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【その2】 2000年 某月某日 冬の東北っていいわよ。アタシもこの間、いってきたの。 アタシが雪の大好きなことを、エムさんはよく知ってるのね。 それでエムさんは奥さんのコボちゃんと一緒に、アタシを福島県の裏磐梯高原へ連れてってくれたってわけ。 そしたらね、すごーい雪でね。 なんでも記録的な大雪だったらしいわよ。ペンション絵夢にいったんだけれど、あたり一面真っ白で、本当にペンション絵夢かと思っちゃった。 でもね、ペンションに着いて、寒がり屋のエムさんが暖房の効いたダイニングルームに飛びこんだのにさ、アタシはもう雪野原に飛び出して、雪の中を泳いだんだわ。 ブルドーザーみたいに雪をかきわけたり、オリンピック選手みたいにでもね、でもね、とても変なの。 いつものように階段をおりてトイレにいこうと思ったの。 そしたら、いつもみたいに歩けないのよ。 前足も後足も思うように動かなくて、それでも歩くとね、とっても痛いの。とにかく痛いのよ。でもさ、トイレにいかなくちゃならないでしょ。 それで無理して歩いたら、まるでロボットみたい。 ギクシャクギクシャク、まるでブリキのロボット。 一体アタシはどうなっちゃったのかしら。 でも、失礼じゃないの。エムさんもコボちゃんもアタシを笑うのよ。 犬の筋肉痛なんて聞いたことがないって。 これって筋肉痛ってやつなのかしら。エムさんがいってたけど、盲導犬はいつもは走ったりしないし、都会のアスファルトを歩くだけだから、雪の中でいつもは使わない筋肉を動かして筋肉痛になったんだろうって。 で、アタシは思ったのね。 今度から、雪を泳ぐときは準備体操をしようって。 この絵本の売り上げの一部は全国の七つの盲導犬教会で盲導犬育成に使用されます。 |
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