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◆ エム ナマエのボヤキ漫才 「ザ・パジャマジャーズ」

☆ 先生がゾロゾロ

「あのねえ、マジャ先生」
『そういう貴様はパジャ先生』
「そこでマジャさん、先生様。私のスリッパ、取ってよね」
『なんだと。先生に下足番をさせる気か』
「そういう貴方こそ、先生に反抗する気ですか」
『だって、俺は先生だもん。先に生まれたんだもん』
「私だって先生ですよ。後から生まれましたけど」
『でも、ここは学校じゃない』
「学校には教師という先生」
『ここは病院だ』
「病院には医師という先生。けれど、私らは教師でも医師でもなくて、売れない漫才師」
『だけどよ、なんで貴様と俺が先生なんだ?』
「教師にも、医師にも漫才師にも、みんな師の字がついてます」
『師の字さえあれば、誰だって先生になれる、という理屈か』
「詐欺師もペテン師も先生」
『みんな頭脳労働者』
「先生と呼ばれる人間は、頭がいい、というわけだ」
『少なくとも、呼ばれてる当人だけは百パーセント信じてる』
「呼ばれる度に偉くなる」
『態度もデカクなっていく』
「そっくりかえったアマガエル」
『いつか必ずヒックリガエル』
「でもさ、大学を卒業して、教師に就職した日から先生と呼ばれるって、いい気持ちだろうな」
『それまでは、ただの学生さん』
「すごい出世だ」
『足軽から大名』
「師の字さえつけば、オタマジャクシもトノサマガエル」
『師の字がつけば、イモムシだってモスラになれる』
「イモリはゴジラで、ミドリガメはガメラになれる」
『手品師だったら、魔法使い』
「ドエりゃー世界になりまする」
『ザッツ・SF・エンターテイメント』
「ところで、ここは病院です」
『病院のエンターテイメントとくれば、そりゃあやっぱし優雅で華麗な白衣の天使、とくる』
「なんてったって看護婦さん」
『お黙り、セクハラですぞ。看護師さん、とお呼びなさい』
「看護師といえば、師の字がついて、つまり先生…」
『そうでんねん。先生だすねん』
「あれをいくのはデンデンムシでんねん」
『ここにあるのはダスキンだすねん』
「そこをいくのは看護師という先生でおますねん」
『こっちにいるのが薬剤師という先生でおられまする』
「あっちにいるのが検査技師という先生でごじゃりまする」
『どこを見ても、先生だらけ』
「石を投げれば先生に当たる」
『政治家という先生もいる』
「作家も漫画家も先生だ」
『飲み屋にいけば、誰だって先生と社長』
「先生と呼ばれるほどの馬鹿でもなし」
『でも、悪い気はしない』
「しかし、困った」
『何を困った?』
「お医者様という先生を、どんな呼び名でお呼びしようか」
『大先生』
「面白くありませんね」
『それじゃあ、大将」
「いっそ、殿様」
『博士だ』
「いや、天才だ。それとも、みんなで万歳でもしましょうか」

