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原稿用紙プライベート盲導犬アリーナ日記
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■ 2008年10月1日から11月20日までの十七文字

◆ 恥の上塗りではありますが
 ほんの一部ではあれ、自分の毎日を公開したことで後悔しきり。いや、ブログというやつで、自分の行動から食べた物まで、すべてオープンにしている人たちの勇気はすごいものだと感心しています。それでも、もう少し、自分を裸にする自虐的な喜びにひたってみよう。こんなもの、誰が読むと思っているのよ。どこからか、お叱りも聞こえてきますが、エム ナマエの日記なんぞ、夏目漱石や永井荷風にでもならない限り、死んでみたって永久に披露するチャンスなんぞもあるはずもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の記録を粉砕して、かけらを集め編集して、その一部だけをホームページに掲載し続けることにするのです。2008/12/07


1001・水・
 未明より『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。カレンダーのプランが見えない。愛育社と打ち合わせ。国会中継で麻生太郎を観察。
 ダークスーツで外出。午後4時半、相模大野駅前で慶應義塾112期法律L組有志集合。午後5時、相模大野、ホテルセンチュリー、志岐恒雄お別れ会。本年9月3日永眠。奥様よりスピーチを依頼されていたので、ずっと緊張。自分が最後だったのだ。マイクの前には志岐恒雄の遺骨。そして、空中に浮かんでいる彼の魂へ直接感謝の言葉を投げかけた。お世話になった。勇気ある弁護士だった。クラスメイトが泣いていた。正義派の法律家としての彼の人柄を思わせる堂々とした会が終了し、喫茶店でミニクラス会。思い出を語る。失明したボクにとっては、クラスメイトの若き日の面影しか見えてこない。
▲ 肩並べ 友を見送る 秋の夜
▲ 神無月 たちまち消える 蝉の声

1003・金・アルル誕生日・
 目覚めて『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。アルルに御飯、コーヒータイム。チーズをあげながら、アルルに誕生日だとつたえて、4歳を祝う。ふたりで握手。午後1時半、田中康夫国会代表質問。自身の言葉による質疑はエキサイティングだった。ゆうがた、いつもの透析。21時半、ベッドで上方演芸会。
▲ 街角で 誰かのくしゃみ 神無月

1004・土・
 目覚めて『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。BGMはTBSでなくて、YMO。コボちゃんと外出。光陽楼で食事。帰宅して『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。22時、「ラジオ文芸館」は『フィルム』は山梨県の勝沼が舞台のワインにまつわる父とと子の物語。この作家、うまいと思った。朗読も悪くない。刺激されて、またまた執筆。疲れて居眠りをしたら、おかしな夢。コボちゃんに起こされて、つまみとワイン。BGMは『ラジオ深夜便』。萩原朔太郎の『猫町』のCDをかけるが、イントロのピアノを別にして、朗読部分はほとんど記憶にない。眠りに落ちながら、河西宏枝さんからマネヒネコが届いたことを思い出していた。
▲ 執筆は 麻薬に似たり いわし雲

1006・月・
 雨。未明に起きて執筆。午後からは打ち合わせ1件。絵夢工房社長の二島とその先輩。親友はありがたい。雨、あがる。夕方、いつもの透析。一日が早い。
▲ 窓開けて 秋雨の音 招き入れ

1008・水・
 不動産のことで、とある弁護士からアクセスあり。こちらから連絡するが、無礼な男。弁護士といっても、タイムイズマネーの価値観しかないのだろうか。とはいえ、こちらも時間の無駄をした。正義派の弁護士、志岐恒雄の死を惜しむ。世の中は株価暴落で、不景気一色。ここで個人がくじけてはならない。勇気を持ち出すしか他に方法はない。
▲ 暴落で 地軸傾く 世界かな
▲ 責任を 取らぬタヌキの 政官業
▲ 懐に しみる秋風 負けないぞ

1009・木・
 ジョンレノン誕生日。生きていれば68歳。FM-J-WAVEはジョンレノンデイ。かけたら、ノットアセカンドタイムがかかっていて、感動。
▲ 暴落に 手足縮めた 亀太郎

