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■ 2008年8月12日から9月30日までの出来事あれこれ

◆ 二年目に突入した十七文字
 失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのために、前日の出来事を振り返り、大切な事柄から瑣末時まで、細かく思い出しながら、神経質なほどマジメに日記をつけてます。
 音声ワープロを入手した当時、日記はただのスケジュール表だったのですが、いつの間にか、しっかりとした生活記録になってました。この習慣を開始してから、もう20年になろうとしています。
 けれども、世間で流行しているようなブログのように、人様に読んでいただけるものではありません。ただ、昨年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、それぞれの季節の思い出のヘッドラインになるので、ここに紹介させてもらっています。
 今回からは、日記の内容の、ほんの一部だけ、恥を承知で掲載いたします。まあ、これがエム ナマエの8月から9月末日までの、くだらん出来事あれこれの切れ端です。

◆ 2008年8月12日から9月30日までの出来事あれこれ
0812・火・
 十七文字を始めてから2年目突入。日航ジャンボ機墜落から23年。コボちゃんが道で小さな蝉の死骸を発見。それはヒグラシだったのか、それともツクツクボウシだったのだろうか。
▲ 透けた羽 ヒグラシ鳴いて 落ちた道

0813・水・
 世間は高校野球とオリンピック。オリンピック野球はヒューバ戦。さすがにキューバは強い。星野監督ではやっぱりダメ。星野さん、審判とやり合っていたけれど、プロ野球とは違うんだよな。ほうら、日本が負けた。けれども、フェンシングでは銀メダル。ニューヒーロー誕生はすごいね。ボクの予想とは違い、北京五輪は盛り上がっているみたい。ボクもなんとなく気にして耳を傾けている。あはは。やはりオリンピックは4年に一度のビッグイベント。この4年間を瞬間にこめるアスリートたちの喜怒哀楽と一緒にいるのは不思議な気持ち。
▲ 悲しいね 街のネオンに 鳴く蝉は

0814・木・
 目覚めたら蝉の声がいい。なので散歩がしたくなる。すぐに支度。コボちゃんとアルルと外へ。トンボが飛んでいた。日大グランド方面を歩く。いろいろなワンちゃんに出会う。挨拶する。アルルがチワワと遊ぶ。慶應義塾高校が甲子園で青森と対戦して勝利。2試合連続で完封勝利はすごい。思い切り塾歌と『若き血』を歌う。これで88年ぶりのベストエイト。強いのは嬉しいが、オリンピックと高校野球で、まるで仕事にならない。
▲ 風さやか 朝の散歩は 蜻蛉道

0815・金・敗戦記念日・
マッサージチェアにあたりながら、コボちゃんに『ハリー・ポッター』を読んでもらう。ときどきコボちゃんは睡魔に襲われ、居眠り。そのたんびにお米をといだり、何かをしてごまかす。『ハリー・ポッター』の世界にいたので、正午の黙祷を忘れた。少年戦車兵だったオヤジのことを思い出す。午後、慶應義塾高校が準々決勝に出場。相手は沖縄。強い。沖縄のマンゴーを食べている間に、慶應義塾はスクィズで負けた。
▲ 甲子園 サイレン響く 泣き笑い

0816・土・
 夏のスポーツ傾聴で仕事にならない。
▲ 金銀銅 取らぬメダルの 皮算用
▲ すごーい と 小躍りしてる 解説者

0817・日・
 憧れの声優さんが遊んでくれた。いきなり雨となり、秋がきたかと思うほど涼しい一日となった。
▲ 雨に濡れ タオル包む手 暖かい

0818・月・
 コボちゃんが朗読してくれている『ハリー・ポッター』が佳境に入ってきた。
▲ 切なさや いく夏惜しみ 鳴く蝉の
▲ 盲目の 音の限りは 蝉の声

0821・木・
 今年から竜巻予報が出されるようになった。親切のような、不親切のような。稲光は見えないが、ラジオに雑音が入るので、落雷のときはコンピュータの電源を切ることにしている。
▲ 積乱雲 竜巻予報 稲光

0822・金・
 あの雨の日から、いきなり季節が秋に向かい始めた。ハーバード大学のギリアンからメールあり。ハーバードの児童教育センターのオフィスの受付ホールにボクの絵がかかっているとか。名誉なことである。
▲ 寂しきは 夏の盛りの 秋の風

