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★ エム ナマエの公開日誌 − あれこれ出来事 思いはいろいろ −

■ 2009年1月19日〜2月1日
 いつも日記をつけてます。失明したら頭脳がノート。だから、記憶力のトレーニングのためにも、前日の出来事を振り返り、コツコツ日記をつけてます。
 音声パソコンを入手した当時、ただのスケジュール表だったものが、いつか毎日の記録となっていました。筋力運動、万歩計、透析データに食事の記録。健康維持のためにも大切なこの習慣も始めてからもう20年。
 けれども、世間の皆様がされているようなブログとは違い、わざわざ読んでいただけるものではありません。ただ、2007年の8月12日から遊びで始めた十七文字が、季節や出来事のヘッドラインになるので、ここに紹介させていただいてきました。
 毎日の出来事。去来する思い。本当はひとつひとつ、丁寧な記事に仕上げたいのですが、イカサマ俳句にマヤカシ川柳。これら十七文字や日記の切れ端で、現在を生きるボクたちの暮らしを浮かび上がらせてみたいと思います。
 夏目漱石や永井荷風ならいざ知らず、ボクの日記なんぞ死んでみたって永久に披露されるチャンスなんて訪れるわけもなく、こうして自分に命のある間だけ、毎日の出来事や思いを粉砕して、かけらを集め編集して、ホームページに掲載し続けることにしたのです。
 さて、近頃ここいら最近の2週間。出来事あれこれ、思いはいろいろ。どうか、よろしくお付き合いください。
2009/02/17 エム ナマエ


0119・月・
 起きて絵本「いつもぶうたれネコ」イラストレーション。楽しいが難しく、あまり能率があがらない。主人公のネコのキャラクターが安定しないのだ。何年やっても創作に慣れることはないのだと、心底から思わされる。
 午後2時、フォーラムコミュニケーションの江口プロデューサーくる。リコー新製品展示会場のレイアウト打ち合わせ。透析まで絵本の下絵を続けるが、中途半端。
▲ かじかんだ指にペンだこ白い紙

0120・火・アフリカ系米国大統領の就任式・
 起きて絵本「いつもぶうたれネコ」のイラストレーション。午後も引き続き絵本の下絵。今場所は大相撲が面白い。ボクはずっとラジオをBGMに絵本の下絵を描き続ける。夢中になれて楽しいが、やはり絵本は難しい。一日中、朝から晩まで、絵と向き合っていた。コボちゃんはオバマの大統領就任式のために寝溜めをしていた。
▲ 描き損じため息ついて屑篭へ
▲ 熱狂の嵐を前に大統領
大寒の就任式に二百万

0121・水・
 起きてすぐに手紙。可憐な少女たちから可愛いお手紙をもらったから、その返事を書いたのだ。それから、絵本「いつもぶうたれネコ」の下絵。楽しんではいるのだが、やはり簡単には進まない。目が見えれば何でもないことが壁になってしまう。それでも絵本の仕事がしたいのだ。
 空腹でカップのカレーうどんを食べる。これがうまいのだ。化学調味料の後味の悪さもないし、ちゃんとした豚肉も入っている。メーカーの努力がうかがわれるが、こんなものがあると、みんな料理をしなくなる。便利さはいつも何かを奪ってしまう。
 目覚めてきたコボちゃんがしきりにオバマの就任式の話をする。よほど感動したのだろう。オバマについては、これから様々な論評がされるだろうが、いずれにせよ、歴史的一大事には違いない。彼が核ミサイルの発射ボタンを渡されたとき、緊張したと聞いたが、米国大統領とはそういう存在なのだ。彼の手に我々の運命が握られている。
 最近、アラカンと言う言葉を聞いた。アラウンド還暦ということなのだが、我々は鞍馬天狗のアラカンを知っている世代でもあるのだ。いずれにせよ、団塊の世代がアラカン世代に昇進した、ということらしい。アラサーとか、アラフォーとか、いろんな言葉を考えてくれますなあ。
 「いつもぶうたれネコ」の彩色プラン。絵本だから、連続性や整合性が要求される。記憶力との闘いになる。
▲ 新たなる手に握られた核ボタン
▲ 我が国になくてよかった核兵器
▲ 麻生さんあんたにゃ渡せぬ核ボタン

