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★ 毎日のアレコレ十七文字

■ 2008年12月22日から新年1月4日までの出来事あれこれ
◆ いつも日記をつけているのです
 失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、大切な事柄から瑣末時までを思い出し、神経質なほどマジメに日記をつけてます。音声パソコンを入手した当時、ただのスケジュール表だったものが、いつの間にか毎日の記録となっていました。運動、万歩計、透析データ、食事と、健康維持のためにも大切なものとなったこの習慣も、始めてからもう20年になろうとしています。
 けれども、世間で流行しているようなブログのように、人様に読んでいただけるものではありません。ただ、2007年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、それぞれの季節や出来事のヘッドラインになるので、ここに紹介させていただいてきました。

◆ 漱石や荷風になれるはずもなく
 本当はひとつひとつ、丁寧な記事に仕上げたいことばかりなのですが、十七文字や日記の切れ端の紹介で、現在を生きるボクたちの暮らしを浮かび上がらせてみたいと思います。
 エムナマエの日記なんぞ、夏目漱石や永井荷風にでもならない限り、死んでみたって永久に披露するチャンスなんぞもあるはずもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の記録を粉砕して、かけらを集め編集して、その一部だけをホームページに掲載し続けることにしたのです。どうか、よろしくお付き合いください。

◆ 2008年12月22日から新年1月4日までの日記ダイジェスト
 さようなら2008年。ようこそ2009年。
 また年間のバトンタッチ。一年間が入れ替わります。

1222・月・
 19度と、異様に暖かい朝。一日遅れのゆず湯。ゆっくりと温まる。
 午後1時、プロデューサーの江口さん、書家の藤井美奈さんくる。いろいろと「書」を見せてくれるが、コボちゃんには「書」がよく分からず、困っている。
 午前中が異様に暖かかったのが、午後になって、いきなり冷えてくる。激しく冷たい風雨の中を病院へ。傘をさしかけてくれるコボちゃんが大変。
 透析から帰宅してTBSラジオ。アクセスのコメンテイターは田中康夫さん。いろいろな角度から、新しいビジョンを具体的に提示していた。日本を解体して、各地域が独立、中央集権を打破して、自治と独自性を賦活させる、という方法論。また、清貧さえ覚悟できれば、鎖国もひとつの選択肢であるとは、元大蔵省完了の見解ではあった。これにはボクも反対しない。
 民放ラジオでは、コンサートのCMが目立つ。その中で「半径5メートルのことを歌います」という女性歌手の口上が耳に残る。それでいいのだろうか。
Think global, Act local.
という考え方があるが、いつも心に世界を抱いていたい。
 日曜日と休日のはざまで、中途半端な一日となる。休日は午後3時からの透析なので、まとまったことができない。けれども、これは病院の方針。どんな理由があるかは知らないが、患者の都合は優先されない。だったら、そんな休日なんか、ない方がいい。
▲ 凍える手ひとつの傘で病院へ

1223・火・天皇誕生日・
 東京タワー開塔から50年・東京タワーは当時の皇太子の誕生日に合わせて完成させたのである。
 東京タワー見物といえば、トラウマとなっている、ボクだけおいてけぼりにされた悲しい事件を思い出す。親は子どもの気持ちは考えない。
 朝は柿を食べた。最後の柿で熟してうまかった。リンゴもうまく、本当に今年の果物は見事だった。
 年賀状を白黒でプリントアウトするため、デザインも白黒のためにかき直す。やはり、ミミズクよりは牛の絵がいいと思ったのだ。
 夜はTBSラジオでボクシング世界タイトルマッチ。目が見えなくなっても、ボクシング好きはやまらない。昔見た映像をモンタージュして楽しむのだ。内藤大助、いい試合をする。彼の宣言した通り、双方で1500発を超える見事な殴り合いとなった。勝ち逃げしない、その姿勢がいい。勝利のインタビューのときの反省の態度もいい。客に受けたときは反省すると語る小三治師匠の姿勢に通ずるものがあるような気がする。有頂天になりがちな自分などは、見習うべき生き方である。
▲ 世界一夢の鉄塔五十年
▲ 熟し柿心に青き遠い空
▲ 殴り合いベルトプライド世界戦