0823・土・
 原稿執筆の速度があがってきた。少しだけ頭の回転数が上昇してるのかもしれない。
▲ 八月の 蝉の鳴かない 朝の道

0824・日・
 朝から雨で涼しい。やっとオリンピックが終わりました。夜の9時からオリンピック閉会式だったが、ラジオを消して横になる。1時間してから目覚め、閉会式のフィナーレを聴く。聖火の消えていく映像を思い浮かべながら、東京オリンピックを思い出していた。北京五輪はいろいろと批判の多いオリンピックだったが、いずれは懐かしい記憶として、みんなの心に残っていくのだろう。
▲ 涼しさに 蝉も沈黙 雨宿り

0825・月・
 秋の気配に浮かんでいるような一日。
▲ 思い出が 夕日の海に 浮かんでる

0826・火・
 曇天、雨降り、中途半端な晩夏の一日。それでも、蝉は鳴いている。
▲ 恋の歌 誰に聞かせる 夜の蝉

0827・水・
 朝の5時から田中康夫氏がTBSラジオに出演。おはよう一直線。網膜剥離のことを語っていた。赤い万華鏡と表現。応援メールを出したら、すぐに返信があった。
▲ 蝉盛り されど景色は 晩夏なり

0828・木・
 福岡の橋下京子先生から、金メダルを獲得したソフトボールの上野投手が教え子であると知らされた。午後から『ハリー・ポッター』を読んでもらう。いよいよクライマックス。と思ったら、いきなり豪雨。雷鳴も轟く。TBSラジオの深夜番組、『バツラジ』に終わるなとメールする。その『バツラジ』をBGMにビールと夜食。落語を子守唄に眠る。未明、轟く雷鳴で目覚める。起きれば、各地で洪水や記録的集中豪雨で注意報。どこかで140ミリの降水量を記録したとか。豪雨と雷鳴の中で『ハリー・ポッター』を楽しんだ半日となった。
▲ 記録的 集中豪雨 ナイアガラ

0829・金・
 未明、4時44分に目覚める。ラジオからは記録的集中豪雨や洪水のニュースばかり。ずっと雷鳴が轟いている。日中は天気が回復したが、夜になって、透析中に落雷で目覚める。聞いたことのないような猛烈な雷鳴。コボちゃんは豪雨の中を迎えにくる。帰宅したらアルルが震えていた。ボクの部屋の襖を開けると、すぐにボクのベッドに飛び乗る。すぐ近くに落雷。すべてのコンピュータの電源プラグを外す。雷鳴はおさまらない。世田谷区に土砂崩れの警報。世田谷通りが冠水。猛烈な豪雨。世田谷区で時間60ミリの降水量。各地で被害続出。
▲ 雷鳴の 目覚まし時計 夜明け前
▲ 落雷で 外の世界が 滝となる

0830・土・コボちゃん誕生日・
 ずっと雨。親友の渡部広明氏の個展にいく。中央法規の池田さんと合流。みんなで中華料理を食べながら、なんとなくコボちゃんの誕生日を祝う形となる。自分の書きたいものは語ることから見えてくる。語るというフィードバックから自分が見えてくる。古い友人と語ることはいいことだ。
▲ 晴れ間なし 家も道路も 水浸し
▲ 幸せは 古い友との 語り合い

0831・日・
 本日より本格的にアリーナ物語の執筆を再開。面白い。絵夢助人さんから誕生日のプレゼントは真っ赤なバスタオル。夜、カメラマンの青木岳志ご家族ご招待で誕生日の食事会は神楽坂のちょっとユニークなフレンチレストラン。リヨン風といっていた。食事はシャンパン、白ワイン、赤ワイン、フォアグラとアプリコットの前菜、テナガエビの冷たいスープ、リヨン風のはんぺんとサフランライス、ウサギのソテーとマッシュポテト、完熟チーズ、デザート、エスプレッソ。ワインも料理もうまかった。スタッフはみんなフランス人。これも面白い。深夜、カラオケにいって、みんなで歌いまくる。そのうち、誕生日が明けて、おめでとうの合唱。青木ファミリーからも、プレゼントあれこれ。これで、無事に還暦を迎えられました。感謝。青木ご夫妻はもちろんですが、世の中は神様と仏様でいっぱいです。
▲ 生きられて 還暦の朝 手を合わす



◆9月・
0901・月・エム ナマエ還暦記念日・
 二日酔いで目覚める。二度寝をして起きたら、祝いのお言葉とプレゼントが続々。本当にありがたい。夜になってからの、福田君がいきなりやめると宣言したり、「あなたとは違うんです」などとほざいていたのも、ボクへのプレゼントだったのかなあ。あはは。深夜、コボちゃんと中トロと白ワインで乾杯。12時を過ぎて、木村裕一氏から電話。1時間以上も楽しくおしゃべり。10月、講演のゲストに誘ってくれる。おかげで、幸せな誕生日。ボクのことを覚えていてくれる人たちがいる。
▲ 誕生日 覚えてくれて ありがとう