0122・木・
 目覚めてから終日絵本「いつもぶうたれネコ」のイラストレーション制作。けれども、なかなか進まない。つまらない失敗ばかりでくよくよする。集中力を消費して疲れた。
 仕事のBGMは金原亭馬生。さすが古今亭志ん生の長男。若き日の志ん生ではないかと思ってしまうほど、声も雰囲気も似ている。こういう世襲だったら大いに賛成する。
 夜、檜の香りの風呂に入る。温まったらコボちゃん特製のオデンで日本酒大吟醸。幼馴染の山下の奥さんにもらったもので、富山県の特産品だ。めっちゃうまかった。ゆっくりと飲んでいたら2時半になってしまった。
▲ 絵をかいているときだけは見えている

0123・金・
 9時から17時まで、断水。シャワーを浴びることができない。トイレも使えない。朝のうちに済ませておいて、透析の時間まで絵本の仕事。
 透析中、NHKラジオ、青木裕子アナウンサーの『愛しのオールディーズ』はナトセンこと教育評論家の名取先生。会ったことのある人物なので面白かった。
 帰宅したら、またまたオデンはコボちゃん特製。トイレに入ると、排泄物がオデンの匂いになっていた。
 とうとう就任したオバマ大統領の評価が高い。大衆の熱狂を利用しなかった彼の態度に拍手する。
▲ 蛇口から水の湧き出す貴さよ

0124・土・
 起きて石原均追悼展の告知記事を絵夢助人さんに送信。それから絵本「いつかぶうたれネコ」イラストレーション制作。苦労する。練習ではあんなに気楽にかけたのに、本番となると、どうしても緊張して失敗を重ねてしまうのだ。それでも見開きの絵を3枚仕上げる。ずっとラジオがBGM。マッサージチェアで休憩したら熟睡。目覚めたら、大相撲が終わっていた。
 22時10分、NHK「ラジオ文芸館」。不思議な物語で、作品には雰囲気があるが、残念なことに朗読がへたくそだったので、それが伝わらない。昼間からひきつづき絵本「いつもぶうたれネコ」の線画を描きながら聴いた。何年やっても絵本の仕事は簡単ではない。一休みして、リコー展示のための言葉セレクト。
▲ 四十年ラジオを友に手の仕事

0125・日・
 絵本「いつもぶうたれネコ」イラストレーション下絵と仕上げ。残りたった3枚なのに、てこずる。場面に共通性があるので、そこが工夫なのだ。外はいい天気だが、終日屋内での仕事。ラジオを消して、仕事に集中したが、疲れてFM-J-WAVEをかけたら、『相対性理論』というグループの曲が流れていた。『ハイファイ新書』というアルバムが話題になっているらしい。かなりユニークで魅力的なグループで、特に歌詞が面白い。その後は金原亭馬生と古今亭志ん朝の落語CDをかけた。
 夕方は大相撲の千秋楽。横綱対決の優勝決定戦に興奮する。ヒールの横綱が復活。さすがの悪童も涙ぐんでいた。総理大臣杯を渡すために麻生太郎が土俵にあがると満員の客席から怒号と野次。麻生太郎という人、まるでコモンセンスに欠けるので、気にしている様子がない。自分の立場を理解しているのだろうか。それとも、もしかしたら我々の想像をはるかに超越したものすごい大物なのかもしれないな。とはいえ、あんたに小泉の真似は無理なのだ、と思ってしまう。ブッシュもそうだったが、ボンボンにリーダーは務まらない。
 21時、NHKラジオの文化講演会。教育の話題。子どもから学べという論点。それをBGMに場面11の下絵。これは主人公のブウタレているネコの気持ちが変わっていく場面なので、ネコとネズミの表情を納得いくまで練習する。
 NHKラジオアーカイブスではラジオドラマの『夕鶴』。昭和24年放送のもの。60年前の作品で、ボクは1歳だから覚えてはいない。宇野重吉が主人公。録音はSPのレコードではないだろうか。スクラッチノイズがひどかったが、心引かれるものはあった。数十年昔といえば、人形劇団プークが42年ぶりに「牡丹灯篭」の再演をするらしい。これはボクが大学生のときに初演を観た舞台だった。講談師と人形が舞台でからむというユニークな手法で印象的だったが、今回の再演では、そうはならないらしい。ちょっと残念。ポポロの人形劇では琵琶法師とのコラボをしているが、座長の山根宏章さんは、この「牡丹灯篭」の初演に出演していた。
▲ 復活で強い悪役目に涙
▲ 手仕事は窓辺の机寒雀

