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■ 翻訳「雪国」 お忙しいところ失礼します。気分転換に(って、俺のためですが)今日思いついた新しい遊びをご紹介しましょう。 【冒頭】 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 ふーむ、「信号所」が奇妙ですが、まあ、普通ですな。これだけでは面白くないので、この英文を再度日本語に翻訳させます。すると…… 【英訳→再和訳】 それが境界の長いトンネルを通り抜けたとき、それは雪の多い地区でした。夜底は白くなりました。電車は、シグナルボックスで止まりました。 霊界にいるノーベル賞作家が、舌咬んで死ぬたくなるような日本語ですな。ここで止めたらもったいないので、この“名文”を今度は中国語に翻訳させて…。 【再和訳→中国語訳】 在那个穿?了境界的?的隧道的?候,那个是有?多雪的地区。夜底?得白色了。?气列?在信号箱停止了。 「境界」とか「隧道」とか「多雪的地区」とか、理解できる部分がわずかにあります。当然この中国語を再々和訳させます、と……。 【中国語訳→再々和訳】 あれに境界の長いトンネルを通過して、あれは多くの雪のある地区です。夜の底は白い了だけ変わる。電車は信号の箱に停止した。 だんだん不思議な言語になってきました。そしてそして、間髪をいれずこれを韓国語に訳す! 【再々和訳→韓国語訳】(全部化けるかも知れません) こうなるともう、窯の蓋を開く陶芸家の心境です。どんな内容に“窯変”しているか皆目分からぬ韓国語訳を、もちろん日本語に戻します。そりゃあ!! 【韓国語訳→再々再和訳】 あれに境界の長いトンネルを通過と、あれは多くの目がある地球です。夜の底は白い終りだけ変わる。電車は信号の箱に停止した。 どうでしょう? 新たな文学が創造できましたかな? ノーベル賞、もう一度もらえるかな? 韓国語で こまかな億万の目が 吉野
弘『雪国叙情』 詩集『北入曽』(1976 青土社 刊)より
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