0902・火・
 起きて『アリーナ物語』執筆。『ハリー・ポッター』を読破。コボちゃんが全巻を朗読してくれたのだ。おかげで楽しめた。三つの秘法は杖と石とマントではなく、愛と友情と勇気だった、とは役者のあとがき。よく練り上げられた長編で、これは未来に残っていくだろう。執筆をしていると、一日が早い。還暦の祝いの食事はビーフステーキ。
▲ 還暦の 腹におさまる ビーフステーキ

0903・水・
 9月の真夏日を外出。蝉が必死に鳴いていた。汗びっしょりとなる。小田急線は冷蔵庫。
▲ セプテンバー 残暑に動く 秋の色

0904・木・
 終日、机で執筆に集中。なのに、何故か万歩計が1000歩になっている。確かに室内はうろうろ歩いた覚えがある。
▲ 晩夏の蚊 血液求め 急降下

0905・金・
 契約したメーカーがビジネスに熱意を示してくれない。ユーザーや販売現場からは熱い反応があるというのに、残念でならない。透析からの帰り道、アルルが盲導犬の真似事をしてくれたことが慰め。
▲ 戯れに 盲導犬の 真似させて

0906・土・
 午後6時、寿司屋の寿矢で絵門ゆう子組が集まり、飲み会。ご主人の三門のケンちゃん、NHKの青木裕子アナウンサー、税理士の望月ご夫妻、元マネージャーの秋山さん、それにボクとコボちゃん。まず、青木アナウンサーのエム ナマエのポエム朗読。絵門ゆう子バージョンなので、絵門さんのことを考える。感動の朗読だった。ボクに内緒で、飲み会はエム ナマエの還暦祝いだったのだ。プレゼントがすごい。ボクと同い年、1948年のワインと木製のオリジナルなワインセラー。エム ナマエのネームが彫られている。楽しく談笑。寿矢にウィルスミスがきた、というような話題も出る。祝宴のさなか、コボちゃんに白い花束が届く。彼女の誕生日も祝ってくれたのだ。10時、カラオケにいこうと寿矢を出たら、途端に激しい雷雨。寿矢の二階に避難。焼酎を飲む。周囲に落雷。影響で蛍光灯が明滅する。度胸のいい青木アナウンサーでも緊張していた。エム ナマエの還暦を雷様も祝ってくれたのかもしれない。それにしても、生まれ年のワインをいただくなんて、感激の還暦となった。
▲ 還暦に 雷神様の 乱れ打ち

0907・日・
 本日も落雷あり。終日、『盲導犬アリーナ物語』執筆。アリーナが天上からボクを見守ってくれている。
▲ 落雷で 天に風穴 開けて水

0909・火・
 いきなり秋の気配。涼しくてトレーナーが欲しかった。空気も乾いている。
▲ 蝉だけが 夏の思い出 奏でてる

0912・金・
 昨年亡くなった父親の声が聞こえて、仮眠より目覚める。突然、電話。友人の死去を知らされる。激務だったのだろう。真面目で誠実な男だった。本当に尊敬できる人物だった。なんともいえぬ悲しみに襲われている。真心より冥福を祈る。合掌。
▲ 友の死に 電話の声が 遠くなる

0913・土・
 目覚めて、TBSラジオ、下村健一の目のツケドコロを聴く。土曜プラザも今月で終わる。デイキャッチの月曜レギュラー、友人でもある松崎菊也氏のコーナーも終わるらしい。TBSラジオから面白い番組が次々に消えていく。どうしたことだろう。午後はクラスメイトに電話。友人の逝去を伝える電話は悲しい。何度か落涙した。けれども、慶應義塾の連帯はありがたい。

0914・日・中秋の名月・
 明け方から長い夢を見ていた。あの風景は市谷なのか、それとも光林寺なのか、それとも蓼科なのか。お世話になった漫画家の永島慎二先生らしき紳士が出てきて、ボクが取材のお付き合いをしている。その人のかく猫の絵がすばらしく、ボクもその模写をして、ポエムを書く。そのポエムは、たくさんの猫がいても、どの猫がいなくなっても寂しいものだ、という内容だった。沖縄では台風13号で波の高さが11メートル。椋鳩十の『マヤの一生』を最後まで読んでもらう。悲しい結末だった。やはり戦争で飼い犬を撲殺されるストーリーだったのだ。強烈な反戦メッセージ。最後は泣きそうになる。そこへ青木裕子アナウンサーから電話。友人の深尾精一君が朗読館の設計に大きく関わることになったらしい。紹介してよかった。企業の論理が変わり、世の中の考え方が変わってきた。おかしな事件が連続することが、その象徴。心を締め付ける閉塞感が新しい作品のヒントかもしれない。
▲ 世の中が 面白くなく 発句なし