0126・月・
 起きてすぐにストーブ。部屋を暖めておく。絵本「いつもぶうたれネコ」の下絵はすべて完成している。彩色プランを慎重に練る。それをコボちゃんが慎重にメモ。絵画音痴だったコボちゃんが、長年ボクの彩色をサポートしている。経験にまさる教師はいない。
 午後はメールで依頼作品についての打ち合わせと確認。額のタイセイさんに連絡。
 透析でラジオに傾聴。築地の魚河岸移転が話題になっている。歴史ある魚河岸が、わざわざ毒物の埋まっている土地に、どうして移転しなければならないのか。東京都は都民大量殺人計画でも練っているのだろうか。公務員のあるべき姿は国民のすべてを引き受けること。この悪しきプランには都民で力を合わせて反対したい。
 FM-J-WAVE、ジャムザワールドでは時効廃止論議。現在、凶悪事件については25年。被害者や遺族の感情。証人や証拠品の劣化。科学技術の進歩。もろもろ、総合的に判断すべきことだが、時効にはそれなりに存続意義もある。中退とはいえ、慶應義塾の法学部で学んだ経験はあるので、こうした議論には興味がある。とはいえ、やはり絶対に許したくない犯罪もあるので、感情論としては、時効をなくしたい衝動にかられてしまう。
 さて、ボクの仕事のスタートは反戦と反公害だったので、環境についてはかなり勉強してきたつもりである。そこで書物と耳学問による知識を披露。1千年単位で気候は温暖化と寒冷化を繰り返している。現在の地球温暖化が危険なのは、その変化が急激なためだろう。けれども、大気組成にせよ、気温にせよ、地球の生命ネットワークは対応し、改善してきた。その結果が現在の地球環境なのだ。あせっているのは人類だけで、地球本人はなんとも思っていない。地球にはいくらでも時間が与えられているからだ。
▲ 人は皆ドラマの中で生きている

0127・火・
 絵本「いつもぶうたれネコ」の原画がめでたく完成。作品ケースに絵とサインをする。これで明日、編集長に渡すだけ。
 ラジオ深夜便は水野貞彦アナウンサー。インタビューはアルビノについて当事者が語る。彼はアルビノを個性という。そして、個性の先にあるものをつかみつつある。色素が皆無なため、網膜に影響があるのだろう。彼は視覚障害者でもあるのだ。
▲ ペンだこの中指富士山拝みます
▲ 指と筆お店開いて四十年

0128・水・
 起きていつもの朝の運動と日記。BGMはニュース。世界的に首切りをしている。けれども、労働者をイコール労働力と勘定する考え方は正しくない。道具とは違い、人には感情があるのだ。裏切られた人は二度とその企業との信頼関係を取り戻すことがない。
 午前9時、絵本『いつもぶうたれネコ』原画締め切り。童心社池田編集長くる。すべての原画を確認。OKをもらう。さあ、どんな絵本に仕上がるだろうか。発売は3月19日の予定。
 リコー絵本のためのイラストレーションセレクト。これは時間がかかりそう。BGMのラジオで、ペット愛好家からの当初。しきりにゲージという言葉が使われていたが、ケージの間違いであると思う。基本的にゲージとは規格のことで、線路などの幅をいうものだ。ケージという英単語が檻とか監獄につながるので、避けられているのかもしれないが、ボクには気がかりな言葉だ。
 いつもの透析。ずっとラジオ。FM-J-WAVEのジャムザワールドに衆議院議員が出演。しきりにアジェンダという単語を乱発。マニフェストもそうだが、どうして公約とか議題とか制作というように、明快な日本語を使わないのだろうか。政治家にせよ、役人にせよ、どこか後ろめたいことがあるのに違いない。
 ひとつ耳寄りなニュース。タイヤキには天然物と養殖物があるらしい。天然物というのは、一丁焼きといって、単独の金型で個別に焼くもの。天然物は連続した金型で一斉に焼いてしまうもの。天然物は絶滅寸前の運命にあるらしい。
▲ 思うままいかないことが当たり前
▲ 満腹じゃ仕事するやつ誰もない

0129・木・
 朝寝坊。ニュースをBGMにいつもの朝の運動と日記。麻生太郎がオバマ大統領と電話会談をしたというニュース。国民に承認されていない首相は外交をする資格がない。それに、へたくそな英語で、この国を滅茶苦茶にして欲しくない。唯一、英語だけが自慢なのだろうが、通訳を通さない外交は無謀である。
 午前中、リコー展示のためのイラストレーションのセレクト。コボちゃんがポジをそろえる。午後2時半、フォーラムコミュニケーションの江口プロデューサーくる。ポジの預けと打ち合わせ。
 依頼作品の習作。けれども、失敗。左手の人差し指にトゲの感触。ピンセットを焼いてつまんでみる。痛みはなくなった。
▲ 口惜しいね同じ間違い繰り返す
▲ 見えたらと愚痴はいうまい嘆くまい