1010・金・アリーナ命日・
 目覚めてアリーナに挨拶。ありがとう。すぐに『ありがとうアリーナ・もうひとつの盲導犬物語』執筆。いきなり、絵本のアイディアが浮かんでくる。世界的な金融パニックがボクの創作意欲を刺激してくれたのだ。巨人が優勝したらしいが、まるで盛り上がらない。世間は冷静。

1011・土・
 ロス疑惑の三浦が自殺と報じられる。彼はとうとう事実を墓に埋めてしまったのか。けれども、謎は深まる。

1012・日・
 朝の散歩は豪徳寺まで。アルルと盲導犬ごっこをする。よく歩く。豪徳寺でまずいコーヒー。帰宅して飲み直し。マンガクラブのヒサクニヒコ先輩に電話。昨日のTBSラジオ、土曜ワイドに出演していたのだ。愉快に談笑。午後、毎月のイラストレーションの習作と絵本アイディア。いつも仕事はむずかしい。
▲ 朝の道 イヌと枯葉の 音を聞く
▲ 青い空 部下に引き連れ 枝の柿

1014・火・
 終日イラストレーションと執筆。月刊『ラジオ深夜便』締め切り。岩坂編集者くる。一緒にYMOのスネイクマンショウで笑う。21時半、歌謡ドラマ。知的な女教師を山下智子さんが演じていた。ぴったりの役柄だ。と思っていたら、幼馴染の山下君から電話。おかしな偶然だ。寝る前の朗読CDは太宰治の『竹青』。
▲ 雨音は 静かな秋の BGM

1016・木・アルルがやってきた記念日・
 起きてアルル記念日の朝の散歩。アルル、盲導犬の真似をうまくやる。かなり長い距離を歩けるようになった。道路の右側を歩かせたら、これが上手に歩くのだ。ほとんど、盲導犬といってもよい。面白い遊びを見つけたものだ。もっと前からやってあげればよかった。おかげで、盲導犬と間違えられる。途中、住宅街で、いつもの江戸犬に吠えられる。あちらは挨拶気分。明るく吠えている。本当に時代劇に出てくる犬の遠吠えみたいだ。
▲ 秋晴れに イヌもうかれる 朝の庭

1019・日・
 午後2時、方南町図書館で山下智子『源氏物語』朗読の会。これで二度目の経験だが、いにしえの京言葉による源氏物語に魅力と迫力が増してきている。津田塾生の上田史織さんといく。みんなで楽しく談笑もできた。
▲ 秋の夜 和装麗人 酔い覚まし

1020・月・
 午前中、絵本テキスト。午後、新宿JR病院で検査。夕方から透析。何もできなかったのに、忙しい一日だった。
▲ 秋晴れに 都心目指して 小田急線

1022・水・
 絵本『あしたのねこ』の台湾版の契約。インフルエンザワクチンの接種。夜中、愛猫に起こされる。キロンは猿のように手を使い、頭も使う困ったネコだ。

1023・木・
 カレンダーのアイディアに悩む。絵本『あしたのねこ』の科白を覚える。絵本「ぶうたれねこ」のテキスト届く。外は雨。油断していると、アルルにベッドを占領される。株価暴落、円高ニュースの荒れる中、一日がますます速く過ぎていく。
▲ 秋雨や 開いた窓に はあくしょん

1024・金・中野寛子さん誕生日・
雨がひどかったが、ボクらが出たらすぐにやんだ。藤沢まで快速急行で到着。江ノ電でクロバーガーデンへ。佐野厚さんと合流。中野さんに花束を手渡す。コボちゃんがそれを花瓶に活ける。94歳の誕生日、おめでとうございます。
▲ 秋雨に 傘も濡れない 晴れ男 

1025・土・
 月曜日のため、午後から変更透析。ベッドで絵本『あしたのねこ』の科白を覚える。自分の科白だけではタイミングが合わないので、テキストすべてを覚える。金持ち巨人軍が強いので不愉快。透析で疲れたし、夢の世界を楽しむ。
▲ 目の見える 眠りの世界 夢芝居

1026・日・
 目覚めの腹筋。起きていつもの朝の運動と日記。シャワーと髭剃り、着替え。アルルに御飯、コーヒータイム。外出したら、雨がちらほら。午前10時、美容院。合間、ICレコーダーで絵本『あしたのねこ』の科白覚え。新しい美容師がついた。午後3時頃、浜松の眼科医、石井先生、藤田邦彦医師とくる。来年の講演の打ち合わせ。

