼下がり

 コボちゃんは布団を干すのが趣味。その恩恵にあずかるのがボクと愛犬のアルル。暖かい布団でぬくぬくしながら、お日様の夢を見るのです。

▲ 網戸抜け カーテン揺らす 初夏の風
▲ 風の中 季節は巡り 汗ひとつ
▲ のんびりと ひねもすパソコン 文字遊び
▲ 窓を開け 駆け込む風の 若葉色

 暖房の必要がなくなり、ガラス窓を全開にできる季節がいちばん好き。ボクは風アレルギーがあるので、ちょうどいい気温というのがあるのです。

▲ 小型車が 唸りをあげて 阿蘇登山
▲ カルデラで 風車の列が お出迎え

 熊本空港から阿蘇山まで、ボランティアの高原さんが運転する小型車でいきました。途中、風力発電の風車が行列でお迎えです。ボクは思わず、ドンキホーテの気分になりました。

▲ ウグイスが コーラスしてる ビートルズ
 阿蘇のカルデラの美術館でミニコンサート。エム ナマエとワルツの演奏をお手伝いするのはウグイスの声。

▲ カルデラに 小道と森と 美術館
 阿蘇の葉祥明絵本美術館にいってきました。葉山館長が丹精こめて作り上げた美しい場所でした。

▲ 記録的 良くも悪くも 刺激的
▲ 窓ガラス 粒のはじける 暴風雨

 今年の春は刺激的。気象データの新記録が続出して、やっぱり地球温暖化が進んでいるのだと、ちょっぴり不安になりました。未来の子どもらが心配です。

▲ 脱ぎ捨てた ワイシャツに汗 夕餉前
▲ 開け放す 窓からの風 夏序曲

 外出から帰宅すると、すぐに裸になりたくなる。そんな季節になりました。季節の移り変わりは嬉しくもあり、寂しくもあり。

▲ 音たてて 落ちる雨粒 地の香り
 春雨から夕立の季節へとなりました。窓を開けていると、遊歩道から土の香りが上がってきます。植物が歌っているのも感じます。

▲ 白い紙 乾いた空気 ボールペン
 空気が乾いていると、ボールペンがよく走ります。インクのこすれやにじみも気になりません。そうすると、絵の出来も美しく思えるのです。

▲ 雨上がり 酔って笑って 午前様

 古い友人と飲み歩きました。夜中の住宅街を千鳥足。帰宅したら、笑い声が聞こえたと叱られました。

▲ 和服着た 女優と歩く 街は雨
 歌謡ドラマの山下智子さんと二木てるみさんのリーディングにいってきました。二木さんの朗読は芸術です。

▲ 日曜日 飲み屋求めて 商店街
 絵門ゆう子さんを偲んでの飲み会です。ゆかりの人たちと、日曜日の商店街を二次会の場所を求めてうろついたのですが、焼き鳥の売り切れた焼き鳥屋さんしか見つかりませんでした。

▲ 梅雨入りと ラジオ知らせて 夜の雨
 ラジオが伝えたからとはいえ、いきなり雨にならなくてもいいじゃないか。外からの雨音に思わず腹立たしい気分になったのは、梅雨が好きにはなれないから。けれども、5月に降るだけ降った印象があるので、何を今更、気象庁、と笑いたくなる気分でもありました。

▲ 雨と晴れ オセロゲームの 空模様
▲ 雨上がり 流れる雲に 青い空

 降ったり晴れたりの安定しないお天気模様。けれども、変化のあるのは心の運動には有効かもしれません。

▲ ウーロン茶 汗をかいてる 夏日なり
 お客様に出すのがコーヒーからウーロン茶になりました。ボクは暖かい飲み物が好きなのですが、外からのお客様は冷たい飲み物がお望みです。ですから、ボクの手にも冷たい汗をかいたグラスが握られるのです。

▲ 白い紙 気合で描く 地平線
 一気に描く地平線。これは盲目の画家にとっては、勇気のいる行為です。

▲ 雷が 轟いて 夏 幕開ける
 さあ、イヌもネコも覚悟しろ。轟く雷鳴の夏がきた。腰を抜かしても知らないぞ。

▲ 昼下がり 薄暑の風の 通り
 窓際のマッサージチェアでうとうと。風が心地よいのは、夏になった証拠なのです。

▲ 目覚めたら 空から水が 落ちている
 昔の梅雨は、もっと静かなものでした。でも、温暖化が進んだせいか、最近のさみだれはまるでバケツをひっくり返したようなのです。

▲ むせ返る ロビーの花々 芝居小屋
 新宿紀伊国屋ホール、立川志らくの劇団、下町ダニーローズの特別公演にいってきました。柳家一琴師匠が、いつものように渾身の演技です。古い友人、森口博子さんも熱演されていました。

▲ 気も揺れる 空の彼方の 地震かな
 東北で大きな地震がありました。祖母にずっと関東大震災の話を聞かされながら育ちましたから、地震の恐怖は他人事ではありません。

▲ 続ければ へたな俳句も 道しるべ
▲ 朝ぼらけ 開け放つ窓 深呼吸
▲ 手がきにて したためしふみ 初夏の風

 いただいたお手紙に、ときどき手書きの手紙でお返事します。一枚一枚、心をこめて、絵と言葉をしたためます。筆圧が高いから、手には汗。それで風が心地よいのです。

▲ 午前様 犬と並んで 千鳥足
 博報堂の秋山デザイナーとカラオケバーで深夜まで飲んで、コボちゃんが愛犬アルルとお迎えです。帰り道、ボクだけほろ酔い、千鳥足。コボちゃんはしっかり、がしがし歩きます。

▲ 風湿り 机べたべた おぞましい
▲ 雨しきり 日本列島 水の底
▲ 一万歩 ズボンの裾は 水びたし

 雨の日曜日、銀座博品館の朗読会にいきました。それから夕方まで銀ぶらです。朝から歩き通しで一万歩。ズボンの裾がびしょ濡れになりました。

▲ 腹ごなし 冷やかし歩く 商店街
 いつもの商店街の外れのステーキハウスにいきました。満腹の帰り道、馴染みのラーメン屋「英」のスープの匂いが気になります。

▲ ペンにぎる 指にそよ風 五月晴れ
▲ 外出は 日傘 手袋 昼下がり
 夏至も到来、日差しも強くなりました。五月晴れはお肌の敵。コボちゃんの荷物がまたまたひとつ増えました。

2008/06/29



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