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【その1】 タンジョウビ

 アタシ、こないだ十一歳になったのよ。人間でいえば小学五年生。でも犬ではかなりの高年齢なんですって。失礼しちゃうわ。そんなの勝誕生日のケーキ手に決めないでよ。アタシはとっても元気なんだから。

 で、その日ね。エムさんとコボちゃんはアタシの顔を見ると、「タンジョウビ、タンジョウビ」っていうのよ。で、その日ね。エムさんとコボちゃんはアタシの顔を見ると、「タンジョウビ、タンジョウビ」っていうのよ。変なの。でも、この言葉、前にも聞いたことがあるから、ちょっと考えてみたわ。そしたら、なんとなくいい匂いがして、口の中がトローリとして、不思議に幸せになっちゃったの。どうしてでしょうね。 

 その夜、エムさんとコボちゃんが箱をテーブルに置いてアタシを呼ぶんだわ。そう、なんだか思い出しそう。毎年、こんなことがあったような。あっ、思い出した。「あら、アリーナの目が輝いたわ。きっと気がついたのね」 コボちゃんにはバレちゃった。そう、あの箱の中身はバースデイケーキ。アタシのバースデイケーキ。「タンジョウビ」っていうのはアタシが一年に一回だけケーキを食べられる日なのよ。 

 アタシの食器に小さく切ったケーキが置かれて、そしたらヨダレがタラタラと流れて、もうケーキに夢中。よし、アリーナ」 エムさんが号令をかけて、アタシは夢中で食べて。「あああ、アリーナったら、もう食べちゃった」 コボちゃんはちょっとガッカリしたみたい。でも、これが犬のマナーなんだわ。コボちゃん、まだわからないのかしら。

 その夜、特別にグッスリと眠れたことはいうまでもなし。。。。。。

  ケーキ製作 経堂アルルカン

この絵本の売り上げの一部は全国の七つの盲導犬教会で盲導犬育成に使用されます。


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