1224・水・クリスマスイブ・
 絵本テキストとダミーの確認。午前11時、木村裕一さん、童心社の池田編集部長くる。絵本「いつもぶうたれネコ」の打ち合わせ。編集長よりキャラクターについての注文あり。
  オイケンから亀井静香「歴史への挑戦者」という論考が届く。興味ある内容だった。
 昼は禁食。何も食べられない。絵本「いつもぶうたれネコ」のキャラクター修正のための習作。早めにシャワーと着替え。髭剃りは終わっている。午後5時、病院にてCT検査。造影剤使用。造影剤で身体がほてる。
 帰宅してクリスマスイブの食事。モエシャンドンをあける。やはり、シャンパンは本物でなくてはいけない。と、鼻息は荒いのだが、透析直後だったので、力が入らず、シャンパンのコルクがなかなか抜けなかった。チキンがうまい。アルルがケーキをうまそうに食べていた。ネコドモは島流し。シマネコたちの島流し。BGMはずっと有線放送のクリスマスソング。ツリーとカタツムリのステンドグラスを点灯。静かで幸せなクリスマスとなった。
 クリスマスの夜に、エピソードをひとつ思い出す。宇宙の一番星の逸話。つまり、宵の明星のことではなく、ビッグバンから3億年して現れた宇宙最初の星のこと。それは高性能の望遠鏡で捜せば、135億光年彼方の宇宙で見つけられるはずなのだ。そして、その向こうに天体を発見できないのは、まだ星が生まれていないからなのだ。ところで、2008年前に賢人たちを導いた星とは、どんな光を放っていたのだろうか。
▲ 嬉しいねいつもと同じクリスマス

1225・木・
 二日酔いで朝寝坊。一日遅れで、アドベントカレンダーのクライマックスウィンドウを開く。サンタクロースのチョコレートだった。コボちゃんと半分ずつ食べる。上半身と下半身。サンタさん、お気の毒。
 絵本「いつもぶうたれネコ」のキャラクターのラフスケッチ。午後、6枚を童心社にファックス。それにしても、いよいよ年末。気があせる。
▲ よい年をいわれてあせる師走かな
▲ 年賀状まだ書けてない年の暮れ

1226・金・
 絵本「いつもぶうたれネコ」の画面構成。外は猛烈に寒く、札幌は吹雪で飛行機が飛ばず、山ではスキー場が喜んでいる。けれども、部屋には日差しが暖かい。
 がんこじじい、トラネコのキロンがうるさい。屋上へ連れていけ、隣の部屋に連れていけ、とわめきたてる。24時間、ネコの執事じゃたまらない。
▲ 寒空に寝巻きひとつで猫と出る
▲ 本気出し猫に腹立て面目ない

1227・土・
 サンルームからの日差しが暖かい。年賀状のデザインとプリントアウト。絵とサイン、600通。ラジオをBGMに、ずっと熱中。TBSラジオ、宮川賢のパカパカ行進曲が馬鹿馬鹿しく面白く、爆笑する。
 青木弘子ママとジュンちゃんの訪問。来年の桐朋学園卒業制作公演、仙川劇場のロビー展示の打ち合わせ。ジュンちゃんからクリスマスプレゼント。わんわんスリッパをもらう。コボちゃんは猫の顔の手袋。これが愉快。しかし、若いお嬢さんからプレゼントをもらってばかりの、へんなオヤジ。
 深夜、600枚のサインが終わる。マッサージチェアでラジオ深夜便のアーカイブは文化講演会。金田一晴彦の講和を聴く。眠ったのは2時。そして、6時にキロンに起こされる。それでも無視して眠っていたら、猫の夢ばかり見た。
▲ 年末に年始の日付でサインする
▲ 年賀状心と力こめて書く

1228・日・
 NHKラジオのアーカイブで二木てるみの「丈比べ」をやっていた。引き込まれる。19歳の二木てるみの声ではあるが、今も彼女の声は変わらない。そう考えていたら、オレゴンにいる青木裕子アナウンサーからケータイで国際電話。いろいろなことがリンクして、これこそがシンクロニシティー。不思議だが、面白い。
▲ おかしいねみんなどこかで結ばれて
▲ 急ぎ足暮れて明け行く年ひとつ