0915・月・敬老の日・
 米国リーマンブラザーズの倒産で世界恐慌前夜か。日本も米国も政府は無策。
▲ 世の中は 気分で動く エレベーター

0917・水・
 株価乱高下、景気に暗雲。世の中は不安に満ちているが、不安でなかった時代はない。命ある限り生きていくだけだ。
▲ 親友の 還暦祝う 電話する

0919・金・
 代々木の山下医院で診察を受ける。山下賀正先生のおかげで、肉体のいろいろな問題が改善される。先生の理念は透析患者の予後に貢献すること。優れた医師との出会いが寿命を決定する。台風13号接近。外は雨風。部屋の中が湿っぽい。台風情報をBGMに眠る。未明、愛猫のキロンに起こされた。台風は通過していた。
▲ 目覚めれば 遥か海いく 嵐かな

0923・火・秋分の日・
どこかで セミが鳴いていたらしいが、ボクは耳にしていない。
▲ ラジオ消し 最後の蝉に 耳澄ます
▲ 秋風に つくつくぼうし 鳴いている

0926・金・
 午前中、『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』を執筆。マッサージチェアでコボちゃんの朗読、小説『犬身』を聴いていたら、マッサージチェアが故障。困った。マッサージチェアで本を読んでもらうのは最高の楽しみなのに。透析にいくクルマの中で蝉の声を聞く。まだ元気なのがいてくれたのだ。巡る季節。生まれては死んでいく命。諸行無常。世の中は常に移り変わる。だからこそ、この瞬間がいとおしいのだ。透析が終わっての帰り道、駐車場から赤堤通りまで、落第した、元盲導犬候補生だったアルルが盲導犬をする。尻尾を振りながら、まっすぐ歩く。まるで盲導犬アリーナと歩いているみたいだった。やればできるのだ。うんと褒めてあげる。
▲ 流れ去る 街の角から 蝉の声

0927・土・
 アラームを6時に設定していたのに、目覚めたら6時半。下村健一の目のツケドコロの最終回を聴きそこねた。失敗。けれども、土曜プラザのラストは聴けた。小泉元首相が議員をやめることが最大のニュースとなっていたが、いんちきな総理大臣だった。日本と世界を滅茶苦茶にしたのは小泉とブッシュだったような気がしている。さて、10月になると、TBSラジオの番組に大いなる改悪が加えられる。『バツラジ』は終了。週末の優れた番組の代表だった土曜プラザも消えて、NHKのアナウンサーからフリーになったパーソナリティーが新しい番組を担当することになるのだ。けれども、ボクはこの人に魅力を感じない。もっと悲しいのが子ども電話相談室が恐怖のマイナーチェンジをすることだ。番組改悪は悲しいけれども、ボクの週末の朝はラジオから開放され、仕事に集中できることになるのだ。

0928・日・
 朝、小学校教諭から電話。作品使用の許諾のことだったが、どうしてボクの電話番号を知っているのだろう。不思議。ホームページ執筆は猫の目日記。午後、コボちゃんに『犬身』を読んでもらう。面白くなってきた。来年のカレンダーのプランが、やっとまとまってきた。オイケンからメール。病気だという。すぐに電話をする。NHKラジオ第二は文化講演。これは面白かったが、日曜名作座がつまらない。N田敏行という俳優は、どうしてもっとマジメにやらないのだろう。世の中をなめているとしか思えない。インチキな役者としか感じられなく、ボクはどうしても好きになれない。NHKも人選を間違えたものだ。おかげで、名番組も地に落ちてしまった。おお、いやだ。寒くなったので、ラジオはやめて、御飯を食べて寝てしまう。
▲ 気がつけば 長袖シャツを 羽織ってる
▲ 目が覚めて 喉のチンコに 乾きあり

0929・月・
 未明から起きて執筆。透析にいくとき、上着がないと外出がつらいほど、涼しくなってきた。焼酎で温まる。深夜番組、バツラジがなくなったので、つまらない。コボちゃんにエアコンを暖房に設定してもらう。『ラジオ深夜便』で藤沢修平作品の朗読を聴く。太宰治の『佐渡』の朗読CDをかけて眠る。未明、左足がつる。
▲ 落日に 秋虫だけが 鳴いている

0930・火・
 起きて『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。朝のニュースはアメリカ株価暴落777ドル。円高騰。

以下、続く。2008/12/04

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