1027・月・
 静岡で木村雄一氏講演会にゲスト参加。「絵本の杜」の木村春子さんにエスコートをしてもらう。往路の新幹線で木村裕一氏と朗読リハーサル。しっかりと暗記できていた。おかげで絵本『あしたのねこ』朗読も対談講演もうまくいく。木村雄一氏のスタッフが見事にエム ナマエの世界を映像にまとめてくれたのだ。サイン会で「あらしのよるに」にサインを求められたのには驚いた。既に『あしたのねこ』は売り切れていたのだ。復路の新幹線では木村春子さん、木村裕一氏と彼の秘書とボクの四人で、まるで修学旅行のように楽しかった。

◆11月・
1101・土・
 本日より11月。昼間、木枯らし一号。絵本テキストを仕上げる。石井先生からいただいた浜松の鰻でウナドン。
▲ 木枯らしの 知らせ 心に枯葉舞う

1102・日・
 黒澤明の映画じゃあないけれど、素晴らしき日曜日。高校時代から憧れていた心の恋人と食事した。ルノーはハンドルを握る彼女にふさわしい。
▲ 秋晴れに フォーク握る手 汗をかく

1104・火・
銀座6丁目、リコー本社にて執行役員と面会。機会のレクチャーを受け、ショウルームを案内していただく。ボランティアスタッフの別府さんがエスコート。プロデューサーの江口氏、書家の藤井さんが同行。ボクの言葉と彼女の書が、このクリーンなスペースで、いかに融合するのか楽しみ。

1105・水・
 カレンダーのプランが固まり、未明より起きてキャラクターの習作。ワニの紳士、キリンの手品師、カメの郵便配達。
 午後、米国大統領にアフリカ系米国人、バラク・オバマ氏が当選した。歴史的瞬間。
 夜7時、神楽坂カナルカフェにて、大田大八先生90歳の祝い。コボちゃんの風邪が治らないため、エスコートは「絵本の杜」の榊原朋美さん。到着してすぐに大田先生にご挨拶。90歳おめでとうございます。林静一さん、五味太郎さんと同じテーブル。角野栄子さんが声をかけてくださる。昔馴染みや先輩方がいっぱいで、楽しかった。

1107・金・
筑紫哲也さんが亡くなったとのニュース。昨年の5月、長野県の無言館における成人式で、並んでプレゼンテーターをしたことを思い出す。

1109・日・
 朝よりカレンダーの下絵制作快調。永井荷風の小説がBGM。手は疲れるが、仕事はかどる。早くコボちゃんに絵の出来をチェックして欲しい。夜は日本シリーズ最終戦をBGMにカレンダーの下絵制作。とうとうライオンズ、巨人軍を破る。日本一おめでとう。まさか、この自分がライオンズを応援するとは。いや、埼玉ライオンズと改名したから応援しやすいのだ。西武ライオンズだったら、いくら原巨人が相手とはいえ、やっぱり考えてしまうだろう。
▲ 立冬の 猫が膝から 離れない

1111・火・
 朝から月刊『ラジオ深夜便』ゆめぞうのイラストレーション制作。あれこれと習作するが、なかなかアイディアが浮かばない。絵本「白いハト」にゴーサイン。午後4時、木村裕一氏、池田編集長と打ち合わせ。楽しく談笑して、打ち合わせは成功。イメージもできている。絵本「ぶうたれねこ」は三月発売予定。

1112・水・
 朝より絵本『ぶうたれねこ』ラフスケッチ。絵本『白いハト』のキャラクター習作。バジリコじいさんが難しい。午前中にゆめぞうの彩色が完成。午後2時、月刊『ラジオ深夜便』1月号締め切り。岩坂編集者と談笑。音声ワープロの説明をする。夕方からは透析。週に三度の透析は、生きている限り休めない。けれども、予定通りにことが運ぶと幸せ。
▲ 鉛筆の 線なめらかに 白い紙

