■ 十七文字を始めてから1年になります
◆ 2007年8月12日から
なんの素養もないのに、昨年の8月12日から毎日を十七文字にまとめています。俳句にも川柳にもなってはいませんが、毎日の記録にはなっていますので、図々しくも皆様に読んでいただいておりまする。今回は2008年6月28日から8月11日までの出来事のいくつかです。松尾無精
▲ 窓の雨 たどりつけない 夢ばかり
夢を追い続けてきて、つかんだと思った瞬間、夢はボクを笑うように坂の上を飛んでいきます。希望と失望は背中合わせ。それでもボクは生きていく。夢は人生のエンジンなのです。
▲ 熱帯夜 朝のシャワーの 夢を見る
▲ 雨音は 昼の世界の 簾かな
夏の午後。シャワーのような夕立が、街の喧騒を遠ざける。ボクは雨音に守られながら、果て無き夢を追いかける。
▲ 駆け抜ける 落雷 土砂降り 積乱雲
▲ 階段を 滝にして 雨 通り過ぎ
温暖化のせいにしたくはないが、今年の雷鳴は尋常でない。いつもだったら、落雷ぐらいでは驚かないのだが、今年初めてコンピュータのコンセントを外した。世田谷区に土砂崩れの注意報が出るくらいだから、山や谷で暮らす人たちの無事を祈らずにはおられない。それなのに、我が家のネコは、階段を流れ落ちる雨水を見物したいと扉を開けさせ、外に出るのだ。どうも、ネコという生き物は空想力に乏しいと見た。
▲ 絵がかけて うれしうれしの 夏の午後
▲ 贅沢に 氷カルピス 一気飲み
▲ 真夏日や 猫 仰向けの 風の道
なんでもないこと。当たり前に思えること。そこに幸せの中身があります。
▲ 思い出が 迫りくるくる 遠い雲
これまでの夏のすべてが、ボクの中で渦を巻く。
▲ 天国に 電報送る 夏の朝
大切な友人を失った。若く繊細な人だった。彼女の部屋にはボクの絵。クリスチャンの娘さんは、きっと今、天国でお母さんと再会している。
▲ 気掛かりは 蝉の鳴かない 夏休み
今年は虫が少ないと妻がいう。燕を見ないと気にしてる。そう。いくら真夏日になろうとも、蝉の鳴かない夏なんて認めたくない。
▲ 江ノ電を 降りて潮風 坂の道
▲ 華やいで 花火へ急ぐ 人の群れ
恩人のお見舞いに鎌倉へいきました。江ノ電に乗りました。湘南で老人と若者の境界線をさ迷い歩く自分と出会いました。
▲ 初蝉や 元気に鳴けと 祈る朝
▲ 冷房の 窓を開ければ 蝉の声
いきなり蝉が現れて、窓の外は演奏会。そうなると、蝉の声しか聞こえない。
▲ 夜がきて 今日も数える 積み残し
ぼやぼやしているうちに、どんどん残りがなくなっていく。
▲ 風ひとつ 肌を冷やして 通り過ぎ
▲ 遠い国 友の歩んだ 長い道
45年ぶりに、懐かしい友人に会いました。彼はアムステルダムで少林寺拳法の道場を開いているとか。彼の武勇伝を聞くために、中学校のミニクラス会が開かれたのです。
▲ 戯作者に ペテン師の嘘 通じない
不思議な人に会いました。何でも知っているようで、何も知らない人でした。
▲ 猛暑日と 聞いてげんなり ラジオ消す
▲ 人だらけ 北京の五輪 ちゃかちゃんりん
▲ 金メダル 我も密かに 皮算用
四年に一度のイベントなのだ。
▲ 涼しさや ツクツクボウシ 曇り空
蝉の声が変わると、夏よ頑張れと、応援したくなるのです。
▲ 十七文字 人生街道 道しるべ
2008/08/30
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