ギャラリー新着情報サイトマップホーム英語
 
 



ボツダム宣言に乾杯


 田中長野県知事が脱ダム宣言をしました。これがポツダム宣言をもじった没ダム宣言にしなかった所が田中知事らしい所でしょうか。そう。もしかするとポツダム宣言が何かを知らない世代が増加していますので。

 要するに、もうダム建設を見直そうよ、ということなのです。聞いた所によると、日本国内で水力発電に利用できる河川や湖は、すべて利用されている、とか。それから飲料水のためのダムは必要かもしれませんが、湖水の水は、どうもおいしくないらしい。京都でも東京でも、夏の水のまずさは、そこあたりからきているのでしょう。流れている水がいちばんうまいのではないでしょうか。ダムを作れば河川の流れが変わります。森林や生き物に与える影響も甚大です。その影響は陸地だけでなく、海にも影響し、森林からの栄養分を失った海は死んでしまいます。でも、日本で自然のまま残っている河川はゼロに等しいのです。日本という国土は、もう死んでいるかもしれません。

 ダムを作らないと洪水になる。こんな正確ではない情報で国民を洗脳し続けてきたのは、政府自民党と土建業界の陰謀ではないでしょうか。もしも、予測不可能な大雨があった場合、どんなダムでも洪水を防ぐことは不可能です。人間の予測や予想を裏切るもの、それが自然なのですから。  既に死にかけたダムだらけらしいですよ。そんなダムは将来、滝にでもなるしか他に道はないらしい。死んだダムとは、つまり水ではなく土砂を貯めているだけのコンクリートの壁なのですから。もしかしたら、未来の日本観光ポイントは滝見物ツアーになるかもしれませんね。  古来、日本の為政者の課題は治水でした。そのため、伝統的に日本は優れた治水技術を育ててきました。水田農耕も技術のひとつです。江戸時代では幕府と藩が協力し、また権勢し合いながら各地の治水工事を実施してきました。それら歴史の遺産は日本各地で治水効果を維持していると思います。その、ほとんどすべてはコンクリートに固められてしまったでしょうが。つまり、堤防や土手は歴史的にも遺産となり得るのです。

 ところがダムはどうでしょう。ダムの維持管理には建設以上の膨大なる予算を必要とします。ですが、建設のときと異なり、政府はその予算を一切補助しません。ですから、死んだダムは放置して、新しいダムを建設せざるを得ないのです。ボクの好きな大井川鉄道のある大井川上流域では、ふたつのダムが重なって建設されています。江戸時代には川どめで有名だった、あの豊かな大井川はどこにも見られません。だだっ広い石だらけの川原を、チョロチョロと水が流れるだけの、川とも呼べないものになっています。これは悲しいですよ。きっと魚も泣いています。

 さて、メチャクチャをいいます。洪水、仕方ないでしょう。洪水がいやだったら、水の出そうな場所に家を建てなければいいのです。洪水はあって当たり前なのですから。日本の平野を御覧なさい。あれは、どれも洪水でできたんですよ。そこに都会や町を作るから洪水で悩むのです。人間がふえたんだから、あきらめましょうよ。洪水があったら、その悲劇と悲惨を責任もって引き受けましょうよ。日本国土をダムだらけにして、日本の野性を皆殺しにするよりはましだし、第一日本近海が死んでしまったら、おいしいお魚やお寿司はあきらめなくてはなりませんよ。

 ボツダム宣言、大賛成。正しいかどうかは歴史が証明してくれるのですが、それがたとえ計算違いでも、現在の間違った公共投資や政治の流れを変えるため、まったく新しいビジョンを提示した田中知事を全国レベルで応援しましょう。

                             2001/02/28  エム ナマエ

 

  Copyright © emunamae