1113・木・
 朝はリコー展示のための言葉のセレクト。江口プロデューサーに送信。
 16時に高田馬場。鉄腕アトムの音楽が耳につく。ここはボクの故郷だ。懐かしい和菓子屋、「いせや」で山下君とおしゃべり。
 19時、下落合にて、娯楽天国20周年記念公演『ごはんですよ』。幼馴染の山下夫婦と芝居見物となる。脚本も演出も見事だった。大入り袋をもらう。娯楽天国はボクの脚本でも芝居を演じている。1997年、『はい、こちら地球防衛軍』は上方園芸へのオマージュであったのだが。高田馬場へ戻り、洋風居酒屋で飲食。山下夫婦と一緒だと気楽でいい。
▲ おいしいね 幼馴染と 飲むお酒
▲ おめでとう 娯楽天国 二十年

1116・日・
 外出したら、またまた小田急線が遅れている。午後2時開演、川畠成道10周年記念コンサート「四季」、サントリーホール。サントリーホールの案内係が燕尾服を着て、実にサービスがよく、誠実な印象。さすがである。川畠成道さんの演奏はすごい。ビバルディーの『四季』も、これからは別な印象で聴けるかもしれない。けれど、あの編成にチェンバロが組まれていることに初めて気づいたのも、いつもはぼんやりと聴いているからなのだ。休憩時間、コボちゃんが川畠成道氏の本とCDを買ってきた。コンサートが終わってから、楽屋口の長蛇の列に並び、川畠成道氏に挨拶をして、サインをもらってきたが、かなりお疲れの様子だった。無理もない。あれだけの大物を演奏した後なのに、誠実な人柄なのだ。
 六本木の交差点、『シシリー』という間口の狭い店に入ったら、これが当たり。じつに安価でうまい店だった。女の子の感じもいい。
 本日は1万歩。よく歩きました。帰宅して、着替えて安堵してたら、コボちゃんが絶叫。散歩をさせたアルルに謎の生物が付着していたのである。謎の生物をよく観察して報告させると、蛭としか思えない。色も形状もやはり蛭なのだ。そんな生き物はトイレに流せばいいのに、気持ち悪いといいながら、コボちゃんは蛭を遊歩道に連れていってやった。「だって、生きてるんだもん」はコボちゃんらしい科白。
 ラジオ深夜便に月刊『ラジオ深夜便』の谷口編集長が出演しておられた。宇田川アナウンサーと共演していた。それを聴いてから眠る。
▲ 名演奏 轟く拍手 十周年
▲ 傾聴は ラジオの俳句 深夜便

1118・火・
午後2時、東京女子医大、新城先生受診。ドップラー検査。待ち時間で『犬身』を読んでもらう。新城先生はいつもご多忙。帰路、伊勢丹で崎陽軒の焼売を購入。元厚生省事務次官が襲撃されるという連続テロが発生。まだ真相は不明。

1119・水・
 元厚生省事務次官連続襲撃事件で世の中は騒然。絵本白いハトの画面構成打ち合わせ。キャラクターはOK。新しい絵本のアイディアを話したら、次の出版にしたいとのこと。
▲ 雲晴れて 雪の便りの 届く朝

1120・木・
 朝の運動をしていたら、宅急便で果物が届く。今年は豊作だが、いちいち送り先を確認してから玄関を開く。用心にこしたことはない。午後1時半、新宿石川病院にて旭川医大の笹嶋教授に受診。笹嶋先生の飛行機が遅れる。コボちゃんは世界堂へ買い物にいく。1時間、ひとりで待合室でTBSラジオ『ストリーム』を聴く。このラジオが面白かったので、よかった。あれこれと録音メモする。ひとりだったので、検査技師さんと、知り合いの患者さんがボクをエスコートしてくれた。両下肢のエコー検査は時間がかかる。笹嶋先生と世間話。お元気そうだった。検査室の外でコボちゃんの咳が聞こえた。まだ風邪が治らないのだ。
 病院を出たら空腹。ラーメン屋に入り、インチキなチャンポンを食べた。スーパーでボジョレヌーボーを試飲。解禁日に味見をしたのは始めてだったかもしれない。悪くはない味だった。しかし、空輸するほどのものではないだろう。ブームも終わり、試飲セールなんかやって、売る側も苦労が多い。



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