1229・月・
 いつもの透析。ずっとFM-J-WAVE。年末も通常通りの放送というのが嬉しい。ジャムザワールドに福島社民党党首が出演。政府に緊急雇用安定基金の設立を要請したとの報告。年末にかけて日比谷公園では年越し派遣村が開かれるが、失職者たちは政治被災者たち。仮設住宅の必要性を説いていたのは納得できる見識。
 宮台真司教授も同番組で熱弁。いつものジャムザワールドだったら、上澄みだけを掬い取るような放送内容なのだが、さすが宮台教授が論者だと、共演者も緊張して、問題が掘り下げられていく。
「仕方がない、の先がないのはどうしたわけだ」
「ある時期から、建前と本音が平行線を保てなくなり、日本はレールから外れてしまった」
という、このふたつの指摘が印象的だった。
▲ 群れたがる寂しがり屋のお金たち
▲ 美しき国土景気を立て直す

1230・火・
 お正月の買い物から帰宅したら、親友の二島から電話。仕事に一息ついたのだろう。ひどい年になったと、お互い嘆く。けれども、来年も頑張ろうと語り合う。
 TBSラジオのデイキャッチでは川柳特集をやっていた。一年間を時事川柳で振り返るのだ。
 夜、幼馴染の山下君くる。つきたての餅を届けてくれたのだ。コーヒーを喫しながら、あれこれ談笑。
 レコード大賞はつまらなかった。ボクの音楽シーンとはえらい開きがあるのだ。放送局にもいろいろなしがらみがあるのだろう。ラジオ深夜便を肴に赤ワイン。ゆったりと一年間を振り返る。
▲ つきたての餅が届けばお正月
▲ 川柳でこの一年を振り返る

1231・水・大晦日・
 起きて、いつもの朝の運動と日記。メールあれこれ。下村健一氏のお父上が逝去されていたと知る。合掌。
 風呂はゆず湯につかって、一年の汚れを落とす。着替えて最後のラフランス。うまかった。透析は大晦日ということで、午後3時半までに入室。透析スタッフに一年のお礼を伝える。
 ニュースで、山梨の笛吹市周辺が山火事と知り、心配。このあたり、人も土地も大好きなのだ。
 帰宅して御節料理でスパークリングワイン。紅白歌合戦もうまい肴になってくれるのだ。ボクの音楽シーンとはかなりの開きがあって、これもまた愉快。まあ、国民みんなを楽しませようという企画に無理があるのだが、それはそれでNHKの努力目標なのだ。スタッフの全員にお疲れ様と伝えたい。コボちゃんに新年の挨拶をいおうと思ったら、もう半分は夢の世界にいっていた。
 泣いても笑っても、2008年という一年が暮れていく。悲しいこと、つらいこと。いろいろな出来事があったにせよ、コボちゃんやイヌネコが無事であってくれたことに、感謝したい。一年間、ありがとうございました。
▲ 一年間泣いて笑って感謝して
▲ 暮れていく泣いて笑った一年間

◆ 2009年1月
0101・木・元旦・
 ボクが眠っている間に、うるう秒が設定され、1秒を修正された。地球の自転は性格には24時間ではないのだ。
 ラジオでは2009年予測。慶應義塾の金子経済学教授の話が心に残る。内需拡大がキーワード。それには、人材確保と消費者養成がポイント。農業問題も大切になる。輸出依存の経済機構から、円高を活用する産業構造を編成する必要があるだろう。そして、やはり内需拡大の成否は人間を大切にする社会を実現できるかどうかにかかっている。マッサージチェアで頭を巡らせながら傾聴した。
 笛吹き市周辺の山火事はまだ鎮火されない。イスラエル軍のガザ地区への爆撃も終わらない。日比谷公園では年越し派遣村で炊き出しが行われている。派遣切りで年を越せない人たちがいるというのに、ハローワークは正月休み。開村式には田中康夫さんも駆けつけていた。それにしても、霞ヶ関の目の前に開村したのは湯浅村長の作戦なのだろうか。
 ニュースは気になることばかりだが、コボちゃんが安売りで買ってきてくれたタラバガニに食らいつく。指は冷たくなったが、口は喜んでいる。ネコドモは蟹の匂いに熱狂していたので、306号室に閉じ込める。
「まるでサバンナでランチみたい」
 ボクが叫ぶ。我が家の食卓は弱肉強食なのである。
▲ 心こめ幸せ祈る除夜の鐘
▲ 目覚めれば初日は高く屋根の上