0130・金・
 起きてすぐにガスストーブ。時間をかけて依頼作品の習作。けれども、コボちゃんの評判はよくない。
 いつもの透析。ジャムザワールドでイアンフレミングの話。MI6は本当はSIS。シークレットインテリジェントサービス。フレミングは文房具をジェームスストリートとボンドストリートで購入していた。また、007の00は女王陛下の目玉の意味。ユアアイズオンリーは超極秘時効のコード。つまり、女王陛下しか見られない秘密ということ。今年はフレミングとMI6誕生百年になるらしい。
 ニュースでグループポームでの醜聞が伝えられた。年配者が利用者の若い女性をレープして金を奪っていたらしい。園長先生が多忙だから、ゆるみが出たのだろう。リーダーの苦悩を察する。女性を拉致して「性の奴隷」にするといって惨殺、遺体をバラバラにして下水に遺棄したというむごい事件があったが、性の奴隷となって人間の庭から外れていく輩は後を絶たない。
▲ 氷雨降る暗い時代の夜の道

0131・土・
 起きて下村健一のサタデイズバットを音声で見る。午前中、リコー絵本のためのイラストレーションセレクト。
 寒いというので重装備で外出。けれども、春の嵐はおさまり、晴れ間がでている。太陽が暖かい。徒歩と電車で四ッ谷駅へ。
 最近、小田急線でとまどうことがある。電車の種類がふえたり、とまる駅が違ったり。なのに、小田急線のアナウンスが不親切。おまけに、ホームに駅員がいない。不便なだけでなく、人の命を預かっている、という覚悟があるのだろうか。鉄道員としての誇りがあるのだろうか。これでは、毎日のように電車が遅れるのも当たり前。
 午後1時半、四谷紀尾井ホール、川畠成道バイオリン新春コンサート。英国時代からの親しい友人との演奏で、素晴らしいコンビネーション。超絶技巧とかスピリチュアルという言葉が薄っぺらに感じられるほどの高い精神性に裏打ちされた演奏。カルメンには身体の震える覚えがした。川畠成道、素晴らしい。その精神と鍛錬に惜しみない拍手を送りたい。あっという間の2時間だった。川畠成道さんのおかげで、コボちゃんもすっかりクラシックの虜になってしまった。
 ロビーで日本点字図書館の田中理事長ご夫妻と出会う。美織夫人とはメール交換をしたばかりだったので、思わず握手。川畠夫妻と談笑。コボちゃんが「ブラボー」と叫んでいたのはこの人です、などと告げ口をする。四谷駅まで田中夫妻と歩く。この道を田中さんと歩くのは、一昨年の野路菊賞受賞以来のことだ。
 つい最近、高田馬場駅で人身事故があったとのニュースを聞いたが、ここで事故があると、日本点字図書館の利用者でなかったかと気になることがある。ボクもこのホームで、白杖に悪戯をされた記憶があるが、盲人にとって、駅のホームは天国と地獄の境目なのだ。
 四ッ谷駅で空腹を感じていたら、新宿駅で駅弁フェアに遭遇。たまらず購入。帰宅早々、胃袋に収める。
▲ 新春の嵐かき消すヴァイオリン
▲ 空腹で駅弁フェアに鉢合わせ

◆2月・
0201・日・
 朝、地震で目覚める。ラジオ深夜便のゆめぞうイラストレーションの制作。疲れて睡魔に襲われる。仮眠していたら、またまた地震で起こされた。
 リコー絵本の作品セレクトとページ構成、序文の文章を書く。この絵本、残念ながら非売品。
 NHKラジオ文化講演会をBGMに夕食。頭と舌においしい刺激。
ラジオ深夜便は宇田川アナウンサーと青柳ひですけ映画評論家の『待ち合わせは映画館で』。小三治師匠がドキュメンタリー映画になったらしい。
 東京でもナマズが暴れているが、浅間山も暴れている。未明に噴火。火山灰は東京にも到達したとか。
▲ 不景気の巷に地震火山灰
▲ 顔寄せて僕のベッドの犬と猫

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