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【その5】  1998年 某月某日

 ねえねえ、アタシ、今どこにいると思う?セントラルパークよ。つまり、アタシは米国の東海岸、ニューヨークシティーにいるってわけ。
 飛行機の旅は何度もしてきたけど、こんなに長いのは初めて。エムさんはアタシがのんびりできるようにって、ビジネスクラスをキープしてくれたけど、それでも長かった。フライトアテンダントさんもよくしてくれたわ。日本航空の国際線にはシンガポールレディーのアテンダントさんもいて、可愛いくて礼儀正しいの。それに、ワンちゃんが大好きの人もいて、コボちゃんは美人だっていってたけど、その人もアタシを可愛いがってくれたわ。いつも気にしてくれて。でも、人間の女性の誰が美人か、そうじゃないかなんてアタシには興味ない。それはエムさんが気にする所だわね。
 そうそう。アタシは目鼻だちがはっきりしてる人が好き。人間の女性では、そういうのを美人っていうらしいわね。
 で、ここはセントラルパーク。アタシたちはこの公園の前のエセックスハウスというホテルに滞在してるのよ。アタシは今、朝のトイレを済ませた所。アタシのトイレがセントラルパークなんてスゴイでしょ。
 この公園の入り口には馬が沢山いるのよ。アタシ、馬をこんなに近くで見たのは初めて。ずいぶん大きいのね。でも、ゾウにはかなわないわね。アタシ、ゾウって大き過ぎてキライ。だって同じ哺乳類仲間なんて、とても思えないもの。で、ここの馬さんたちは馬車を引いてるの。観光用の馬車ってわけね。それから沢山の馬糞。それをよけながら歩くのってスリルあるわよ。
 公園はとっても広いの。こんなに広い公園は初めてね。世田谷の砧公園の何倍あるかしら。でも砧公園と同じ所はあるのよ。それはワンちゃんがいるってこと。沢山のワンちゃんよ。アタシはワンちゃんとは話ができるの。だって、アタシたちの言葉はワンちゃん共通語。でも、ニューヨークの人たちの言葉はわかんない。だって、あの人たち、英語とか、他のチンプンカンプンの言葉をしゃべるんだもの。話しかけてくれたって、アタシは困ったさんをするだけ。あああ、盲導犬学校で英語も勉強しておくんだったわ。
 ニューヨークでこれからどんな事件が始まるかは、また別の機会に書くことにするわ。とにかくアタシは秋のセントラルパークを散歩して、とってもいい気持ちだってことを報告して、今日の日記はおしまい。



この絵本の売り上げの一部は全国の七つの盲導犬教会で盲導犬育成に使用されます。


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