☆ いい病院

「やあ、マジャさん、どちらへ」
『パジャさんこそ、どっちへ?』
「病院ですよ」
『だったら、道が違うよ』
「いや、これでいいんです。新しい病院にいくんですから」
『さては、いい病院を見付けたな。俺に内緒で』
「内緒にしたわけじゃないですが、ありましたよ、ありました」
『もしかして、もしかしたら、あの、噂のA病院…』
「知ってましたか」
『知らないでか』
「だったら一緒にいきましょう」
『いきましょう、いきましょう』
「でも、どんな噂を聞きましたか?」
『まず、医者が優秀』
「それそれ。医者は誰も一流の医学部出身で、成績優秀、頭脳明晰。おまけに親切で優しくて、美男子医師に美人女医」
『そればっかりじゃないでしょう。看護婦さんも若くてチャーミング。噂によれば、ユニフォームはバッチリ、ミニスカート』
「わくわく、ドキドキ」
『薬剤師も秀才だらけ』
「薬だって、間違えたりはいたしません」
『技師さんたちにも徹底教育』
「医者の真似して、威張ったりはいたしません」
『A病院では、威張った医者なんか、絶対にいやしない』
「そうです、そうです。現代の優れた医療関係者なら、病院がサービス器官だってことを熟知してますからねえ」
『それに設備がすごい』
「最新医療設備に検査機器。それを操作する熟練エキスパート。美しく健康的で清潔な建物。バリアフリーの設計思想。どこを見ても一流ですよ」
『都心にあるのに、敷地は広大。緑の芝生に楽しい遊歩道。リハビリテーションにも最適で、目の保養にもなるしねえ』
「目の保養には、看護婦さんも大活躍。正真正銘、いい病院」
『ホントにまったく、いい病院』
「こんな病院に恵まれるなんて、いい時代に病気になったもんですよ」
『俺たちゃ幸せな患者ってこと』
「そろそろですよ」
『あそこらしいぞ』
「なんだか、すごい人込みです」
『立錐の余地もない』
「わっかりましたよ。ちゃんと並べばいいんでしょ」
『どうした、どうした?』
「割込みと間違われたらしくて、殴られました」
『みんなイライラしてるなあ』
「いい病院に巡り会えたんですから、仕方ありませんよ」
『無理もない。みんな健康になりたいんだから』
「誰だって、いいお医者さんに診てもらいたいんですよ」
『ありゃ何だ?』
「テント村らしいですよ」
『キャンピングカーもいるぞ』
「みんな並んで、順番を待っているんですねえ」
『あっちには屋台の行列』
「タコ焼き、ヤキトリ。ホットドッグにハンバーガー」
『ダフ屋も出て、整理券をプレミヤ価格で売ってらあ』
「あっちにいるのは、順番確保の学生アルバイトらしいですよ」
『ちょ、ちょっと。あそこに待ち時間が表示してある。いや、待ち日数だ。この列だと、二十日間は待つらしいぞ』
「そんなに生きてられません」

☆ 薬

「やあ、マジャさん。どうしたんですか、大きなリュックを背負ったりして」
『ちょっと外出』
「ハイキングですか。それにしては立派なリュックですねえ」
『俺は食事をしたばかりだ』
「そりゃバイキング。私のいうのはハイキング」
『なんだと。ハイキングだと。アンタ、馬鹿は休み休みいえ』
「ばか…。ばか…。ばか…」
『おいおい、パジャさん。どうしたんだ。大丈夫かい。精神に異常をきたしたんじゃないか』
「いやね、馬鹿を休み休みいっただけですよ」
『あのねえ』
「はい」
『いくら漫才だからといって、何をやっても許されると思ったら、全国の患者さんや医療関係者たちから、血祭りにされるからね』
「あ、すいません。これからは真面目に漫才をやりますことを宣言いたします」
『ところでさ、何の話題だったっけ?』
「貴方がハイキングにいく話」
『冗談は休み休みいえ。俺はハイキングなんて家族的庶民的趣味に興味なんかない』
「じょうだん…。じょうだん…。じょうだん…」
『今度は、冗談を休み休みいってるつもりなんだろうけど、そういう下等なギャグを連発してると、漫才では食えなくなるからな』
「反省してます。ではでは、マジャさん。貴方がこれから山登りに出発して、それからが漫才のクライマックス」
『そこに山があろうが、なかろうが、俺は山登りなんかしない。断固として、しない。俺は山どころか、坂だって、階段だって、くたびれる場所は大嫌い』
「それじゃ話になりません。いや、漫才にもなりません」
『それより、アンタこそトラックなんか運転しちゃって。引っ越しでもするつもりか。そうだ。きっと、夜逃げだな』
「今は昼間です。夜逃げタイムじゃありません」
『じゃ、どこへいくんだ』
「そういう貴方こそ」
『俺は病院へいくんだ』
「そんなスタイルで、ですか」
『どんな恰好をしようと、表現の自由だ。俺の基本的人権だ』
「じゃ、私がトラックで病院に通院することも保障されるわけですね」
『どうしてトラックなんだ。乗用車じゃないんだ』
「私の勝手。表現の自由です」
『わあ、ずっこい。真似してやんの。先生にいってやろ』
「で、貴方はどこへ?」
『病院』
「わあい、真似してやんの」
『真似してないもんね。最初から病院にいって、お薬をもらうつもりだったんだもんね』
「私もそうだもんね。お薬、もらうんだもんね」
『やあい、真似っこ。真似屋の漫才。真似っこ、猿の子、チチンプイプイ、チンパンジー』
「貴方、気は確かですか」
『うるさい。俺は薬を愛してるんだ。下熱剤、降圧剤、咳どめ、血糖降下剤、ビタミン剤、下剤、ゲリどめ。それに副作用を抑える薬。その副作用を抑えるくすり。理想の治療には、沢山の薬が絶対不可欠なんだ』

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