0102・金・
 起きて箱根駅伝をBGMに筋力運動。今年も20人抜きや8人抜きで新記録続出。それにしても、子どもの頃の自分は、箱根駅伝を、箱根駅弁とばかり思っていた。失明しても箱根駅伝が楽しみなのは、風景が見えてくるからだ。
 NHKラジオでは、地域によっては飴が降るとの天気予報。ボクも年中誤変換をやらかしているので、大きなことはいえないが、全国放送なんだから、いくら新人の気象予報士とはいえ、しっかりと共通語のアクセントを教育して欲しい。やはり、正月休みで、人材不足なのだろうか。それにしても、飴が降っては地面がベタベタになって困る。雨の代理として、空から降ってくるのだから、水飴かなあ。
 菅原陽一さんがラジオ深夜便の歌を歌っている。2005年、車椅子でFMラジオに出演したとき、お会いしたことがある。そのとき、親切にも出たばかりのCDをくださった。昔はハンバーグなんて渾名で呼ばれていたが、そのとき、一緒にお会いしたのは形態模写芸人のコロッケさんだった。菅原陽一さんもコロッケさんも、一流芸能人のオーラを放っていて、かっこよかった。やはり、人間的に優れていないと、芸能界でトップを維持してはいけないのだろう。このことは、これまでボクがお会いした一流芸能人に共通していることである。
▲ 韋駄天の心臓破り箱根山
▲ 新年がこの青空のようであれ

0103・土・
 初詣に出かける途中、箱根駅伝のゴールを聴く。東洋大学が初優勝だが、完全優勝となって、よかったね。不祥事があったから、みんな一塊になって頑張ったのだろう。
 休日透析は午後3時からで一日が中途半端。宮川賢のパカパカ行進曲の特集を聴く。ベッドに潜って、こらえて笑う。世の中には普通の人なんて存在しないのだ。
 透析中はラジオに傾聴。今年は3D映画が流行るらしい。その昔、プリミティブなCGや立体映画を楽しんだものだった。けれども、どれほど映像的な刺激が発達しようとも、脚本がお粗末では仕方がない。リメイクでお茶を濁しているハリウッドを立体映画は救うことができるのだろうか。物理的な刺激はすぐに人を飽きさせる。
 映画といえば、くだらないことを思い出す。ニコラスケージという役者がいるらしいのだが、ボクはずっとニコラス刑事というヒーローが活躍する警察物語のことだと思っていた。
 ラジオによるWBC日本惨敗の予測にはボクも同感。王監督だから世界一になれたのであって、原監督ではアジア代表にもなれるかどうか。現役時代からそうだったが、原という人には閃きが感じられなかったし、監督になってからは情も感じられない。 閃きといえば、TBSラジオの新春番組に出演していた三輪明宏さんの弁天小僧の台詞回しには感服した。三輪さんは語っても歌っても超一流の芸術家。その昔、こんな偉大なお方とトークショウをやらせてもらったなんて、ボクは度胸がいいのではなくて、馬鹿なんだと思う。
 夜のニュースで、ホームレス連続襲撃事件の容疑者逮捕。どのような人間像なのだろうか。少し、気になることがある。
▲ 生きられてお礼参りの初詣

0104・日・ルイ・ブレイユ生誕200年・
 未明に起きてラジオ深夜便。心の時代はクラネタリウム。クラゲが救った水族館。
 イスラエル軍、ガザ地区で地上戦開始。イスラエル政権は戦争を選挙運動の一環と考えている。今年もまた戦争で始まった。
 食事のあと、コボちゃんにルイ・ブレイユの生誕200年の新聞記事を読んでもらう。英語で点字をBrailleというが、彼の盲人への功績は偉大である。コンピュータが発達しても、点字の必要性に変わりはないだろう。ボクも点字のおかげで救われた。日本点字図書館の存在は大きい。
 絵本「いつもぶうたれネコ」の画面構成、イラストレーション準備。コボちゃんに手伝ってもらい、絵本のダミーと照合する。
▲ 正月は毎日サンデイ寝て曜日
▲ ブレーユのおかげで打てるコンピュータ

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